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第19話 新たな魔エッチ?

レベッカ夫人が起きだしたのに気が付いて、自分も目を覚ます。


「アタルはゆっくり寝ていても大丈夫よ。私は先にみんなの様子を見てくるわ」


私の頬にキスをして耳元でそう呟くと、聖女のような微笑みを見せてレベッカ夫人は自分の部屋に戻って行く。


時間を見ると朝の6時を過ぎていた。兵士たちも動き始めるが、冒険者たちも活動を始める時間のはずである。


しかし、昨晩はというか朝4時ごろまで、レベッカ夫人は頑張っていたのに、また一段と肌艶が良くなった気がする。


サキュバスを聖女の微笑みだと思うなんて……。


昨晩のミューチュアル魔エッチは凄かった!


お互いの魔力感知と魔力操作を使って、お互いの魔力をエッチしながら混ぜ合わせるのである。お互いが触れる部分や感じたい部分、感じさせたい部分に魔力をさらに濃厚に混ぜ合わせることで、信じられないような快感が襲ってきた。


帰ったらクレアとラナにも覚えてもらおう!


そう考えながらベッドから起き上がると、なぜか体が軽かった。


なんだ、吸い取られた訳じゃないのか!?


不思議に思いステータスを確認する。


なんじゃぁぁぁ!


スタータスがすべての項目で10ずつ増えていた。魔力量の最大値も1割ほど増えている。


魔エッチは相手の最大魔力量を、自分に近づける感じで増えるだけであった。


あ、あとで、レベッカ夫人のステータスも確認しないと……。


想定外の事実に混乱する。


昨晩は10回ぐらい……ゲフン、そんなことあり得ないよね………。


さらに検証する必要がありそうだ。



   ◇   ◇   ◇   ◇



スッキリとした体と頭に驚きながら、『塩抽出魔導ポンプ2号』の稼働状況を確認する。


1時間当たり36トラムぐらいかぁ。


3基で100トラム以上の塩が抽出できていた。

抽出量にムラもなく、順調に『塩抽出魔導ポンプ2号』は稼働してくれている。抽出量に変化がなければ年間で90万トラム以上の塩が確保できる。なんとここだけで日本で必要な塩の量が確保できることになるのだ。


ま、まあ、今回は抽出量の低下を調査するのが目的だから……。


必要以上に多めに塩を採取して、採取できる量の確認と、塩分濃度の変化を確認するのが一番の目的である。その為に3基も『塩抽出魔導ポンプ2号』を用意したのである。


しかし、ダンジョンから戻るまでこの状況が続くと、それだけでエルマイスター領が必要な塩が数十年分は確保できそうである。


それに……。


魔砂も大量に確保できている!


魔砂は今後の活動に絶対に必要になると思っていた。魔砂は地球でいう石炭や石油のようなエネルギーに資源になる。これを安定して確保できるとなると……。


異世界の産業革命やぁーーーーー!


暴走しそうになる気持ちを落ち着けて、安定供給の確認ができるまでは、先走りし過ぎてはダメだと自分に言い聞かせるのであった。



   ◇   ◇   ◇   ◇



1階に降りて兵士用の食堂に行くと誰も居なかった。何かあったのかと公的ギルドの窓口を覗いてみる。


なんだこりゃあ!


兵士たちの全員が冒険者の相手をしていた。


買取窓口は冒険者が採取した魔石や素材の買取に並び、食堂で食事を始めている冒険者もいる。


兵士たちは買い取り作業や魔道具などの説明で大変そうにしている。


「ふふふっ、冒険者たちには大好評みたいよ」


いつの間にかレベッカ夫人が近づいて来て話しかけてきた。


「あのカルアさんを囲んでいる冒険者たちは?」


カルアさんが厳つい感じの冒険者たちに囲まれている。カルアさんと冒険者たちは笑っているので危険な事ではないのだろう。


「あれは掲示板の利用法を話しているのよ。ボス部屋に入る順番を掲示板に表示して欲しいと冒険者からお願いされて、今後のボス部屋の規則も決めているようね」


冒険者との関係は非常に良いみたいで安心する。


「すでにほとんどの冒険者が宿の確保もしたみたいよ。買取で荷物は減ったけど、それでもダンジョンに滞在するために荷物をたくさん持っているから、荷物を置けるだけで効率も良くなるみたいね」


