勅命、再び
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えらいこっちゃで!
感じる殺気は3つ。
宰相殿とテラーズさんが放っているのはわかるんだけど、あと一人がわからない。
この部屋には俺を含めて四人しかいない。
しかし、陛下はこっちを真剣な眼で見ているだけで殺気を放っていない。
ヨハンとかいう副ギルドマスターさんは退室しているし、一体誰だ?
感じるのは前と後ろと……上?
俺がゆっくり上を見上げるとそこには衝撃的な景色があった。
ローブを着た長い髪の大人の女性が、空中に仁王立ちしていたのだ。
文字通り、開いた口が塞がらなかった。
こ、この人は一体……。
俺がボーッと見上げていると、女性はゆっくり床に降り立った。
「感知能力はなかなかですね。しかし、《魔力浮遊》に驚いて固まる様では困りますよ」
女性はウェーブがかった髪をかき上げながら、見下す様な目線でそう言った。
いや、浮いてた事はいいんですけど……ローブを着てるんですよ?
そして、ズボン履いてないんですよ?
それがどういう事かおわかりなんでしょうか?
「どうしました? さすがに3人の殺気はキツかったですか? もう殺気は解いていますから安心してください。正気を保っているだけ大したものですよ。そこは誇っていいでしょう」
いや、そういう事じゃなくて……。
こんな衝撃はメアリーさんのポヨン以来だ。
大人の女性って、あんな白くて薄いの履くんだ……。
「ん? おい、ソフィア。お前、まさかとは思うが、その下は……」
「陛下、御安心ください。ちゃんと短ズボンを……ズボンを……あれっ? は、履いてない? えっ! な、なんで! さっきちゃんと……あっ、さっきトイレ行った時……あ、あ、ぁあああああああああ!」
ソフィアと呼ばれた女性は真っ赤になった顔を隠し、その場にしゃがみ込んでしまった。
……気づいてなかったんですね。
大丈夫、俺、忘れます。
「はぁ……真面目な話をしようとしてたんだがな。ソフィアのせいで白けてしまった」
陛下、そんな風に言っちゃダメです。
ショックのあまり子供みたいに膝を抱えて泣いてるのに可哀想じゃないですか!
と、心の中でフォローしておこう。
「まぁ、いい。リクト・フォン・シュナイデン准男爵。その《究極の魔力》をどうやって手に入れた? 正直に話せ」
「《究極の魔力》?」
初めて耳にする言葉についそのまま返してしまった。
なんの事だかさっぱりわからない。
「《究極の魔力》とは伝説級の魔物や神の化身たる神獣、精霊が昇華した聖霊が持つ強大な魔力の事だ。それを得た者は世界を手にする力を得る事できると言われている。だが、この力を得る事は容易ではない。この力に魅せられた古の国王が十万の兵を率いて神獣に戦いを挑んだが、破れて国ごと滅ぼされたという話もある程だ」
「し、しかし、俺が貰ったのは《龍仙気》で《究極の魔力》じゃないですよ?」
「《龍仙気》か……《究極の魔力》とはさっきも言った様に強大な魔力の事だ。龍種の魔力もその一つだ。それで、どうやって手に入れた? 何か試練でも受けたのか?」
陛下だけでなく、宰相殿やテラーズさん、膝を抱えたソフィアさんまでが興味深々といった感じで聞いている。
「別に試練とかじゃないですよ。ただ、倒しただけです」
場に妙な空気が流れる。
誰もが言葉を発せず、時が止まったかのように動かない。
そして、時は動き出す。
「た、倒した? 龍を単騎で倒したというのかっ! 一体、どうやってだ! それに倒した龍はなんだっ? 火龍か? 水龍か?」
掴み掛からんばかりの勢いで陛下が俺に迫る。
うわぁ、美人に迫られるとドキドキする……とか言ってる場合じゃないな。
「ま、《魔力増幅》と《魔力付与》《魔力放出》を使ってなんとか……」
「なんとっ! シュナイデン卿は《魔力増幅》《魔力付与》《魔力放出》が出来ると言うのかっ! あれはそう簡単に体得出来るものでは無いのだぞ!」
今度は宰相殿が迫ってきた。
うーん、ロマンスグレーとはいえ、おじ様に迫られても嬉しくはないな。
「え、ええ。ダンジョンで出会ったメアリーさんに教えてもらって。あっ、さっきの浮いてたの《魔力浮遊》ですよね? あれも出来ますよ」
「えええええええっ! じ、じゃあ、何で固まってたのよ! や、やっぱり……見た? 見たのね? エッ、エッチィイイイイイイイイイイイ!」
いやいやいやいや!
覗いたわけでもないのに酷い言われようだっ!
自分が履き忘れて浮いてただけでしょ!
「ええい! ソフィア下がっておれ! それより何龍だ? どんな龍を倒したのだっ!」
「へ、陛下! お、落ち着いてください。俺が倒したのは《四大精霊龍》。四つ首の馬鹿でかい奴で、すぐ『カトウセイブツ』とか言ってくる奴でしたよ」
「フ、《四大精霊龍》ですとっ! で、伝説の古代龍ではありませんかっ! 太古の昔、大陸で暴れ回り、七つの国を滅ぼして神の怒りに触れ、地の底に封印されたと聞き及んでおりましたが、まさかそれがフェンドラのダンジョンにいたとは……」
あいつぅううううう!
そんな危ない奴だったのかっ!
戦う前に聞かなくてよかったぁああ!
「決闘の際から並々ならぬ魔力を放っていたが、まさかこれ程とは。帝国3人目の《究極の魔力》の保持者となると大幅な戦力増強となります。今後の作戦行動にも変化が生じるでしょう」
「むっ……そうかっ! よしっ! シュナイデン卿、勅命だ」
「またですか?」
「不満そうな顔をするなっ! 安心しろ、軍人としての任務だ。近々、共和国との戦線に特殊部隊を派兵する計画があるんだが、それに参加しろ」
「と、特殊部隊……はっ! 了解であります!」
陛下の急な勅命に戸惑いつつも、軍人としての任務に戻れる事に俺は喜びを感じていた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
私は執筆を夜に行なっているんですが、たまに深夜に及ぶことがあります。
深夜テンションで書いた話がぶっ飛んでたり、文章がおかしかったり、朝になって見直して愕然とする事があります。
読みにくくてすいません。
なるべく早急に修正しておりますので、何卒温かい目で見守ってください。




