第十四話:今日は、
廊下の方から、ばたばたと誰かの走る音が聞こえる。そして、教室の扉を開け、グレンが教室の中を眺める。
「間に合ったか?」
グレンの額には大量の汗がついていた。その汗を手で拭う。
「間に合ってはないかな……」
ティーチ先生は、教卓に肘をつきながら、苦笑いで、グレンに告げる。
「本当に? 間に合ってない? ……それはすいませんでした」
「まぁ。いいよ。とりあえず早く座ってね」
グレンはしょんぼりしながら、自分の席に向かう。
ティーチ先生は、一度咳をすると、
「それじゃあ、朝のホームルームを始めます。皆さん、おはようございます」
と、学校の始まりを伝えるのだった。
「おはようございます」
Zクラスでは、生徒たちのあいさつが響いていた。
「明日から、授業があります。ですので、しっかりと時間割を見て、教科書等々を持ってきてください。ただ、その前にみなさんに自己紹介をしてもらう時間があるので、明日までに何を話すか、ちゃんと考えておいてください」
ティーチ先生は、なんだか楽しそうに話す。そして、急にティーチ先生は両手を叩くと、
「そして、今日は、超ビックイベント! 体力テストと魔法テストがあります!」
「えぇ!」
ノイズは驚きの余り、教室に響き渡るくらいの大きい声を出してしまう。
「あれ?知らなかったの?ちゃんと通達してるはずなんだけど」
「そうだよ。ノイズ、もしかして知らなかったの?」
マオは不思議そうな顔で、ノイズの方を見つめる。他のクラスメイトも、視線がノイズの方に集中している。
「えっ。いやー。知らなかったなぁ」
「まぁ。ちゃんと学校から配られたプリントはしっかり見ておこうね」
ティーチ先生は、苦笑いをしつつも、やんわりと注意をするのだった。
一方のノイズは、とんでもないくらいに焦っていた。全身があちこち痛いにも関わらず、さらに運動しなければならないということが、いかに苦しいことなのか、知らないが、知らずとも、それがやばいことであることは簡単に理解することができた。
そして、朝のホームルームが終わると、五分休憩の時間に入った。
「そういえば、朝から気になってたんだけど、なんで体中を押さえてるの?」
マオは、ノイズがどういう状態であるのかは考えられないようだった。
「いやいや、昨日走ったせいで、全身筋肉痛だよ。とくに太ももが」
「なにそれ!? そんな全身が痛くなる病気があるの? 大変だね!」
「煽ってるのか? なぁ。それは煽りなのか?」
「そんなことないよ! えっ。これって触っても大丈夫? 触りたいんだけど。どんな感じなのか知りたい!」
「ダメダメ。ダメに決まってるだろ!」
マオが、ゆっくりと自分の指をノイズの太ももに近づけいていく。しかし、ノイズはその手を、しっかりと掴むと、
「ダメって言ってるのに、近づけてくるな」
と、言いながら、その手を横にどける。
「いいじゃん。別に、減るものじゃなんでしょ?多分だけど」
「減るものです。とにかく触るなよ」
そんな会話をしていると、女性陣が、マオのところまでやってきて、一緒に着替えようと誘う。
そうして、そのまま更衣室へと行ってしまうのだった。
「どうしたんだ、ノイズ? そんなにうらやましそうに、女子たちを眺めて」
「いや、なんでもない」
ノイズは、マオが更衣室と聞いて、首を傾げていたような素振りをしていたことに気づいていた。
「あいつ絶対に知らないよなぁ」
「えっ? 何か言ったか? ノイズ?」
「なんでもないよ。早く着替えようか」
「そういえば、体操着持ってきたのか?」
グレンがそう聞くと、ノイズは笑顔で答える。
「もちろん。持ってきてないよ」




