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愛人②

 目を醒ますと、腕の中に感じるぬくもりがあった。

 ティナの枕となっていた左手が、彼女の柔らかな身体を無意識に抱き寄せていたのである。

 どのくらいの間彼女の頭を支えていたのか、ひどく痺れを感じるものの、なんとも甘い幸福感に満たされていて、その不快感さえもが心地いい。

 これがいわゆる朝チュンのシチュエーションという奴なのだろうか?

 リア充共は俺の知らないところでこんな素晴らしいものを何度も味わっていたと……実にけしからん!

 だがそんな嫉妬めいた感情も、今の俺にはとるに足らないものになってしまった。


 掛け布団の隙間から覗くティナの裸身はとても美しい。

 シミひとつない真っ白な肌に、美しい曲線を描く豊かな胸。

 腕の中で瞼を閉じて気持ちよさそうに眠るその顔は、そこらのアイドルではとても太刀打ちできないほどに可愛い。

 昨夜はこんな娘を好き放題に可愛がってしまったのか…………記憶を再生しても未だに夢のような感覚が抜けない。

 思わず右手を伸ばし、たわわに実った果実を鷲掴みにしてみる。

 夢じゃない。

 ムニッと沈み込む指の感触が、恐ろしいほど俺を誘惑してくる。

 この感触は危険だ。

 そのまま撫でたり、揉んだり先端を摘まんだりとしばらく堪能していたら、寝息がどことなく熱く悩ましいものに変わった。

 やがて目を醒ましたティナが、おずおずと恥じらいながら問いかけてきた。



「お、お気に召していただけましたでしょうか?」



 返す答えなど決まっている。

 そのままひとしきり可愛がった。








 現在時刻13:38




 身支度を整え食事をとったら、結局昼を過ぎた。

 俺の本能が昂りすぎて、危うくご両親の帰宅と重なりそうになったのはご愛嬌である。

 だってねえ、あんなこと言われたら我慢するの無理ですよ?


 ご両親や村人達の見送りを丁重にお断りし、ハイネ村を発つことにした。

 またすぐに立ち寄る可能性もあるし、なによりも、昨夜はお楽しみでしたね?と言わんばかりの状況証拠が揃いすぎていたので、さすがの俺も恥ずかしかったからだ。



「あの、渉様……わたくしの歩き方、変ではないですか?まだ中に感覚が残っていて……その」


 もじもじしながらそんなこと言うんですよ、うちのティナさんは!

 今あらためて気がついたのだが、この娘は俺の精神に衝撃を与える天然の爆弾だと思う。

 あんな発言のせいで余計に意識してしまい、お互いまともに顔を合わせられないほど照れくさいのに、そのくせ相変わらず腕だけは組んでぴったりとくっついている。

 なんだか思春期に逆戻りした気分ですよ、もう。

 ともかく、こんな状態でまともに見送りへの受け答えなどできるわけがないのだ。





 出発するにあたり、事前にいくつか準備したものがある。

 魔法の効果を付与したアーティファクトだ。


 ひとつは荷物を入れる大きなリュックを改良し作成した、念願のアイテムストレージである。

 正直に言おう。

 某国民的アニメの動物型ロボットさんが持つ四次元ポ○ットのイメージを利用して作った、異次元リュックだ。

 作成には成功したものの、どんな異次元空間に収納しているのかさっぱり不明であるが、おかげでアホみたいに重い荷物から解放されたので細かいことは良しとしよう。


 もうひとつは翻訳機だ。

 これがないとティナと会話ができなくなるので必死に作った。

 失くさないように、なるべく肌身離さず持っておきたいので、腕時計に効果を付与することにしたのだが、こいつの魔法の源となるイメージには苦労させられた。

 攻撃魔法のようにシンプルに破壊現象をイメージをするのとは勝手が違い、物質に魔法を付与するには、より細かくプログラムのように具体的な起動過程のイメージが必要となるようだ。

 思考錯誤した結果、最終的には一定の範囲内の言葉による空気の振動を魔力的な情報体に変換、アカシックレコードという名のデータベースへ転送し照合解析を行った後、各人へ翻訳した情報を脳内に受け渡すという一連の過程を考えた。

 できたものはどんな言語も解読できるすごい時計……翻訳くんプロトタイプ一号である。

 面白みもなんもないネーミングだが、俺の中二病レーダーは主に攻撃的なものにしか反応しないから仕方ないのだ。



 今回の作成で、アーティファクトには通常の魔法にはない利点があるのが確認できた。

 それは魔法で効果を付与した瞬間のみ魔力が消費され、以降は特殊な効果を持った道具になることだ。

 この特性を利用すれば、魔力に限りのある場所でも使える強力な武器が作成できる。

 ただし注意しないといけないのは、複雑な効果を付与すると莫大な魔力を消費する。

 翻訳機を作るにあたり、エルフの加護に内包された魔力がまたしてもごっそり減ってしまった。

 バレたときが怖い。




 土下座の準備は完璧にしておこう。








 現在時刻14:16




 村を出てしばらくの間、森の中をティナと手を繋ぎながらゆっくりと歩いた。

 こんな余裕ができたのも、異次元リュックで楽に移動ができるようになったおかげだ。


 親父やお袋の安否は気になるが、実家はダンジョンの出現報告ポイントから大きく離れた田舎で、両親よりむしろ俺の方が心配を掛けている可能性が高い。

 早く連絡を取って安心させたいという気持ちと、ティナとイチャイチャしながら歩いていたい気持ちがせめぎ合うのだが、今のところ後者の誘惑が大きすぎる。

 今さら急いでもさほど変わらないのだから、恋人ならぬ愛人との時間を大切にしたい。


 それにしても、この騒動が始まった二日間で俺の人生は大きく変わった。

 君子三日会わざれば……なんていうが、たった二日で非常に濃い経験を積んだように思う。

 自分自身で成長できたのかどうか判断できないが、日常に疲れ果て惰性で過ごしていた日々は間違いなく終わりを告げた。

 両親や知り合いに、魔法が使えるようになってエルフの愛人ができました、なんて馬鹿正直に報告したら一体どうなることやら。




 これからの生活、どうしよう…………。




読んでくださっている皆様、ありがとうございます!


自分でも薄々感じていたのですが、今回はっきりしました。

筆者はドスケベです!

その手のシーンだけやたら書きあがるのは早かったのですが、他の部分は滅茶苦茶時間掛かりました。

粗筋にお色気有りと書いておりますので、そういった表現が苦手だという方はいらっしゃらないかと思い?ますが念のため、今後も規制に引っ掛からないレベルで表現を磨いていく所存でございます。

なにとぞご理解の程、宜しくお願い致します。

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