突撃せよ
先日は投稿予約日を間違え、失礼しました。
ゴンッ!
「いてっ! な、なんだっ! どうしたんだっ?」
頭に軽い衝撃を受けて、俺は周囲を見渡す。
足元には拳よりやや大きい石が転がっていた。
どうやら、これが頭に当たったらしい。
誰が投げたのかと空を見上げると、そこには様々な魔法が降り注いでくるのが見えた。
炎の弾や巨大な氷柱、音の刃、歪な形の岩が無数に落ちてくる。
思い出した。
俺はダンジョンの主である四大精霊龍と戦っている最中だった。
それで……俺は……そうだっ!
《魔力増幅》を更に一段階上げた瞬間に目の前が真っ白になって……俺は気を失っていたんだ!
たまたま、頭に石が当たって目が覚めたのか?
「運がいい。日頃の行いってやつかな?」
俺は落ちてくる魔法を見ながら呟く。
とにかく、これを避けないとまずい。
そう思って、前方に駆け抜けた瞬間に景色が変わった。
「な、なんだぁ!」
真上にあった無数の魔法は姿を消し、魔法によって焼かれ、削られ、でこぼこになっていた地面も平坦になっている。
見上げた先には龍もいない。
一体、何が起きたのかわからなかった。
「い、一体何が……?」
その時だった。
後ろから轟音が鳴り響き、俺は後ろを振り向いた。
すると、そこには上空に浮かぶ精霊龍と爆発し、土煙を上げながらも氷柱が立つ大地があった。
「お、俺がさっきまでいた場所か? あ、あの距離を俺は一瞬で移動したってのかよ……《魔力増幅》を一段階上げただけでコレかよ。限界まで上げたらどうなるんだよ……」
俺はそう思いつつもこれ以上はマズいと本能的に察した。
なんとなく調子が悪い。
少し身体が怠い……少し息苦しい……少し頭が痛い……。
意識しなければ気がつかない程度の体調不良。
だが、これがヤバいって本能が騒いでいる。
『これ以上はやめておけ』
『今もギリギリだ』
俺の本能が警鐘を鳴らし続けている。
これ以上《魔力増幅》の段階を上げるわけにはいかない……。
「なら……これで決める! うぉおおおおおおっ!」
「ナニッ! イツノマニ!」
俺の気合いで精霊龍が俺に気づき、此方を向いた。
俺は刀を抜いて一気に駆け寄る。
「うぉおおおりゃあああああああああ!」
《魔装刃》に込める魔力も引き上げて、尻尾目掛けて刀を振り下ろす。
俺は尻尾が苦手だからな。
予想を遥かに超える速度の俺に精霊龍は反応できていない。
思いっきり叩っ斬る!
GUGYAAAAAAAAAAAA!
直径2メートル以上もある尻尾を俺は斬った。
さっきまでは鱗の下の肉を少し斬るのがやっとだったはずなのに、多少抵抗はあっても斬った。
切断したのだ。
精霊龍は咆哮とも悲鳴をともとれる絶叫を上げてながら暴れて狂い、壁に激突して地面に落ちた。
これは好機だ!
「はあぁあああああああああ!」
俺は背中に飛び乗って目の前にある太い柱のような翼の根元を斬る。
さすがに硬い! だがっ!
「断剣・鎌風!」
一段階上げた《魔力増幅》状態での全力の鎌風を放つと、自分自身の勢いを殺しきれず、横薙ぎで一回転してしまう。
しかし、それによって左右両方、両翼が切断された。
GAWOOOOOOOOOOOO!
さっきよりも凄まじい絶叫が響き渡り、反響して部屋全体に響き渡った振動によって地鳴りが起こる。
だが、ここで手を緩めるわけにはいかない。
今の状態でさえ、どこまで身体がもつかわからない。
一気呵成に畳み掛ける!
暴れ狂う精霊龍の背中と地鳴りの中、俺は背中を斬りつける。
しかし、硬い鱗に塞がれてイマイチ深くまで斬り裂けない。
「ちっ! なら、こっちだ!」
俺は背中の端まで移動し、刀を背に突き立てるとそのまま身体に沿って下に滑り落ちた。
斬れ味を増した刃は止まる事なく、鱗を斬り裂き俺の滑った跡に一筋の長い刀傷をつけていた。
俺は返り血を浴びながらも、精霊龍の腹の横に立って刀を振るう。
鱗に覆われていない腹は易々と斬り裂かれたが、それでも、この巨体では肉も厚いため、臓腑までたどり着かない。
俺は距離をとって、構えた刀に魔力を込める。
「風通しをよくしてやる! 《貫剣・穿通》!」
片手で刀を持ち、大きく前に出した構えのまま大地を蹴って、精霊龍の腹に突撃する。
切っ先に集中された魔力が肉体に触れた瞬間に爆散し、すり鉢状の孔を開け更にそのまま深々と肉を抉って俺の身体ごと中へ進んでいく。
GUWAAAAAAAAAAAAAAA!
多少の切り傷は意に介さなかった精霊龍も、さすがに土手っ腹に孔を開けられては耐えられず、もがき苦しんでいるようだ。
だが、俺もかなりキツい。
こいつの腹は山ぐらいあるから貫けるかどうかわからない。
おまけに俺は今、《魔力操作》《魔力増幅》、《魔装刃》のための《魔力付与》だけでなく、《魔力放出》と《魔力浮遊》まで使って穿通の突進力を後押ししている。
これだけ魔力消費が激しいと魔力が最後までもつかどうかわからない。
魔力が枯れたらたとえこいつが瀕死であっても、俺の負けだ。
一抹の不安を抱えながら、俺は先の見えない肉の中を必死に穿通で貫き続ける。
「頼む! 早く外に出てくれっ!」
俺は祈りながら突き進んだ。
いつも拝読ありがとうございます。
昨日、投稿予約日を間違え16時に気づいて慌てて投稿しました。
「今日は時間ズレたからアクセス数少ないだろうな」と思っていたら、いつもと変わらないアクセス数をいただきました。
皆さま、本当にありがとうございます。




