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引きこもり

リンダにお礼を言って返した後、風呂に入って酒を抜く。スープが効いたのかとても楽になった。今度お礼に何かお土産を買って来よう。



外に出てゴーレンのギルドに向かおうとすると、ここの人達がやって来た。


「おおーい、カナタ」


「昨日は酔っ払って迷惑掛けたみたいですいません」


「なぁに、酒飲みゃみんなあんなもんさ。気にするこたぁねぇ」


「次から気を付けます」


「それよかよ、馬が引く荷馬車買うぜっ」


「えっ?金貨30枚だよ?」


「共同購入って奴だ。街までたくさん運べりゃ元が取れるってもんだからな。商人に取りに来させる代金を考えたら元が取れるて話になってな。いつ頃持ってこれるんだ?」


「じゃあ今から聞きに行って来るよ。後さ、街に酒場とかある?」


「あぁ、たくさんあるぞ」


「あの火酒って酒場に卸したら買ってくれるかな?」


「あぁ、勿論だ」


「後みんなあの瓶持ってるよね?」


「あるぞ」


「ならそのうち樽で仕入れて来るから、瓶持参で来てくれたら割安で売れるよ」


「本当か?」


「うん、樽で買わないかって言われてるんだよ」


「ほう、なら頼むわ」


「ただ、俺の商人ライセンスは店を持てないから皆で共同購入って形にしてくれない?誰かそれを管理してくれるとありがたいんだけど」


「おお、いいぜ。倉庫に置いといてやるよ」



ドワーフの国へ移動してまずは魔道荷馬車の所へ。


「こんちはー」


「おうっ」


「馬用の荷馬車買ってくれるんだけど、納品いつになるか聞いてきてくれって言われたんだよ」


「何っ?もう売れたのか?」


「商人に作物取りに来て貰うより自分達で運んだ方が儲かるらしいから」


「お前凄ぇな」


「いや、たまたまだよ。で、納品はいつ頃になりそう?」


「在庫があるから持ってけ。金は後払いでいいぞ」


「え?金貨30枚の代物だよ?」


「大丈夫だ。お前の事はザイルから聞いてるからな。で、報酬はお前用の荷車でいいか?」


「あれ、まけてくれても金貨8枚、大型の手数料が金貨6枚枚だろ?貰いすぎだよ」


「構わん。それよりどんどん売って来てくれ。ここじゃあまり売れんからな」


「本当にいいの?」


「勿論だ。その代わりバンバン売ってくれよ」


「了解。人用の奴はもう売り先考えてあるからたくさん売れると思うよ」


「ガーハッハッハ。楽しみにしてんぜ」


叶多はハンターギルドに荷車が売れるのではないかと考えていた。ゴーレンの掲示板に魔物肉を取ってきて欲しいとの依頼が結構あったのだ。特にデスボアの依頼が多い所を見ると旨いのだろう。俺も狩れたらいいけど、頭しか残らなかったしな。



取りあえず、大型荷車を預かってベーリカに向かうことに。これ、ゲートくぐれるのかな?


