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第40話 耐えるしかない!

屋敷の中に入ると、まずは1階を案内していく。


どの部屋を案内しても二人は驚くばかりで、ただ無言で感心するだけだった。


キッチンや風呂場なども見て、応接室に戻ってくると感想を聞いてみる。


「どうですか。まだ、1階だけの案内ですが、生活するのに問題は無いと思いますけど?」


二人はただ頷くだけで、特に反論も質問さえなかった。


続いて案内したのは使用人用の宿舎だ。

宿舎には廊下で屋敷と繋がっている。宿舎の一階に入ると説明する。


「ここが使用人の宿舎になるのですが、実は1階の一部はメアベルさんの部屋を用意しました。メアベルさんはラナさ、ラナの家族なので使用人では無いのですが、2階より1階の方が安全かと思いまして、屋敷の1階には寝起きできる部屋が無かったので、こちらに用意しました。不味かったですかね?」


ラナに質問すると、驚いた表情のまま返事をしてくれる。


「も、問題ないと思います。メアベルは使用人でもありますし、そこまで気を使って頂かなくても大丈夫です」


そうは言っても、ラナさんにとっての家族なら自分の家族にもなる。それに他も使用人と言っても家族みたいなもんだ。


「既に部屋の中には、子供が生まれた後の準備もしてあります。それは後ほどご確認してください」


「は、はい……」


「こ、これが使用人の宿舎……」

ラナさんは戸惑いながらも返事をしてくれて、なぜかクレアさんが宿舎に驚いている。


「それと、シア達はここに住んでもらうつもりですが、シャルやミュウもここに住んでもらおうと思ってます」


二人は頷くだけで、特に意見を言わない。


だ、大丈夫かなぁ?


自分が無理やり押し付けているのではと不安になる。


屋敷に戻ると2階に移動する。2階に上がったところで簡単に説明する。


「階段を上がって右側は客室を幾つか用意してあります。暫くは使わないと思いますが、適当に確認をしておいてください」


説明すると左の方に移動して行き、突き当りの扉の前に行く。


「この扉の先が夫婦専用のエリアになります」


そう言って扉を開けるとお披露目をする。


二人は驚いた表情で中を覗いている。予想以上の広さと、奥に見えるソファなどに見入っているようだ。


奥には行かずに手前にある扉を指差して説明する。


「左側の二つの扉は二人の部屋になります。自由に使って貰って構いません。私は無断では入らないようにしますので、安心してください」


まあ、妻にも当然プライベートな空間は必要だよね。


「ふ、二部屋だけなんですか?」


んっ、妻は二人だから当然だよね!?


「もちろんそうだよ。どちらの部屋を使うかは二人で相談してください」


なぜか二人はお互いの顔を見て不思議そうにする。


「あ、あのぉ、アリスお嬢様のお部屋は?」


「えっ、そんなのは用意していないよ。だいたいアリスお嬢様は妻じゃないし、この場所は夫婦だけの空間だよ?」


ラナの質問に答えるとクレアさんが質問してくる。


「アリスお嬢様を正妻にお迎えになるのでは?」


「ええっ、そんな話は聞いていないよ。というより、そんなこと私は考えていないし、アリスお嬢様は子供だよ?」


また、二人は驚いた表情になる。


「レベッカ様がそうしたいと仰っていたのですが……」


確かにそう言う話はあったが断ったよね?


「そういった話を言われた事はありますが、すぐにお断りしました。私の常識ではアリスお嬢様はまだ子供だし、私としてはせめて20歳以上が好ましいし、せめて18歳以上じゃないと女性として見れないかなぁ。

そもそも、こんな素敵なお嫁さんが二人も居るのに、それ以上は考えられないよなぁ」


途中からは呟くように、自分の考えを話してしまう。


二人は驚いた顔をしていたが、最後には顔を真っ赤にしてしまった。


それからも簡単に部屋を案内する。寝室ではふわふわスライムベッドに顔を真っ赤にして驚き、専用風呂を見て驚いていた。


最後にダイニングテーブルの所で二人と向かい合って座って話をするのだった。



   ◇   ◇   ◇   ◇



「どうかな、すぐにでも生活は始められそうだろ思うけど?」


二人は顔を見合わせて、クレアがまず意見を言う。


「私は早ければ早いほど嬉しい。特に準備をする必要もないくらい、ここには揃っているし、私の荷物は既に収納にほとんど入っている。

でも、ラナの言う通りハロルド様達のご都合に合わせる必要はあると思う」


それを聞いたラナは考えてから提案する。


「もちろん私も早い方が良いと思っています。ですが、やはり我々だけで進める訳にはいかないと思います。

とりあえず、セバス様に出来るだけ早くお願いできないか、色々相談させて頂きます」


あぁ~、やはりそうなるのかぁ。


「何時ぐらいになりそうかな?」


「そうですねぇ。私達の準備という事で、今晩にもメアベルと子供たちには話をします。それで明日にでも各自の部屋を確認して貰って、もう少しじっくりと確認したいと思います。

