第十五話:男たちの、
「すいませんでした」
ノイズは職員室にやってきて、体育教師にこっぴどく怒られていた。
ノイズは、体操着を寮に忘れてきてしまったので、それを借りるために職員室までやってきたわけだが、そんな生徒に教師が簡単に体操着を貸してくれるわけもなく、廊下に立たされながら、長い説教を受けていた。
「反省しているようだな。全く、なぜ初日に忘れるのだか。君の名前は覚えておくよ。ノイズくんね。しょうがないから、今日は貸してあげよう。次、忘れたらわかってるよな?」
先生は、ものすごい圧力で、ノイズに詰め寄る。ノイズは、少し距離をとりつつ、反省したような顔をしながら、
「次はないですよ」
と言って、体操着をもらうのであった。
* * *
「あんなに怒る必要ないだろ」
ノイズはぶつくさ文句を言いながら、教室まで帰る道を歩いていた。
そんな時だった。廊下の窓の外をふいに見ると、生徒たちが群がって、何かをしていた。その何かまでは分からなかったが、次の時間が体育テストであるのにもかかわらず、校舎の裏に群がっているのは変な事である。
「まぁ、なんでもいいか」
ノイズは、すぐに興味を失い、そのまま廊下を歩いていくのだった。
そうして、ノイズは教室に着いた。男子更衣室は、Zクラスには存在しておらず、女子更衣室のみあるので、男子陣は、教室で着替えることになっている。
ノイズはてっきり、他の男子は着替え終わって、体力テストに向かったものだと思っていたが、着替えを済ませて、まだ、教室の中に残っていた。
「おっ、ノイズ! 待ってたぞ。早く着替えて行こうぜ」
グレンが、ノイズに気づいて、そう話しかける。ノイズは、驚いて少しの間棒立ちになっていたが、それを言われて、すぐに自分の机まで行き、すぐに着替えを始める。すると、グレンがノイズの方に近づいてきた。
「実はな。今、お互いに自己紹介をしてたんだ」
「そうなんだ」
ノイズは着替えながら、返事を返す。すると、グレンは左の方にいる男子を指さす。
「彼が、アンドくん。実は、人形なんだ」
グレンが、紹介すると、アンドはノイズの方を向いて一度お辞儀をすると、
「こんにちは。よろしく」
感情の起伏のない声で、挨拶をしてくれた。一目見ただけでは、彼が人形であるかどうかは分からなかったが、目玉がガラスか、鉄か、物質の正体は分からなかったが、人間の目ではない事は判断がついた。
「よう!」
後ろからノイズを呼びかける声が聞こえる。しかも、肩をいきなり、強くたたかれてノイズは体がビクンと、反応してしまった。
ノイズが後ろを振り返ると、そこには黒い翼を生やした、少年が立っていた。ノイズと同じくらいの低すぎず、高すぎずの身長で、ノイズの反応が面白かったのか、うししと笑っている。
「これからよろしくな! 俺は、アクマ。由来は悪魔からだ。結構単純だろ」
「そうだな。確かに、性格も悪魔っぽそうだな」
ノイズは、少し苦笑いしながら、そう言うのだった。
そんな話をしていると、横から白衣を着た少年が近寄ってくる。かけた眼鏡を上げながら、その少年は、ノイズの顔を観察するかのように、見つめてくる。
「なるほどでやんす。Z点ぐらいでやんすね」
少年は、ボソッと言い放つ。ノイズは一瞬、何を言っているのか分からず、熟考するも、結局何が言いたのか理解できなかった。
「どういうこと?」
「簡単に言えば、体の点数でやんすね。まず、男だと最低点のZ点になるでやんす」
「どんな採点基準してるんだよ」
「まぁ、一応名乗っておくでやんす。ケミスと言いますでやんす。よろしくでやんすよ」
そう言いながら、ケミスは眼鏡を上げるのだった。
そんなことをしていると、ノイズも着替えが終わり、筆箱を持つ。しかし、ノイズが着替えている最中も、ずっと一番前の席に座り、本を読んでいる少年の存在が、ノイズは気になっていた。
「彼は、ドックだよ。医者の卵なんだ」
グレンが、ノイズの考えていることを言い当てるかのように、その少年の紹介をしてくれた。
ドックは、今も読書に釘付けで、そこを動こうとはしていない様子だった。
「おーい! 早く行くぞ!」
グレンが呼びかけると、ドックもそれに気づいて本を閉じて、そっと机に本を置くと、何も言わずに、こちらにやって来た。
そうして、男子陣が揃って、体育館へと向かった。




