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閑話1 神々の文化交流①

「神々《みな》さま本日はお集まり頂きありがとうございます」


生命の女神は、新たに作られた交流の間で、『第1回新文化交流隊』の面々を前に挨拶をする。


「第1回新文化交流隊の隊長には光の女神様が就任されました」


光の女神様は自信に満ちた表情で、後ろの神々を振り返って目で挨拶をする。


「他の神々《みな》さまには今後の文化交流の足掛かりとなる、拠点の整備や資産の管理、周辺環境の調査が最優先となります。

それと叡智の神様はアタルから要求のありました、インターネット情報の取り込みの為に定期的に地球へ行くことになります。出来るだけ短時間で必要となる情報を叡智アプリで利用できるようにしてください」


叡智の神様は非常に嬉しそうに首を何度も縦に振り頷いている。


準備できているようなので、他の眷属の女神に合図を出す。


「では、神々《みな》さまいってらっしゃーい」


交流の間に居た神々《みな》さまが光に包まれて、少しすると光が消えると神々《みな》さまも姿が消えている。



予定通りにゲートが開いてホッとしているのに、転生の女神様が文句を言い始める。


「なぜ、最大の功労者である妾は地球に行けないのじゃ?」


「当たり前ではありませんか! 転生したばかりのアタル様を見守るのが、転生の女神様の最優先事項なのですよ!」


なぜ子供のように頬を膨らませて、不満そうに私を見るのか理解できません。


「もしアタル様がすぐに亡くなるようなことがあれば、……」


「あれば、なんじゃ?」


「彼の資産を奪う為に、転生の女神様が殺したと……」


「な、なんじゃと! 妾は絶対にそんな事する訳無いのじゃー!」


そこまで動揺する事はないと思うが、転生の女神様は相変わらず……。


「そう思われる可能性があるからこそ、暖かく見守る必要があるのです」


「そ、そうか、それなら仕方ないのじゃ」


相変わらずチョロい転子様です♪


そう考えた瞬間に全身に悪寒のようなものが走った。


「なんじゃ、何が起きたのじゃ!?」


転生の女神様も何か感じたらしい。


「禁忌を侵す行為をして、アタルさんが死ぬ寸前ですわ。所持していない属性の魔法を利用しようとした反動で生命力が枯渇寸前になったようですね」


突然、魔の女神様が交流の間に入って来て発言する。


「そう言う事ですかぁ」


「おろかものぉーーーーー!」


転生の女神様が思わず叫んでいます。いつも冷静な私も怒りが込み上げてくる。


「魔の女神様、所持していない属性の魔法は、発動できないと理解していたのですが、なぜアタル様は発動できたのでしょうか?」


「そうよぉ、所持していない属性の魔法を発動しようとしても、発動時に魔法陣が構築することが出来ずに発動しないのよ。

アタルさんは、魔法陣をスマートシステムで構築して発動しようとしたのよ。魔法陣が構築していれば魔力を流すと発動しようとするわ。それを世界のことわりが許してくれず、生命力を枯渇させられたのね」


何となく彼ならやりそうだと納得してしまう。アタル様は私の思惑通りこの世界ノバに転生することを受け入れたが、何故か不安にさせる何かが彼にはあった。


「神託をアタル様に送っておきましたが、転生の女神様と魔の女神様からも送って下さいませんか?」


「私ももう送ったのじゃ。念のためにもう一度送っておくのじゃ!」


「私の管轄する範囲になりますので、私からも送っておきますわ」


アタル様の様子を見る限り、何とか命は助かりそうだが、これからも彼の行動は細かく監視をする必要があると思う生命の女神だった。



   ◇   ◇   ◇   ◇



交流の間で、転生の女神の眷属によりゲートを開いて、これまで来た地球の雰囲気とはまるで違う場所に立っていた。


これが聖域に指定された拠点の雰囲気なんだぁ♪


地球なのに、ノバの女神としての力が使えるのが何となく理解できた。


「私達は新道亘シンドウアタルの親戚という位置付けになるのよ、各自の名前をもう一度確認をしてね。私は新藤光子(みつこ)よ。みっちゃんと呼んでも良いわ。でも間違っても光の女神とは呼ばないでね!」


地球に来た経験があるはずなのに、やはり聖域指定されたこの拠点に、皆は少し浮ついているようだ。


叡一えいいち(叡智の神様)はすぐにインターネットの情報を吸収するのよ。

森樹しんじゅ(森の女神)とみのり(農業の女神)は敷地内の畑や森の調査をしてね」


声を掛けられて本来の役目を思い出したのか、それぞれの眷属を連れて役目に向かう。


しょう(商売の神)は、アタルの資産と運用を確認して、すぐに使える費用と管理方法も検討して。

はじめ(権能の神)は、……なんで名前がはじめなの?」


権能の神の名前に思わず質問する。


「地球での名前は、それぞれ自分で好きに付けて良いはずだ! 私はこちらではずっとはじめで過ごしている。何か不満でもあるのか!」


別に否定するつもりもないし、不思議に思ったから聞いたのだが、そこまで思い込みのある名前なら別に良いけど……あまり掘り下げると危険な気がする……。


「別に不満は無いよ、それよりネットやシステムの確認をしてくれます?」


「それはすぐに対応する。それより個人毎の文化交流の予算とスケジュールはどうなっている?」


権能の神は、なぜそこまで文化交流に気合が入っているのかなぁ?


「予算はしょう(商売の神)の状況次第ですね。スケジュールはそれぞれ事前に決められた役割が終わり次第、申請して問題なければ許可するつもりだよ」


はじめ、例の個別握手会に参加するためには、参加権対象商品の購入が必要だぞ)


(そのためにも予算の確保が必要なんだ。叡一えいいちも必要な予算を確保できるように協力してくれ)


(何とかしょうを仲間に引き込めないかな? 俺の予想ではしょうも我々と同じ香りがする)


(それは俺も考えたよ。今晩にもこちらの世界に引き込もう。推しメンが重なるとライバルが増えて心配だが仕方あるまい)


何故かはじめ叡一えいいちがコソコソと話をしているが、何故か近寄ることが出来ないし、内緒話を聞いてはいけない予感がする。


まあ、私も早く必要な役目を終えて、銭湯スパでゆっくりしたい。

この拠点にもアタルがこだわった大浴場があるが、銭湯スパはまた違った楽しみもある。


ここから一番近い銭湯スパは、実は私が通っていた銭湯スパで、そこで友達もできた。


早くセイに逢いたいなぁ~!


新道亘シンドウアタルが新たな生活を始める為に購入した拠点は、文化交流という名の、異世界の神々《オタク》の聖域になろうとしているのだった。


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