荷車が通れるぐらいの大きな入り口を想像してワープ、と唱えるとちゃんと大きくなった。素晴らしい。


荷車も人が引いても軽く引けるとは良くできてるよな。


ベーリカに到着すると皆がもう来たのかと驚く。


「在庫あったから持って来たけど、どうする?」


「お、おお。ずいぶんとデカいがそれお前でも引けるのか?」


「やってみる?」


と、おっちゃんに引かせると驚いていた。


「待ってろ、皆から金を集めて来る」


しばらく待ってると共同購入者達が集まってきてそれぞれが自分で引いて試す。


「よっしゃ、皆金をだせっ」


と金貨と銀貨を数えて払ってくれた。


「これでまたバリバリ働かんとなぁ。貯金はたいちまったぜ」


「まだ売り物たくさんある?」


「おう、豊作続きだったからな。山ほどあるぜ」


「なら、明日か明後日に仕入れに来るよ。バンバン売って来るから酒とかまた買ってね」


「おーう、任しとけっ」


またドワーフの国に戻り、受け取った代金を支払い、報酬として専用荷車をゲットした。わらしべ長者みたいだ。


次はザイルのところで火酒を樽で5つ、瓶を10本購入。


「どこに売りにいくのじゃ?」


「ベーリカの酒場で買ってくれるかもと言われたから売って来るよ」


「おぉ、たくさん売って来てくれ」


またベーリカに戻り、繁華街までてくてくと移動する。


手始めに一番大き酒場に訪問営業だ。


「すいませーん」


「あら、ここは坊やの来る店じゃないわよ。それに営業は夕方からよ」


実に色っぽい大人の女性が出てきた。


「一応、成人はしてますので。あと客ではなくて火酒を買ってくれないかなと押し売りです」


「ふふっ、押し売りだなんて面白い子ね。火酒って本当?」


「はい、ドワーフ国産のです。樽はこの瓶が30本分入ってます。多分1~2本余分にはいってますけど、それはサービスです」


「いくらで卸してるのかしら?」


「瓶が銀貨1枚、樽が銀貨20枚です」


「ずいぶんと安いわね。本物かしら?」


「偽物がどんなのかは知りませんけど、試しに飲んでみます?評判はいいんですけど」


叶多は瓶を1本開けて、コップに少し注いだ。


「わっ、本物だわ・・・。しかもいい奴じゃないっ。まさか樽の中身は違うとかないわよね?」


「買ってくれるならここで試してくれてもいいですよ」


「ちょっと待ってて。マスターを呼んで来るから」


と、責任者かオーナーか知らないけど呼んで来てくれた。


「うん、本物だな。ずいぶんと安いが盗品じゃ無いだろうな?」


「盗品じゃないと証明するものはないですけど、商人のライセンスならありますよ」


と、ライセンスを見せる。


「エスタートから来たのか?」


「登録はそうですね。今はベーリカに家を借りてます」


「ほう、この国で商人してんのか」


「はい。ここの物を仕入れて売りに行く時に酒も仕入れて来るんですよ。どうします?」


「全部買おう。樽5つで金貨1枚でいいな?」


「はいっ。ありがとうございます」


「しかし、見かけによらず力持ちだな。樽5つ運べるのか?」


「これ。魔道具の荷車なんですよ。10樽ぐらいは一度に運べるんじゃないですかね?」


「ほー、いくらぐらいするんだ?」


「これで金貨10枚、馬用の大型化は金貨30枚ですよ。必要なら仕入れますけど」


「いや、うちでは使わんけどな、取引してる酒屋に聞いといてやるよ」


「ありがとうございます」


「火酒は定期的に手に入るのか?」


「必要数を言って頂ければ仕入れて来ますよ」


「よし、わかった。最低1ヶ月に一回来てくれるか?」


「わかりました。またよろしくお願いします」



次にゴーレンのギルドに移動する。


「おう、また火酒を仕入れたいんだがな」


「そんなに出るなら樽で仕入れる?瓶30本分入って銀貨20枚だから割安だよ」


「お、そんなのがあるのか。ならそれ頼むわ」


「あと小麦粉とか肉とかいる?ベーリカから仕入れられるんだけど」


「おお、そいつは助かる。じゃがいもとかもあるか?」


「豊作続きだかたくさんあるみたいだよ。昨日バーベキューで焼肉ご馳走になったんだけど旨かったわ」


「お、じゃあ必要数書き出すわ」


と、大量注文を貰ってベーリカに行きまた戻る。


「おまえ、もしかしてその荷車は魔道具か?」


「そう、これだけ積んでも余裕で運べるんだ。ちょっと高いけどね」


「いくらだ?」


「これで金貨10枚。ハンターとか魔物狩ってきたら役に立つと思うんだけど

ね」


「そうだなぁ。欲しいやついるだろうな。金持ってそうな奴に声をかけといてやるよ。これは発注品か?」


「今なら在庫あると思うよ」


と、行く先々であれは手に入るか?と聞かれ、その度に仕入れては持って行く。叶多はマップを開く度にクロノがエスタートのギルドから移動をしていないのを確認していた。また拐われたりしていないか気になっていたのだ。


