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容赦しない

ガウッ


いきなり襲って来たのは犬?


飛びかかって来たので空中にゲートを出してキャンセル。


ボトッ


その場で落ちる犬の魔物。残ったのは下半身のみ。


「証明は耳だといったろうが」


「しょうがないじゃん。飛びかかってきたんだから」


「来るぞっ。あいつらは群れるからな。茂みから飛んでくるから気を付けろ」


とトーマスが言い終えるや否や多数の犬が出てきてこちらを威嚇する。チャーンスっ!


足元にゲートを広げズボッとはめる。


「キャンセルっ」


残ったのは水平に斬られたような犬。まだいるので即座にゲートを大きく広げて罠にする。


日が暮れてよく見えない。この犬達は黒色なのだ。


入ったかどうかわからなくても手当たり次第にゲートを開けてキャンセルを繰り返す。怖いとかより犬を殺している罪悪感の方が強い。歯を剥き出しにせず、クンクンと鳴きながら寄ってきたら殺せないかもな。


俺の戦い方をみたトーマスは大丈夫と判断したようで、クロノを俺と挟む形で後方の奴をサクサクと仕留め始めた。


「もう大丈夫だ。耳を切るぞ。カナタ、向かって左、右耳を切れ」


「クロノ、大丈夫か?」


「うん、コイツラには嫌悪感しか感じないから大丈夫」


魔物と神は真逆の存在だからクロノは斬られた魔物をみても平然としていた。俺も血の臭いがするけど大丈夫だ。ステーキの血ですらダメだったのに不思議だ。


休む間もなく現れたのがゴブリン。これはチンピラ共にやったみたいに首だけにしてった。


耳狩は嫌だなと思いながら討伐証明である右耳を取っていく。そこから離れて休息ポイントで火を炊いて休憩することに。


「カナタ、転移スキルの使い方えげつないな。あれ無敵なんじゃないか?」


「一回に1つしか出せないし、自分から5m程度しか離して出せないからね。ゲートを抜けることが出来た敵はもう目の前だよ」


「そうだな。ならお前の武器は短剣が向いてるかもな。敵の接近を覚悟して短剣を構えてスキル使え。そして毎回ゲートを飛び越えて来ると思っとけ」


トーマスは常にこうなったらこうする、と対応を頭で考えとけといった。想定外の事が起きると瞬時に対応ができないからだと。すべての事を想定内に出来るように相手の動きをよく覚えろと。反射的に動けるようになるにはかなりの時間を費やして。身体を鍛えないとダメだからな。


休憩を終わりにして火を消した時にそいつらは現れた。


「今晩は」


「なんだお前ら?」


トーマスが俺達を庇うように立ち、俺に剣を抜けと合図した。


「ちょっとそちらの可愛いお嬢さんを頂こうかなと。大人しく渡してくれればあなた達は無事。お嬢さんも死ぬことはないからご安心を」


「あいにくとこの娘はコイツがベタ惚れしててな。渡すわけにはいかねぇな。お前こそ大人しく捕まれば命は助かるぞ」


「随分と勇ましい事を。それがこの人数を見ても同じ事が言えるかな?」


へっへっへと笑う賊達がゴロゴロと出てきた。


(目と耳を塞いでしゃがめ)


トーマスがそう囁いてクロノがしゃがんだ瞬間トーマスが目の前の男の首をはねた。


こちらもゲートを開いて目の前の奴等を落としてキャンセル。


いきなり仲間が生首になり、その首が仲間に助けを求めるように見た。


「ひぃぃぃっ」


叶多は逃げた賊を追い次々に生首にしていく。


トーマスは相手を追わず、クロノの前で剣を構えているのを確認して、賊をさらに追う。


「カナタ、何匹か殺さずに残せ。あとそれ以上追うな」


叶多はトーマスの指示に従い、立ち止まって大きなゲート出して3人ほど捕獲した。


「上出来だ。よくやったな。気持ちは悪くないか?」


「大丈夫」


「よし、尋問するぞ」


「10分くらいしか時間ないよ」


「十分だ。さて、アジトはどこだ?」


「言うわけねぇだろうがっ」


ザシュ


「お前は知ってるか?」


「しっ知るかよっ」


トーマスは剣の先を目に当てた。


「暗くて今のやつがどうなったか見えなかったみたいだな。これなら見えるか」


「ゆ、許してくれっ。俺は雇われただけなんだ」


ザシュ


「さ、お前は知ってるかな?」


「お、俺は家族を食わして行くのに仕方がなく。ろ、ろくな仕事もねぇから仕方がなかったんだっ。子供に飯をっ飯を食わせねえっとっ」


「で、アジトは?」 


トーマスはに剣を当てる。


「も、森の中の洞窟だ」


「あそこはゴブリンの巣だ。お前随分と余裕あるな?こんな時にまではめようとしやがって」


「うっ、嘘じゃねぇっ。ゴブリンを全部片付けてアジトにしてんだよっ」


「ほう、ゴブリンの巣をねぇ。お前らハンターだったら討伐報酬払ってやったんだがな。残念だったな」


「や、やめてくれっ。そこには家族もいるんだっ。殺さないでくれっ」


「どうするカナタ?」


「クロノを狙った段階で決まってるよそんなの。もういいの?」


「あぁ、構わんぞ」


「キャンセル」


ゴロン。


泣いて許しを請うた奴を叶多は無慈悲に首だけにした。クロノを狙った段階で結論は出ている。


「カナタ、こいつの言ったことが本当だったらどうする?」


「どうもしない。クロノを狙った奴は全て消す。そうしないと後悔するとハポネのギルマスに言われたからね」


「正解だ」

 