たしかに余分な荷物を持って歩かないだけで、効率は良くなるだろう。

採取した魔石や素材は貴重品だから持ち歩いていただろうし、常に持っていないとダンジョンに吸収されてしまう。


「でも、冒険者ランクが上がらなくなると思うけど、大丈夫なんですかねぇ?」


「この階層で活動している冒険者は、すでにそれなりのランクみたいだから、ランクよりお金じゃないかしら」


うん、なんとなくそんな気がしてきた。


エルマイスター領で冒険者活動するなら、それほどランクは関係ない。冒険者ランクによる依頼の違いや優遇などこの領ではないのだ。


王都なら貴族や大きな商会の依頼などで、ランクの高い冒険者だけの依頼もあるだろう。しかし、ここではそのような依頼はほとんどない。


「少し様子を見て来ます」


私はそう話すとまずはカルアさんの居る場所に向かう。


掲示板には買取価格一覧とは別に、パーティー名か代表者名が表示され、横には時間が表示されている。


ふむ、あれがボス部屋に入る順番なのだろう。


「カルアちゃん、もう少し下の階層にも同じ施設を造ってよ」

「頼むから食堂に酒を置いてくれ!」

「ポーションを持ち運びできるように売ってくれよぉ」

「ここにない素材も買取もしてくれるのか?」

「なあ、俺の息子の嫁にならないか?」

「待てよ! カルアちゃんは俺の嫁になってもらうんだ!」


色々と要望もあるようだ。


下の階層に施設を造るのは、常駐する人材の確保が難しいからすぐには無理だろう。

酒はトラブルのもとになるからダンジョン内では却下だ。

ポーションの件は冒険者ギルドと教会の様子を見てからだ。

素材の買取は問題ない。


最後の発言はカルアさんの判断だから私が口を挟むことじゃないが、カルアさんは嬉しそうにはしている。


しかし、この階層でこれほど買取して冒険者ギルドは大丈夫なのだろうか?


公的ギルドとしては悪くない状況だが、冒険者ギルドにとっては死活問題になるのではないだろうか?


冒険者ギルドとは揉めそうだぁ。


私の提案した冒険者ギルドとの関係は、どのプランが採用されるのか不安になる。


あぁ、ハロルド様だと冒険者ギルドに全面戦争を仕掛けそうで恐ろしい。


冒険者ギルドの新しいギルドマスターが、ハロルド様と上手く交渉してくれることを願うばかりである。



   ◇   ◇   ◇   ◇



「メリーお母さん、私にもパンのお代わりをお願い」


「モリー、彼女にパンを持って行っておあげ!」


「メリーお母さん、こっちにもお願い!」


「マリー、向こうはあんたが持って行きな!」


「メリーお母さん、」


「いい加減にしな、パンなら直接モリーかマリーに言っておくれ!」


叱られたルーナは申し訳なさそうにお金を差し出す。


「あ、あのぉ、今晩も泊まるので先にお金を払っておこうかと……」


「そ、そうかい、でもそんな事は後にして、あんた達も先に朝食を食べな!」


「「はい」」


ルーナたちは王都から来て最初に泊まった宿に、2日続けて泊まっていた。


この『羊のお宿』は羊獣人のメリーさんが経営する宿で、熊獣人の旦那さんが厨房で料理を作っている。

羊獣人の14歳のモリーと10歳のマリーが給仕や部屋の掃除をして手伝いをしている。熊獣人の息子も居るが、今は別食堂で料理の勉強をしていた。


豪快だが人情脆いメリーさんを、ルーナたちはすぐに『メリーお母さん』と呼ぶようになり、昨日は領都を見て回っていたのだ。


「ベッドで寝られると疲れが取れて、食欲も湧くのよねぇ~」

「本当よぉ、見張りを立てなくてもゆっくり眠れるのは最高ねぇ」

「町の人達も嫌な目で私達のことを見ないしね」

「私なんか嫁に来ないかと言われちゃった!」


「ダメだよ、あんなのを信じちゃ。あんた達が角ウサギを大量に獲ってきたから、肉を確保できると思っただけだよ。良い男を見付けたらあたしに紹介しな! 大丈夫か確認するからね」


「「「は~い、メリーお母さん」」」


冒険者の性なのか、大人しく領都観光するだけでは物足りなくなり、メリー母さんに喜んでもらおうと、領都の周辺で狩りを始めてしまった。すぐに角ウサギを1人1匹確保してメリーお母さんに届けたのだ。


数が多すぎるとメリーお母さんに叱られて、それならこれからお世話になるからと、メリーお母さんと近所に配って歩いたのである。


「でも、町のすぐ近くで簡単に食べられる獲物が見つかるのは、王都と違うのねぇ~」

「そうそう、これなら食べ物に困らないわよ」

「孤児院の子達にも、たくさん食べさせてあげられるのに……」


彼女たちの大半が孤児院出身で、それ以外はスラムや貧民出身の者であった。


「そのためにもダンジョンで沢山稼いできな! お金が溜まったら大切な人をこの町に連れてくればいいさ!」


「「「うん!」」」


メリーお母さんの話を聞いて、みんな真剣な顔で頷くのであった。


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