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第2話 これが我が家……

ケモミミ、ゲフン……、孤児院の子供たちを送り届け、一緒に来た獣人家族や人族の少女たちも、取り敢えず孤児院の空いた部屋に止まってもらうことにした。


シア達の仮住居、今は従業員宿舎から地下道経由で屋敷に戻ると、執事のエマやメイド達が出迎えてくれた。


少し見ない間にラナの義妹メアベルのお腹も大きくなっている気がする。ラナは嬉しそうにお腹を撫でている。


シア達も一緒に夕食を食べるために一緒に屋敷に来ていた。俺は彼女たちとリビングでいなかった間の話を聞きながら、家に戻った安心感でホッとするのであった。



   ◇   ◇   ◇   ◇



え~と、どういうこと?


シア達と会話を楽しんでいると徐々に人が増えている。最初はエルマイスター家のメイドやセバスさんの部下の執事が来ていることに気付いていた。


最初は王子夫妻を歓待するために食材などの相談にでも来たのかと思っていた。しかし、王子のジョルジュ様とハロルド様が一緒に訪ねてきて、ハロルド様が屋敷の案内を始めた。

まあ、元々が大賢者の屋敷だとすれば、ジョルジュ様も興味があるのだろうと思っただけだった。


そして、今度はメリンダ様とレベッカ様、それにアリスお嬢さんまで屋敷を訪ねてきた。


「「アタル(様)、お帰りなさい」」


「ただいま」


アリスお嬢様とレベッカ様の労いの言葉は嬉しかった。レベッカ夫人の顔がサキュバスに見え、ジュルリと舌なめずりしたように見えたのは幻影に違いない。


「アタルさん、あの下着を大量に欲しいです!」


おうふ、妃殿下が下着と露骨に口にしないでぇ!


「そ、それは、レベッカ夫人と相談してください。何でしたらラナに相談してくれても構いません!」


「そうしますわ! でもあのベッドも頼めないかしら?」


どのベッドでしょう?


正直色々作ってエルマイスター家にも納品しているから、どれの事か分からない。


「妃殿下、お持ちください。もっと良いベッドも御座います。一緒に見に行きましょう」


「もっと良い!? レベッカ様、お願いします!」


レベッカ夫人はメリンダさんを連れて二階に向かった。アリスお嬢様はミュウやキティにグラスニカでの話を聞いている。


お付きの人や近衛騎士の隊長であるグラハドール様まで屋敷内にいた。


そして夕食の準備ができたと声を掛けたのはセバスさんだった。


当然のように席に着く、エルマイスター家と王子夫妻の関係者。それを見て思わず心の中で呟いたのだ。


え~と、どういうこと?



   ◇   ◇   ◇   ◇



王子夫妻の歓待なら、領主屋敷でするのが普通だと思う。それなのに何故か我が家で歓迎の食事会が開かれている。


手際よくセバスさんとエマが連携して、自然に給仕や料理の差配をしている。メイドや使用人も当然のようにエルマイスター家の人材が普通に働いている。


「あ、あのぉ~、なぜ我が家で食事会というか、王子夫妻の歓迎会を?」


「そんなの決まっておるじゃろう。安全で料理も美味いし、普段から我が家はほとんどここで食べていたではないか?」


いやいや、勝手に食べに来ているだけじゃん!


「お義父様とアタルがいない間も、私達は毎日ここで食事していたわ。寝泊まりもほとんどここよ。私とアリスにとってここは自分の家と同じよ?」


くっ、いつの間にか色々と侵食されているぅ!


「旦那様、殿下とハロルド様からのご要望でしたので、お受けしたのですがダメだったのでしょうか?」


ラナが申し訳なさそうに尋ねてくる。


確かに王子や領主から頼まれたら断れないよなぁ……。


「いや、屋敷の事はラナに任せている。だから、ラナが決めた事なら問題ないよ」


そう答えるとラナはホッとした表情を見せた。


「そういうことで、殿下と妃殿下にはエルマイスターにいる間は、この屋敷に滞在して下され」


なにぃーーー! それはダメでしょう!?


ハロルド様が予想外のことを言い出した。


「ああ、ここは本当に居心地が良い。アタル殿、世話を掛ける」


待ってぇぇぇぇぇ!


