悪魔のいたずら
こちらは、本編で入れる事のできなかった話をおまけとして書いています。
流しで読んでいる方は、飛ばしてもらっても構いません。
ですが、世界観を楽しみたいのであれば、これを読んでくださると、一層楽しめると思います。
前書きはこれくらいにしておきます。
「おい、ノイズ」
昼休み時間中の事だった。アクマが、後ろからやってきて、ノイズに話しかけた。
「どうしたんだ? 何かあったか?」
ノイズが、不思議そうな顔をしながら、アクマに尋ねると、アクマは、悪魔のような笑顔で、
「今から、テンシにいたずらしようと思ってるんだ」
と言ってきた。ノイズは驚いて、呆気にとられてしまう。
「ここに虫の入った小瓶があるんだ」
アクマはそう言いながら、おもむろに自分のポケットから、小さな小瓶をひとつ手に取り、ノイズの机に静かに置いた。
「うわ! 本当に虫じゃん!」
ノイズは、てっきり、子供が遊ぶようなおもちゃが目の前にやってくると思っていたので、目の前の小瓶でかさかさと動く虫を見て、大きな声をあげてしまう。
アクマは、そんなノイズの頭を強く叩いて、
「大きな声出すなよ。他の奴らに聞かれるだろ」
と、静かな声で注意した。そうして、アクマはその小瓶を手に持つと、片方の手で、テンシの席にある筆箱を指さす。
「これを、あの中に入れてきてほしんだ」
「それなら、アクマでもできるだろ? なんで僕なんだ?」
「俺が、テンシの机の所まで近づけるわけるないだろ? それでお前が一番適任だったてわけ。早く行かないと、マオにいたずらするぞ」
「そんなんで、僕が動くと思ってるのか? まぁ、今回だけだぞ」
ノイズは、少しだけテンシの慌てる姿が見たくなったのだった。そして、ノイズは悪魔から小瓶を受け取ると、そのままテンシの机まで向かう。
テンシは、まだ昼ご飯を食べているのか、教室の中にもいなかった。ノイズは、急ぎながらも、他人に犯行を見られないように、こそこそしながら、テンシの筆箱を開ける。
そして、小瓶の蓋を外して、そっと小瓶を筆箱の中に入れる。
ノイズは、筆箱を急いで閉じると、さっきまで置いてあったところに、設置し直す。
犯行を終えると、ノイズは何事もなかったかのように振る舞いながら、自分の席に戻った。
「よくやったぞ! 後は、あいつが帰ってくるのを待つだけだな。くくく……」
アクマは、ノイズの事を称えながらも、すでにテンシの慌てふためく姿を頭で想像して、楽しんでいるのだった。
それからしばらくして、テンシはモノと一緒に教室へと帰って来た。アクマは、テンシの右後ろの自分の席に座って、テンシの方をちらちらと見ている。
そして、テンシが自分の席に座り、隣のモノと会話をし始めた。
アクマは、早く筆箱を開けてほしいのか、肘をつきながら、指を机にとんとんさせている。
「そういえばなんだけどね、テンシちゃんに勉強のことで聞きたいことがあるんだ」
モノが、そう言うと自分の鞄から、教科書を取り出して、ぺらぺらとページをめくり、
「ここなんだけどね」
そう言いながら、あるページの問題を指さす。テンシは、その問題を少し眺めると、
「これはね、意外と簡単なんだよ」
と言いながら、自分の筆箱を手に取って、中からペンを取り出そうとした。
すると、筆箱を開けた瞬間、中に入っていた虫が、そのまま外に飛び出して、テンシの手についた。
テンシは、しばらくの間、体が止まっていた。しかし、それが虫だと分かると、それを摘まんで、自分の顔に近づけた。
「虫さんだ。間違えて入ってきちゃったのかな?」
「そんなことはないと思うけどなぁ」
モノは、摘ままれた虫に顔を近づけながら、不思議そうな顔を浮かべていた。
アクマは、望んだ反応が得られないようで、肩を震わせて、少し怒っているようだった。
「多分ですけど、アクマさんの仕業なんじゃないでしょうか? 筆箱の中に小瓶も入っていますし」
「あっ。本当だ」
テンシは、そう言いながら、筆箱の中に入っていた小瓶とその虫を手に持ちながら、アクマの所に近づいていく。
「もしかして、アクマがやったの?」
テンシは、怒っている訳でもなく、いつも浮かべている天使のような笑顔でアクマに尋ねる。
しかし、一方のアクマは顔を青ざめている。
「虫とか……平気なんだな……へぇ……」
「やっぱり、アクマがやったんだね。全く、こんなことしなくても、虫さんが飼いたいなら、私に言ってくれれば飼い方を教えてあげたのに。しかも、この虫さん可愛いよ、センスあるね。折角だし、もっと近くで見せてあげるね」
テンシは、そう言いながら、虫を持った手をアクマの顔に近づけていく。
しかし、アクマは急に立ち上がると、
「俺は虫が苦手なんだよ!」
と、叫んでそのまま逃げるように教室を出て行ってしまった。テンシは、そんなアクマの後を追って教室から飛び出していく。
「あいつ、虫苦手だったんだ……」
ノイズは、そんな感想を抱くのだった。