ただ、そうなると早くても明後日、たぶんそれでは余裕がなさすぎるので、その翌日がよろしいかと思います。それを踏まえてセバス様に調整できるかお願いするつもりです」


そうかぁ~、確かにそれぐらいが妥当なのかぁ。


屋敷の準備が出来れば結婚できると思い過ぎていたようだ。

言われてみれば、お世話になったハロルド様やレベッカ夫人、セバスさんの都合は当然考えるべきだろう。


それに、これからもお付き合いが続くのだから、最低限考慮しないとダメだよねぇ。


でも、……向こうの都合で伸ばされたら、理性じゃなく感情が抑えきれるのか不安だぁ!


ラナさんにお願いして、耐えるしかない!


「わかりました。全てラナさんにお願いします。私が話すと焦り過ぎて、上手く話が出来そうにありません」


「はい、妻としてしっかりとやらせて頂きます!」


つ、妻とラナに言われると、余計に暴走しそうになるぅ。


クレアも納得したようで、ラナにお願いとお礼を言っている。


ほ、本命の相談は後にしよう!


「それと指輪なんですが、前に渡したのは魔道具なので返して貰うつもりです」


なんで二人そろって隠すかなぁ!?


その指輪は円滑に仕事をして貰う為に渡しただけだよ。


「「嫌です!」」


いやいや、嫌と言われても……。


「この指輪はアタル様に頂いた大切なものです」


「これは夫婦になる証明書のようなものです」


仕方がないので、準備した結婚指輪をストレージから出して話をする。


「それは、指輪と言うより魔道具として渡しただけですよ。レベッカ夫人やハロルド様、メアベルさんにセバスさんまで持っている道具です。

私は妻になる女性に、この指輪を贈りたいと思ったのですが、ダメですかね?」


「「大丈夫です!」」


変わり身が早い!


食い気味に返事して、なんでもう指輪を外しているんですかぁ。


「え~と、結婚した日に渡そうと思っていたんですが……?」


二人がまた顔を真っ赤にさせながら意見を言う。


「すでに気持ちは妻になっている!」


「そうです! 妻としてお屋敷や結婚の準備をしているのです!」


私としては劇的にみんなの前で指輪をしたかったんだけど……。


「あ、あのぅ、指輪は結婚披露の時に渡すのでは?」


「「違います!」」


世界が違えば常識も違うのだろう。

それほど拘りは無いので、二人から前の指輪を受取、中身を新しい指輪に移して、それぞれに渡す。


「それはオリハルコンで造りましたので、前の指輪とは全く性能が違います」


「「ええっ、伝説の!」」


えっ、オリハルコンは伝説の金属なのぉ!


まだ大量にあるんだけどぉ~。


それから、基本的な使い方を説明すると二人は驚いていたが、文字念話に大喜びする。


「これで、いつでもアタル様と繋がっていられるのですね」


ラナがそう話すと、クレアが涙ぐみながら頷いている。


「説明書も指輪に入っていますから確認してくださいね」


「このホームシステムとは何ですか?」


ラナがたぶんスマート端末の画面を確認しながら質問してくる。


「それが屋敷を管理する機能です。セキュリティや物資の管理、誰がどこに居るのか屋敷内の事は分かる、」


「あっ!」


ラナに説明していると、突然クレアが驚きの声を上げる。


何に驚いたのか不思議に思っていると、顔を真っ赤にしたクレアが、ラナに何か耳打ちした。


「えっ、ああっ!」


ラナも顔を真っ赤にさせて驚いている。


何だろう?


指輪の機能は説明したし、もう驚く事はないはずだ。


後は収納……、あっ!


服やウエディングドレスだけでなく、し、下着関係やナイトウェアが入っている!!!


指輪を渡す前に、せ、説明をしようと思っていたのに。


「あ、あの、もしかして下着の事かな……?」


そう聞くと二人は真っ赤な顔のまま頷いた。


「そ、それは、わ、私の前に居た所では、妻に送る習慣が……。よ、よ、夜の営みで着て貰う為に………。きょ、強制とかではなく、しゅ、習慣、そう習慣だから!」


必死に考えていた言い訳をした。


う、嘘っぽくなってしまったぁーーー!


しかし、クレアが決心したように言う。


「アタル様の、つ、妻になる以上、わ、私はアタル様の習慣に従う!」


えっ、着てくれるのぉ!?


「わ、私ももちろん着ます!」


最高だぁーーーーーー!


で、でも、この状況で我慢できるのかぁーーー!


結局、本命の相談である初夜の相談は出来なかった。


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