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天才少年は魔法が使えないけれど、  作者: 阿田 雨
第一章
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第十一話:はじまりは、


「おいおい! 初日から遅刻なんてすげぇな!」


 ノイズが体育館から教室まで戻る途中に、後ろからテンションの高い男がやってきて、無理矢理肩を組まれていた。


「急になんだよ? 別に遅れたくて遅れたわけじゃないんだよ」


 ノイズはめんどくさそうに答える。すると、その少年は少し申し訳なさそうにしながら、


「俺も別にからかってるわけじゃないんだぜ。後、俺はグレンって言うんだ。これから一年よろしくな」


 と、グレンはノイズに話しかける。そして、グレンは片方の手をノイズの前に差し出す。


「まぁ、よろしく」


 ノイズはだるそうにしながらも、その手を握ったのだった。そして、グレンはその手を強く握りしめた。


 グレンは、肩を組んだいた手を離すと、頭の後ろで手を組みながら、ノイズに話しかけた。


「ところでなんだけど、どうして遅れちまったんだよ?」

「それは、体育館に行く指示の書かれた紙が貼られてなくてなかったんだよ。というかみんなは何で、体育館に行けたんだよ?」

「それがなぁ。俺も最初は教室に行こうと思ってたんだけどよ。なんか何人かが体育館に行ってるところをたまたま見かけたんだ。それで、最初は体育館に行くんだと思ったわけなんだ」

「そうだったのか。へぇ」


 ノイズは、その話を聞いて、なんだか嫌な気持ちになった。


 早く来た方が遅れるようになってたのかぁ……。そんなの不公平だな。


 内心はそう思いながらも、もっと早く気づいていれば間に合った可能性もあるのが、残念で、悔しい気持ちがどこかにあった。


「気にすることないって。そんな悲しい顔するなよ。元気出していこうぜ。俺も片付け手伝うからさ」


 ノイズは、自分がいつの間にか悲しい顔を浮かべていたことに気づく。グレンはそんなノイズを励ましていた。


 ノイズはそんなグレンに心の中で感謝しながらも、その明るさがどこからやってくるのか、不思議でたまらなかった。


 そんなこともありながら、ノイズたちは教室に着いた。


 遅刻組は自分の席にすぐに座るも、その他の生徒はまだ、自分の座席を知らないので、黒板の前に人が群がっている。


 ノイズは、そんな風景を眺めていると、隣のマオは未だに紙が貼られていなかったことに疑問を抱いているのか、険しい顔をしているのに気づく。


「そんなに気になるのか?別に、ただ貼り忘れただけじゃないのか?」

「うん。だって、あんなに重要なことを貼り忘れるなんてことある?」

「そんなミス誰でもするだろうよ」

「でもやっぱり気になるよ。気になっちゃうよ」


 マオはどんなにノイズに言われても、納得できないみたいだった。


 ノイズは少し、頭をかいた。そして、ため息をつきながらも、


「そんなに言うなら分かったよ。俺が調べる」

「えっ。それってどういうこと?」

「先生に一緒に聞きに行ってあげるってことだよ。一人だと不安だろ。なら、二人で行こう」


 ノイズが、そう言うと、マオは少し驚いた様子だった。


 次の瞬間、教室の扉が勢いよく開く。そこには手にいっぱいの荷物をもった、先生が立っていた。


「誰か、これを持つの手伝ってくれませんか?」


 そう言うと、先生は廊下の方に目を向ける。気になって目を凝らしてみると、廊下の方には、ぷかぷかと空を浮いている、教科書たちがあった。


「分かりました」


 テンシはそう言うと、すぐに立ち上がり、先生の方に向かう。何人かの生徒もそれに釣られて先生を手伝いに向かう。


「みんな、ありがとうね」


 そう言いながら、先生は教卓の方に少しずつ歩いていく。今にもこぼれ落ちそうな荷物を抱えながらも、バランスを崩すことなく、歩いていた。


「とりあえずそれらは教室の端の方に置いといてくれればいいよ」


 先生は生徒たちにそう指示をする。そうして教卓までたどり着くと、よいしょと言いながら、荷物を床に置く。生徒たちも、荷物を運び終え、すたすたと席に座る。


「よし、皆いるね」


 先生は教室をぐるりと見渡す。そうして、一度咳をし、


「皆さんこんにちは! 私が皆さんの担任を務めます。ティーチです。一年間仲良くしましょう! よろしくお願いします!」


 ティーチ先生は元気な声であいさつをすると、深くお辞儀をする。しかし、勢いよく教卓に頭をぶつける。


「痛った! うぅ……」


 ティーチ先生は、先生らしからぬ声を上げ、頭を手で押さえる。何人かの生徒は笑いをこらえている。


 これがこのZクラスの始まりだった。


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