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御前論功行賞

 ヴォルドン元長官が退室した後に俺達はようやく謁見の間に通された。

 室内には大勢の貴族、上級軍人、高級文官が立ち並んでおり、列をなしていた。

 この人達っていつもいるけど、暇なんだろうか?

 そんな事を思いながら陛下の御前まで行き、膝をついて臣下の礼をとる。


「勇敢なる我が兵達よ。帰還を心より嬉しく思う。また此度の武勲、誠に見事である。よって、異例ではあるがこの場にて論功行賞を行い、更に私からも褒美をとらせる事にした」


「勿体なきお言葉、恐悦至極にございます」


 陛下の御言葉にタウゼン隊長が代表して礼を言う。

 こういう時は代表が口を開く事になっており、他の者の勝手な発言は許されないそうだ。

 テラーズさんがさっきこっそり教えてくれて助かったよ。

 危うく喋るところだった。


「なに、遠慮はいらぬ。其の方らの功績はそれに見合うものだからな。さて、疲れもあるだろう。さっさと済ませよう」


「はっ! では、此度の論功行賞は私、軍令部総長ヘルフォードが務めさせていただきます」


 金色の肩章に白外套を纏った白髪に白髭を蓄えた偉丈夫が列から出て来て、陛下に礼をとる。

 あれが帝国四元帥の一人、クリストフ・フォン・ヘルフォード元帥閣下か。

 しかし、デケェな。

 俺も170センチはあるけど、あれは俺より頭一つはデカいぞ。


「これより論功行賞を行う! 隊長であるアラン・タウゼン大佐を2階級特進させ、少将とし報奨金として帝国金貨500枚を与える!」


「はっ! ありがとうございます!」


「続いて、副長ソフィア・フォン・リンプトン中佐! 1階級昇進させ大佐とし、魔法兵団の次席へと昇格させる!」


「はいっ! あ、ありがとうございます!」


 隊長は2階級特進と金貨500枚。

 中佐は1階級昇進と魔法兵団第三席から次席へと昇格。

 前半が軍からで後半が陛下からってところか。

 それにしても軍ってケチだなぁ。

 昇進だけかよ。


「続いて、ギュンター・ロイス大尉も1階級昇進させ、帝都治安部隊の副隊長へ昇格。オスカー・ファーレンハイト大尉も1階級昇進させ、軍務省監査部の副部長に昇格させる。マリー・オルレアン少尉も1階級昇進させ、報奨金として帝国金貨100枚を与える」


 出世か金か。

 どちらも欲しいけど、せめて選ぶ自由くらいくれてもいいんじゃないかな?

 まぁ、もらえるだけ良しとするか。


「そして此度の勲功第一位、リクト・フォン・シュナイデン少尉! 前に!」


 えっ? 何で俺だけ前に出されるの?

 他の人達はその場で膝をついたままだったのに。

 俺は横にいたオルレアン少尉に突っつかれて、慌てて前に出る。

 隊長と並んだところで改めて膝をついた。

 一体、何だというのだ?


「シュナイデン少尉の功績は極めて大である! よって、2階級特進させ大尉とする!」


「はっ! ありがとうございます!」


 俺は特進だけかよっ!

 とは言っても、俺は領軍配属だから出世させようにも役職がない。

 それに今更金を貰ってもなぁ。

 まだダンジョンの素材売ってないし、宝箱の買取金も貰ってない。

 おまけに家もあるし、決闘で手に入れた流通利権もある。

 あれ? そう考えたら結構なお金持ちなのでは?


「シュナイデン卿、そんな顔をするな。卿への褒美はまだある」


 俺の考え込んでいた顔が不服の顔と思われたのか、陛下が笑いながら言った。

 というより、これが終わったら一回身辺整理しないといけないな。

 貰ったのに家すら見に行ってない。


「卿への褒美は陞爵だ。現在の准男爵から男爵への陞爵させる。これで卿も立派な貴族の仲間入りだな」


 げっ! また陞爵かよ!

 騎士爵から准男爵までが約1ヶ月、准男爵から男爵までが約2週間。

 爵位ってこんなにポンポン上がるものなのか?


「どうした? ああ、安心しろ。此度は卿の陞爵に異論など挟ませんよ。もし、挟めば次はそいつを最前線に送ってやると言っておいたからな」


 それは脅迫ですね? 陛下。

 なんと恐ろしい人だ。

 そして何より恐ろしいのは、この人は本当にやるところだ。

 有言実行、まさに上に立つ者として相応しい。


「はっ! 帝国に更なる忠誠を尽くします」


「そうか、そうか。忠誠を尽くしてくれるか。では、軍人としても貴族としても、その責務を全うしてくれるな?」


「はいっ! もちろんで……」


 俺は不敬にも言葉に詰まった。

 見上げた陛下の顔がニヤついているのを見逃さなかったからだ。

 あれは絶対に何か企んでいる。

 いや、そんな生優しいものではない。

 あれは罠に掛かった獲物を見る眼だ!


「まぁ、しばらくは全員に休暇を与える。そうだな? ヘルフォード」


「は、はぁ……わかりました。此度の功績を考えれば当然でしょうから……5日ほど……」


「10日だ。10日休みをやれ。作戦がこれだけ早く済んだのだ。その分割増でやっても構わないのではないか?」


 老練の名将である白髪の偉丈夫も陛下の前では形無しなようだ。

 結局、俺達は多少強引ではあったが、10日間の休みをもらう事ができた。

 そして、本日は各々自宅での静養を命じられた後に退室させられた。

 ……気になる。

 あの顔とこの『本日は……』って命令が気になる。

 他の5人は昇進と褒美に喜んでいたけど、俺は不安と疑念のせいか素直に喜べなかった。


いつも読んでいただきありがとうございます。


5月に月間のアクセス数が15000を超えて喜んでおりました。

今月、もうそれを超えてます。


皆さま、ありがとう!

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