「ゴブリンの巣が本当にアジトか見に行くか」


「コイツらの首どうすんの?」


「後でいい。先にアジトを確認だ」


「カナタ・・・。平気?」

 

「クロノは大丈夫?」


「私は平気。こいつら魔物と同じ感じだから。カナタ、すごい怖い顔してるよ?」


叶多の顔はとても怖い顔をしていた。


「あぁ、ごめん。クロノが心配だったから」


そう答えた後はいつもの穏やかな顔に戻ったのでクロノはほっとする。


トーマスが先頭になり、クロノを挟んで叶多が後ろに大きなゲートを出しては消し、出しては消しをしながらゴブリンの巣へとすすんだ。


「あそこだ。見張りが立ってるからやつの言った事は本当だったな。まぁ、ゴブリンの数が少なかったから本当だとは思ってたがな」


「ということは、あそこに家族がいるってこと?」


「カナタ、前にも言った事があるが、奴等は平気で嘘を付く。たとえ中に女子供が居ても躊躇するな。家族とは限らん」


「え?」


「被害者の可能性もあるって事だ。あと、酷い目にあってる女がいる可能性もある。色々な事を想定しとけ。剣を抜いてる奴は問答無用でいい。が、助けを求めてこっちに来る女には気を付けろ。奴らの仲間の可能性がある。助けようとして刺されたりするぞ」


そんな事まであるのか。もし一人で来てたら殺されてるところだな。


トーマスの指示でワープで見張りのすぐ近くに出て二人を生首に。


そして中に侵入する。


「普通にうろついてるのは敵だ」


そう言われたので大きなゲートを出して落としていく。


ゴブリンの巣だった場所は入口こそ洞窟みたいだがそこを抜けると上が空いた空間が広がっていた。


トーマスが首をはね、叶多が生首にしていく。


奥まで進んだときに


「助けてお兄ちゃんっ」


子供が泣きながら叶多に助けを求めてきた。


「大丈夫かっ」


「カナタっ、斬れっ!」


ドン


えっ?


バシュッ


トーマスがその子供の首をはね血しぶきが叶多に降り注ぐ。


何だよこれ・・・腹が熱い


「カナタっ、大丈夫かっ」


叶多は何が起きたか理解していない。


あれ?なんで俺はトーマスに抱きかかえられてんだ?


「きゃぁぁぁっ カナターーっ」


クロノの叫び声を聞いてハッとする。まだ残ってる奴らがいる。


「ワープっ キャンセル」


カナタはクロノを避け、特大のゲートを出して敵を一網打尽にした。


「トーマスっ、カナタのカバンにポーションが入ってるっ」


「カナタ、これを飲めるかっ」


ゴフッ


血を吐く叶多。


「いやぁぁぁっ」カナタっーーー」


もう全部やっつけたぞとクロノに言おうとするが声が出ない。


「クソっ」


トーマスは叶多に上級ポーションを掛けて回復したのを見て中級を飲ませた。


「トーマス・・・俺何されたんだ?」


「子供に刺されんだ。だから助けを求めて来るやつには気を付けろと言っておいただろうが」


「あんな子供まで賊なんだ・・・」


叶多を刺したのはキルトと同じぐらいの子供。お兄ちゃんと呼ばれて助けなければと思った時に刺されたのであった。


「カナタっ」


「寄るなっ」


「えっ?」


「あぁ、ごめん。クロノに血の臭いを付けたくないんだ。それより無事か?」


叶多は子供の血と自分の血で真っ赤に染まっていた。


「だ、大丈夫よ」


「カナタ、お前は平気なのか?」


「あぁ、ありがとう。ポーションかけて貰ったのと飲んだのでもう痛みも無いよ。刺されても痛くないんだね。熱くしか感じないから何されたか分かんなかったよ」


「カナタ・・・」


「クロノ、ごめんな。こんなんだから帰りはおぶってやれないわ。まぁ、ワープで帰るから大丈夫だよな?」


「う、うん」


叶多は拍子抜けするぐらいいつもの叶多だった。


「トーマス、悪いけど死体持ってくれる?首だけにするから」


「お、おう・・・」


そこら中の死体をゲートを使って生首にしていく。そして襲撃されたポイントに移動するためにゲートを開き、そこへ平然と生首をぽいぽいと放り込んでいく叶多。

 

そしてクロノに知が付くから生首に触れないようにと注意して襲撃されたところに一旦生首を出してここのも拾い集め、ギルドに戻ったのであった。時間は早朝。まだシンシア達も出てきていない。


「トーマス、これどこに置いとくの?」


「あ、ああ。解体所に運ぶわ」

 

そこへ生首を保管し、魔物の討伐証明の耳をおいておく。


「日が登ったら衛兵呼んで見聞させるわ」


「了解。夜に戻って来たらいい?」


「それでいいぞ」


そして叶多とクロノはベリーカに戻った。


血まみれの服を捨てシャワーを浴びる叶多。


クロノはまた叶多が風呂から出てこなくなるんじゃないかと心配したが、血糊を落としきった叶多は普通に出てきた。


「だ、大丈夫なのカナタ?」


「クロノは怖くなかったか?」


「う、うん大丈夫」


「良かった。それだけが心配だったんだよ。大丈夫なら風呂入っといで」


「う、うん」


それでも心配なクロノはシャワーを浴びてすぐに出て来るのであった。






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