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騒然

 バイエンスギルドマスターが灰色集団に連行され、室内には静寂が戻っていた。

 副ギルドマスターのヨハンさんとテラーズさんが室内に呼ばれ、俺とエンフィールド法務長の4人が椅子に座っていた。


「まずはシュナイデン卿、君には詫びねばならない。本当に申し訳ないことをした」


 法務長が机に手をついて頭を下げる。

 それに合わせてヨハンさんも頭を下げた。


「シュナイデン卿! 本当に申し訳ない! 私が不甲斐ないばかりに……帝城から戻った後、会議をしたんだが、ギルドマスターが本人に直接冒険者ランクを伝えたいと言うものだから……まさか、冤罪を仕立て上げようとするとは……本当に申し訳ない!」


 ヨハンさんはさっきよりも深く長く頭を下げている。

 俺としては彼も被害者なんだから咎めるつもりはないんだけどね。


「ヨハン・チェスター。君にも責任はある。給金の10%減額3ヶ月とする。いいね?」


「はい。慎んでお受けいたします」


 ありゃりゃ。

 別に気にしなくていいのに。

 でも、組合の方針なら俺が口を出す問題じゃないな。

 なら、代わりに俺がヨハンさんに何か差し入れしよう。

 3ヶ月分ね。


「さて、シュナイデン卿。君の冒険者ランクと成果における報奨金、素材の買取金なんだが……」


 おっと、それを待っていましたよ!

 中級確定なんだからDランクか、それともCランクか?

 せめてEランクより上だと嬉しいなぁ。


「君の冒険者ランクはBランクだ」


「えっ? Dですか?」


「違う。Bだ。Bランク、おめでとう」


 ええええええええっ!

 B? な、なんで? Bなの?


「あ、あの……中級ランクって聞いてたんですけど……」


 予想を越えた評価に理解が追いつかない。

 Bランクといえば上級ランクだ。

 冒険者の中でも数少ない精鋭だと聞いていたけど、本当にいいんだろうか?


「フェンドラのダンジョン最初の踏破者だ。おまけに単独(ソロ)となれば上級ランク以外は考えられない。実績が少な過ぎるのでAランクは保留とし、Bランクとなった。これがギルド証だ」


 差し出されたギルド証には前のより少し豪華な細工がしてあった。

 それに裏面にも何か書いてある。


 リクト 15歳 Bランク


 承認者 クラリス・コルベール 

     バリー・エンフィールド

     ヨハン・チェスター


 はて? 承認者ってなんだ?


「裏面に書かれているのは承認者だ。上級ランクの者は必ずその者の実力を保証する上役が必要になるのだよ」


「は、はぁ。それはわかりましたが、このクラリス・コルベールという方はどなたですか?」


 バリー・エンフィールドとヨハン・チェスターは目の前の2人だが、この名前には聞き覚えがない。


「彼女は冒険者組合(ギルド)王国本部のギルドマスターだ」


「本部のギルドマスター? 何でそんな偉い人が俺なんかを?」


「今回の件を魔導通信で報告した時に、君の事を話した。そこで承認者となってもいいと承諾を得た。だが勘違いはしないように。あくまで実力を保証しただけで、後見についたわけではない。今後我々の助力を得ようとしてもそれは出来ないからな」


 そんな事は考えないよ。

 会った事もない人に頼る方が怖いしね。


「さて、後は報奨金と買取金だが、他に何かあれば今出してくれ。まとめて清算する」


 そういえば兎と牛と猪があったんだ。

 今の内に全部出しておこう。

 俺は魔法鞄から兎と牛と猪を全て出した。

 部屋はそれなりに広かったので何とか全部出すことが出来てよかったよ。


「ふむ、《綿毛兎(わたげうさぎ)》に《四角野牛(よつのやぎゅう)》、《天突猪(てんつきいのしし)》か。かなりの数だが、これで全部かな?」


「あと虎があるんですけど、ここには出せないですね」


 《破滅(カタストロフィ)巨大虎(グレートタイガー)》は10メートルはある。

 さすがにここでは出しようがない。


「虎? 《青雷虎ブルーサンダータイガー》か? それとも《白毛古虎(しらげここ)》か? どちらも貴重な虎だから是非買い取りたい。訓練所で出してくれ。その間にこっちの査定もしておく」


 そう言われて冒険者組合に併設されている訓練所へと連れて行かれる。

 どっちとも違うんだけど、いいんだろうか?

 訓練所には何人かの冒険者達が稽古をしていたが、法務長と副ギルドマスターによって中断させられ、不満顔だ。


「さぁ、出したまえ」


 法務長に促されて俺は《破滅(カタストロフィ)巨大虎(グレートタイガー)》を魔法鞄から出した。

 すると、周囲から歓声と悲鳴が混じった声が上がる。


「な、なんだあれは!」


「で、でかい……こんなのがいるのか……」


「……死んでるよな? 生きてたら俺達……」


 法務長も副ギルドマスターも唖然とした顔をしている。

 テラーズさんは首だけとはいえ、謁見の間で見ていたから驚いてはいないようだ。


「こ、この虎は……まさか《破滅(カタストロフィ)巨大虎(グレートタイガー)》かっ! き、き、君はこんなのとたった1人で戦った……のか?」


 段々と小さくなる法務長の声、ドサリと倒れる副ギルドマスターのヨハン。

 訓練所は色んな人が入ってきては騒ぎたてるものだから、場は混乱の一途を辿っている。

 やっぱり出すんじゃなかったかな?


いつも読んでいただきありがとうございます。


自分でも最近思い始めた事があります。

いつ屋敷に行くねん!

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