ジョルジュ様、普通に受け入れないで。ここは平民の家だからぁ~。


「先程風呂に入らしていただきましたが、あのスライムジェルを使ったマッサージは素晴らしかったわ!」


いつの間に……。


よく見ればメリンダさんの肌艶が綺麗になってるぅ~!


留守中でもスライムジェルでお肌のメンテができるように、レベッカ夫人に頼まれてメイドに教えたのは失敗だったかぁ。


「で、でも、王子夫妻の護衛兵士が屋敷内に来るのは……」


知らない武器を持った男たちに家にいられるのは嫌だぁ!


しかし、グラハドール様がそれは問題ないと説明してくれる。


「それは大丈夫です。この屋敷に来るのは私だけです。その私も武器は持っていません。だってこの屋敷は人の出入りも監視していると聞いています。許可が無ければ、まず中に入れません。それは部下にも確認させました。ここは王宮より安全な場所ですなぁ。はははは」


くっ、安全が私の平穏を脅かそうとしているぅ!


うっ、ラナが悲しそうな顔をしているぅ~。


「そ、それなら問題ありません。この屋敷の管理はラナに任せていますので、妻が許可すれば、私には反対などできませんよ。はははは……」


何とかラナの表情が明るくなってくれたぁ~。


それに子供たちが普通にジョルジュ様やメリンダ様と話しているのが不思議だ……。


ハロルド様やレベッカ夫人が出入りしているからなれたのかな……。



   ◇   ◇   ◇   ◇



食事が終わるとハロルド様とグラハドール様はエルマイスターの屋敷に帰っていった。セバスさんやメイド達、気付いていなかったが料理人たちも帰っていった。


王子夫妻には客室を、お付きは別棟の使用人部屋が割り当てられたようだ。


アリスお嬢さんは当然のようにいつもの客室を使い。今日はミュウとキティと一緒にお泊りをするみたいだ。


さすがに王子夫妻もお疲れなのか、食事が終わり少し話をすると早々に部屋に戻っていった。


私も精神的に疲れたので、早めに夫婦の部屋に戻る。


しかし、部屋に戻った私は、妻たちによりサキュバスの生贄に差し出されるのであった。


な、なんで、旅に行く前より新魔エッチが進化しているんだぁーーー!



   ◇   ◇   ◇   ◇



目を覚ますと、自分の状況がよく分からずに混乱する。いつ寝たのか、どうやって寝たのか分からなかった。


呆然と部屋の中を見渡して、そこがレベッカ夫人と過ごす部屋だと気付いた。


んっ、レベッカ夫人?


レベッカ夫人がキーワードになり、徐々に昨晩の事を思い出していく。


明らかにレベルアップしたサキュバス女王クイーンレベッカは、レベルアップした新魔エッチで私を蹂躙したのだ。


最初は必死に抵抗したが、すぐにクイーンの攻撃に翻弄された。それから何度も相手の隙をみて反撃するが、その都度クイーンの戦力に屈服させられ、最後は不思議な高見に心が持ち上げられ意識を失ったと思う。


蹂躙されて恐怖も感じたが、最後は不思議な幸福感に満たされた気がする……。


不思議な感覚を味わいながら、自分の体を順番に確認していく。


うん、体調は悪くないし、ステータスも上がっている。


ちょっとクセになりそうだと昨晩の事を思いながら、着替えて食堂に向かうのだった。



   ◇   ◇   ◇   ◇



食堂には王子夫妻だけではなく、エルマイスター家やグラハドール様もいて普通に朝食を食べていた。


「申し訳ございません、少し寝過ごしたようです」


「アタルでも旅は疲れたようじゃのぉ」


ハロルド様にそう言われたが、旅の疲れが原因ではない。


自然な感じを心がけてレベッカ夫人を見ると、艶々の肌が輝いているようだ。


い、色々と私から吸い取ったのかな……。


メリンダ様と楽しそうに会話しているのが、昨晩見たサキュバス女王クイーンレベッカと同一人物とは思えない。


しかし、昨晩の事を含めてようやく我が家に戻ってきた実感がさらに膨れ上がった。


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