第二十二話:今から君を、
ノイズは、すぐに扉を閉めて、近くにあった椅子を扉にたてかける。
そして、扉から一歩ずつ、ゆっくりと後退していく。また、近くにあった椅子を拾って応戦できるような体勢をつくる。
ノイズに緊張がはしる。いつ来るか分からない敵をひたすらに待っていた。
次の瞬間、教室の扉をノックするかのように、アサは扉を叩く。扉は無惨にも、前の方に倒れる。しかも、既に扉とはいえないほどに、ボロボロになっている。
アサだったものは、目の前にいるノイズを睨みつけ、手を床につき、尻尾を振り回している。
ノイズは、一瞬怖気ついて、窓の外へと逃げ出したくなったが、今後ろ姿を見せれば、待っているのは死のみだと感じて、その場に立ち続けようとする。しかし、その足は、生まれたての小鹿のように震えている。
アサは、振り回したしっぽを何度も床を叩きつけ、バキバキという音を立てている。その音は、まるで、ノイズを威嚇しているようだった。
そして、翼をバサバサと動かすと、一気にノイズと距離を詰める。
ノイズは、手に持っていた椅子をそこら辺に手放して、それを間一髪のところで避ける。
アサは、そのままスピードを落とす事なく、黒板を殴りつける。殴られた黒板は、その部分からヒビが入っている。
再び翼をはためかすと、もう一度ノイズとの距離を積める。
ノイズは逃げようとして、急いで、机の上に飛び乗り、次の机と、その次の机と飛んでいく。
アサは、ノイズの乗っていた机を追いかけるように、潰していく。まるで逃げ場を潰していくかのようだった。
そうして、ノイズは最後に教卓に飛び乗る。そして、急いで後ろを振り向いて、アサがどこにいるかを確認しようとする。しかし、すでにアサは、目の前にいた。
アサは両手を握りしめて、ハンマーのようにしている。ノイズは、急いで、教卓を蹴り飛ばして、後ろに逃げようとする。しかし、背後は黒板があり、自ら壁に背中をぶつける。
アサの振りかざした腕は、教卓を真っ二つにする。ノイズが乗っても平気だったのにも、関わらず彼女の一撃によって、形をなすことをやめる。
ノイズは、自ら叩きつけられた背中が痛むも、なんとか立ち上がろうと、手を床について、立ち上がろうとする。
しかし、アサは何事もなかったかのように、ノイズの目の前にやってくる。そして、ノイズの両手を掴み、ひょいと持ち上げると、その手を黒板にたたきつける。
ノイズは、足をバタバタと動かして、アサを離そうとするも、非力すぎるのか、彼女には何も響いていないようだった。
アサは、よだれをたらしながら、ノイズの顔や、体を見つめる。
「ちょっと待ってくれ! 僕なんか食べても美味しくないぞ! だから、食べるのは止めといた方がいいと思うぞ!」
ノイズが、必死に声を振り絞って、命乞いをするも、アサは、手を放すことを止めなかった。
そして、アサは、舌を出して、ノイズの頬をじっくりと舐める。ノイズは、怖さのあまり、目を強くつぶっている。
「美味しくなかっただろ? 当たり前といえば、当たり前だけど。だから、食べるの止めたりとか……」
ノイズは、一瞬期待して、目を開ける。アサの顔は、空腹の時に見せるような顔して、目をキラキラ輝かせている。ノイズは、期待が裏切られたことを悟った。
そして、アサは口を開き、ノイズの首元めがけて、嚙み千切ろうと迫って来た。ノイズは死を悟り、目を強くつぶる。
「おいおい。こんな朝から、卑猥な事をして。他のクラスメイトの事は考えていないのか?」
アサは、動きを止めて、ノイズを掴んでいた手を放して、ゆっくりと後ろを振り向く。
そこには、眼鏡をかけたもう一人の竜人が立っていた。
「そいつは、私が魔法を教えたにも関わらず、魔法を使うこともできないような雑魚だが、頭だけは良いんだ。食べるのはよしてくれ」
ドラコは、そう言うと、眼鏡を外して、バックと一緒に、床に投げ捨てる。
「私が相手をしてやるから」
ドラコがそこまで言い終わると、アサは、ドラコに向かって、翼をはためかせながら、一気に加速していく。
しかし、ドラコは慌てる素振りもせず、冷静にアサとの距離を測っている。
そして、アサは両手を伸ばしながら、鋭く伸びた爪をドラコに向ける。 すると、ドラコは身を翻すと、飛んできたアサに向かって、自分のしっぽを鋭くたたきつける。
ガラスの割れる音と、木が割れる音を鳴らしながら、ドラコの攻撃が直撃したアサは、その勢いのまま、窓の外へと投げ飛ばされる。
アサは、死んだかのように身を震わせると、すぐによろよろと立ち上がり、そのままどこかへと飛び去っていくのだった。
その様子を、ドラコは静かに見守っていた。アサが何処かへと消えていくと、ドラコは眼鏡と鞄を拾い上げる。そして、ノイズの所へと、壊された机をまたぎながら、近づいていく。
「大丈夫か? 自分で立てるか?」
ドラコは、ノイズの前に立ちながら、そう聞いた。
「立てるなら、今頃立ってるだろ」
ノイズの声は、少しかすれていた。ドラコは、そんなノイズを見て、ため息をつく。そして、ドラコは、ノイズを抱える。
「しょうがない。私が保健室に連れて行ってやる。感謝しろ」
ドラコは、いつもの無愛想な顔でそう言うと、ノイズを抱えたまま、保健室へと向かった。
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