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ダンジョン:ホームセンター探索③

女の子はもう少し先で登場します。

たぶん。

 第二階層最初の空間は、またしてもホームセンターの売り場フロアのようだ。

 元々このホームセンターは二階建ての設計なので、そのことに不思議はない。

 しかしエスカレーターやエレベーターが設置されていたはずの部分は、外壁と同様に未知の鉱石と融合し完全に使い物にならなくなっているようだ。


 第一層の探索も完全に終わってはいないが、エスカレーター等は発見していない。

 だが本来接続されているべき上層がこの有り様ならば、下層もまた同じ状態であると考えるのが妥当であろう。



 加えて一つ懸念が生まれた。

 俺の方向感覚が正しければ、歩いてきた道の経路情報とこのフロアの位置が噛み合わない。

 ここがホームセンターの二階であるのは店内案内板を見て確実と言えるが、それを信じるならば融合の際に空間が歪んでいる可能性が否定できないのだ。





 現在時刻03:01

 階層:2F 大型工具コーナー



 物騒な工具がズラリと並んでいる。

 いや、普通の用途を考えればそんな感想にはならないのだが、今俺が探しているのは身を守る武器や道具だ。


 どうですこの見事なチェーンソー!

 敵にこんなの持った奴がいたら、絶対近づきたくないね俺は。

 リーチもナイフやゴブリンのダガーより長いし、少し身をカスるだけで肉をごっそり削り取るだろう。

 問題店があるとすれば、騒音と取り回しか。


 しかしおあつらえ向きにチェーンの潤滑油と駆動燃料がセットで販売されている。

 なんということだ。

 この店は商売上手だぞ!

 油断した。


 心が揺れる。

 スコップさんから浮気してもいいだろうか?

 いやしかし、初戦を無事に戦えたのはスコップさんのおかげ。

 いわば戦友だ。

 置いていくには忍びないし、予備武装がナイフだけというのも不安だ。

 しばし考え、スコップをリュックの外側にすぐ使えるようにくくりつけ、チェーンソーをメインとして装備した。

 あとはホッケーマスクがあれば完璧なのだが、贅沢は言うまい。



 他にもリーチの長い回転刃の草刈り機や、業務用ガスバーナーといったものもあったが耐久性や威力に難があるため断念した。

 汚物は消毒だ~がしたかったのだが、火炎放射機ならともかくバーナー程度の火力では無理だろう。



 普段こういった道具を使うことがない身としては、いろいろ見て吟味するのがちょっと楽しかったりする。


 少し名残を惜しみつつ、この場を後にした。




 現在時刻03:38

 階層:2F 連絡通路前



 荷物が重い。

 こんなもの(チェーンソー)を抱えて冒険する奴はどうかしている。

 誰かアイテムストレージをくれ。

 不思議領域に収納したくてたまらない。

 ひーこらしながら連絡通路前にたどり着いた。


 やはり元々壁があった場所に洞穴状の通路が配置されており、緩い坂道となっている。

 おそらくこの通路も上層へ向けたものだろう。

 とすると、外への出口は一層にあった最初の分岐を左に行った先の可能性が高い。

 が、今すぐこのダンジョンを出るつもりはない。

 街に出ていった魔物の種類と数の多さから、フルボッコにされるのは確実だ。

 ネットの情報にあった通り、最低でも魔物が分散するまで待つべきであろう。


 ずり落ちそうになったリュックの肩紐を直し、通路へと足を踏み入れた。

 雰囲気は第一層と変わりない。



 慎重に歩みを進めて行くと、今度は三択の分岐に差し掛かった。

 魔物の足音はない。

 攻略マップがない以上どこでもいいが。


 選択に迷ったので、ど真ん中の道にしよう。

 男らしく堂々と歩む。

 チェーンソーの予習もネットでバッチリだ。






 現在時刻03:42

 階層:2F ???




 歩みを進めると、やがて前方が開けてきた。

 我が目を疑う光景だ。


 鬱蒼と茂った森がある。

 しかし空を見上げても太陽はない。

 洞穴と同じ鉱石がそのまま天井を覆っている。

 青い輝きを発しているので、ある意味青空だが。


 鳥の鳴き声や、草木のざわめき。

 なんと風が吹いているようだ。

 ついでに羽虫も飛んでいる。

 勘弁してくれ。


 しかし今さら戻るのも面倒だ。

 このまま行くとしよう。




 この先、絶対なんか出てくるよな……。

 少し憂鬱になりながら俺はため息をついたのだった。

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