一度戻ろうと思ってから2週間ほど経過していた。仕事がひっきり無しに入ってきてめちゃくちゃ忙しいのだ。おかげでもう金貨20枚ぐらい稼げていた。やはりワープはチート能力だな。


そして、トーマスにお金も返さないとダメなので、仕事を入れない日を作って、珍しいお菓子と火酒をお土産にエスタートに戻ったのであった。



「カナタさんっ。お帰りなさいっ」


「シアちゃんただいま。クロノはどうしてる?」


「部屋にこもりっきりですよ」


「え?」


「毎日カナタさんは帰って来たか?と聞きに来る以外に部屋から出て来ないんです。ご飯も食べてないですし」


「マジ?あいつ飯食わないで大丈夫なのか?」


「はい、痩せてもいないので大丈夫なのかな?って。何回かご飯持って行ったんですけどいらないって言うです」


「そ、そうか。ちょっと様子を見て来るよ」



コンコン


「クロノ、俺だ」


カチャ


出て来たクロノは俺が出ていった時の服装のままだった。


「何よ?」


「お前飯食わなくて平気なのか?」


「大丈夫。で、何?」


「あ、いや・・・問題無いなら別にいいんだ。お菓子は食うか?」


「いらない」


バタン


相変わらずか・・・。


トーマスの部屋を訪ねる。お金を返さないといけないのだ。


「おお、カナタ戻ったか」


「トーマス、お金ありがとう。これ銀貨10枚と利子の代わりのお土産」


「これは・・・?」


「ドワーフの国の火酒だよ。あれ?飲まない人?」


「い、いや好きだが、こんな高級酒もらっていいのかよ?」


「あと9本あるから好きに飲んで。現地で買うと安いから気にしないで」


「そうなのか悪いな」


「いやいや、クロノの面倒も見てもらってるしこっちが申し訳ないぐらいなんだよ。あいつ、辛気臭く部屋に閉じこもってんだって?」


「そうなんだよ。俺たちが声かけても出ても来ないし、飯も食わねえ。夜になったらカナタは戻ってきたかと聞きにくるだけだ。ちょっと様子を見てきてくれよ」


「今行ったんだけどさ、何よ?と一言で終わりだよ」


「は?マジか?」


「マジもマジ、大マジだよ。何考えてるかさっぱりわからんわ」


「毎日帰って来たか聞きに来てたんだぞ?」


「知らないよ。神器を取り戻したかどうか確認してただけじゃないの?」


「いや、そんな感じじゃねぇんだけどな。もう一度様子を見てきてくれや。しばらくここにいるんだろ?」


「いや、もう家も借りたしそっちに戻るよ。ここに俺の寝床無いし」


「は?どこに借りたんだ?」


「ベリーカって国だよ。そこで穀物とか仕入れてゴーレンのギルドの食堂とかに卸してんだよ。後はこの酒とか魔道具とか」


「お前まさか転移の事をバラしたのか?」


「隠してたら商売にならないからね。もう取引先はみんな知ってるよ。金を貯めなきゃなんないからね。のんびりやってたら何年掛かるかわからないから」


「金貯めてどうすんだ?」


「Sランクに護衛を頼む。魔王のところに神器を取り返す時の為にね。一瞬でも守ってくれたらなんとかなりそうな気がするんだよ」


「ちょっと詳しく聞かせろ」


という事で食堂で飯と酒を飲みながら話すことになった。







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