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ダンジョン:ホームセンター探索①

 そんじゃ、探索を開始しますかね。


 一歩間違えると死ぬだろうが、暗くなってもしょうがない。

 これはRPGゲームだ……そう無理矢理に思い込む。

 奴隷労働によって培われた精神耐性は、我ながらかなりのものだと自負している。



 OK、まずは持ち物とステータスの確認だ!


 武器:名刺

 防具:奴隷の服(スーツ)、ワイシャツ、革の靴

 アクセサリー:奴隷の首輪(ネクタイ)、腕時計

 持ち物:スマホ、簡易お泊まりセット、家の鍵、ポケットティッシュ、ハンカチ

 所持金:21578円


 名前:藤島 渉(ふじしま わたる)

 職業:奴隷(ブラックサラリーマン)

 アクティブスキル:平謝り、責任転嫁

 パッシブスキル:精神耐性Lv.3、楽天家Lv.2



 はい、よ~く分かった。

 ろくなものが無いな!




 気を取り直し、まずは武器となるものを探すとしよう。






 現在時刻 01:37

 ダンジョン:ホームセンター

 階層:1F 園芸コーナー



 探索を開始してすぐに大型のスコップを発見した。

 こいつはいい武器だ。

 ただの穴堀道具と侮ることなかれ。

 携行できる武器に限りがある近代の戦争において、用途の広いスコップは白兵戦にも重宝された……らしい。

 ナイフよりリーチがあり、先端で突いたり、側面で切りつけたり、面で打撃することもできるし、少々のことでは壊れない頑丈さで信頼性も高い。

 実際、まとめサイトでもゴブリン種といった人に近い体格の魔物に効果的な武装とあった。

 こいつで何体ものゴブリンを仕留めた豪の者がいるらしく、やたらスコップを推していた。

 俺もそれにあやかるとしよう。


 武器をスコップに変更した。

 これで白兵戦最強伝説が始まるに違いない。






 現在時刻 01:53

 階層:1F 連絡通路



 1Fではさらに大きなリュックサックや、非常食に簡易トイレ、スマホ充電器といった当面の活動用物資の他、サバイバルナイフ等も手に入った。

 正直、欲張りすぎた気がする。

 いろいろ詰め込んだリュックサックがめちゃくちゃ重いのだ。

 それに加え、手に持つ長物で片手がふさがり、物資を漁るときにいちいち床に置かなければならないので地味に不便だ。

 誰だよデカいスコップ使うとか言ったやつ。



 付近の商品棚をくまなく調べ終えると、やがて洞穴のような細長い通路の前に到着した。



 足音を殺し、通路の先を窺う。

 これまで魔物に全く遭遇しなかった。

 いささか不自然だが、その理由は俺が探索した範囲が元々ホームセンターが実際にあった場所だけだからだと思っている。


 この通路から先は、本来何もなかった空間だ。

 つまり、この先こそが異世界から召還されたダンジョンそのものと言えるのではないか?




 慎重に歩みを進める。

 通路の幅は人間が五、六人並んで歩ける程度で、少々窮屈に感じるか。

 ほのかに青く光る壁と、ゴツゴツとした奇妙な床に否応なしに緊張感を覚えさせられた。



 やがて二又の別れ道にたどり着くと、ついに恐れていた事態がやってきた。

 右手の道の奥から小さな足音。

 ゆっくりと、ここよりも更に奥へ向けて歩いているのか、音は遠ざかっていく。



 俺の通ってきた場所に魔物がいなかったのだから、足音の主は左手の道から来たのか?

 左右どちらに行くもリスクがあるが、魔物と遭遇するのは避けては通れないだろう。

 ならば手がかりのある足音の主を確かめるほうが理に叶っているかもしれない。



 覚悟を決め追跡を開始する。





 時刻は02:02

 丑三つ時か……上等だ。

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