表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/33

序章

 家に帰りたいのだ俺は。

深夜疲れた身体を引き摺り、ようやく自宅マンションの前へとたどり着いた。


 だというのにですよ。

なんと我が家がダンジョンになっているではありませんか。

人に話したとすれば、間違いなく何言ってんだ?と返されるであろうが、こっちが聞きたい。


 見たままをより正確に表現するならば、マンション周辺数十メートルの建物や道路なんかがよく分からない物質と混ざり合って、まさしくゲームやアニメなんかでよく見る、いかにも迷宮ですよといった有り様へと変貌を遂げていたのである。



 なんなのもう……俺を家に帰らせてよ。

残業続きの終電帰りな身の上から、僅かな休息すら奪おうとするとは鬼畜の所業である。

助けて労働基準監督署!



 困った困った、どうしよう。

 スマホを取りだし、とりあえず不思議なダンジョンの写真を撮る。

 これも現代人故の習性か。

 ついでにSNSやら掲示板に画像を拡散しようと思ったら、既に全国各地で同じような場所が複数出現し、物凄いお祭り騒ぎになっていることがわかった。

 情報を漁るたび、俺の顔はひきつり洒落にならない事態であると確信した。


 まず、建物の変貌が始まったのは今日の夕方くらいからのようだ。

発生時刻はバラバラで規則性は見られず、建物の中にいたであろう人々の消息は不明。

理由は単純。

 ダンジョン出現後、どの地域でも例外なく展開される同一の事象が理由だ。

出入口と思わしき穴から出現した多数の魔物が、周辺の人々を襲う。

 ある者は喰われ、あるいは切り刻まれ、炎をはじめとした各種属性攻撃の地獄絵図。

 そんな冗談みたいな光景が動画や画像で大量に出回っていたのだ。

 故に、こんな状態でダンジョン内部を探索などできるはずがない。

 ネット上では今もなお、変貌した地域の報告が刻一刻と増加し続けている。




 そういえば深夜だというのに、さっきからあちこちで緊急車両のサイレンがうるさいし、ヘリが何機も空を飛び回っているのを見かけた。

 動画では自衛隊や警察が魔物相手に戦闘を繰り広げているものも含まれていた。

 それはそうだろう。

 一般人が武器も無しに未知の化け物に対処できるはずもないのだから、最終的に彼らの出番となる。



 だというのに、この周辺はやけに静かだ。

 ならば状況の推察も容易い。

 かつて自宅だったこのダンジョンは、恐らく出現して間もないのであろう。

 加えてこんな真夜中では誰も気がついてすらいまい。

 そして今から始まるであろう悲劇。


 やがて俺の予想を裏付けるかのように、ダンジョンの入り口と思わしき穴から、今までの人生で聞いたこともないような唸り声や巨大な足音が響いてきた。



 かなりヤバそうだ。

 戦略的撤退が必要であろう。

 脱兎の如くこの場から逃走を図る。



 必死に走りながら後ろを振り返ると案の定、種族構成の違う雑多な魔物がダンジョンから溢れだしていた。

 まさしく百鬼夜行といった様相である。

 冗談キツイぞ!

 心臓は早鐘を打ち、かつて感じたこともない緊張と恐怖が俺の両足を急き立てる。


 少し間を置いて後方、魔物の通り道から聞こえ始める破壊の音と悲鳴。

 突然始まった非日常の悪夢。


 住宅街を全力で走り抜け、店の並ぶ商業区へ。

 スーツと鞄が煩わしい。


 この状況では最低限、身を守る武器となるものが必要だ。

 汗だくになりながらたどり着いたのは、パニック時の頼れる味方、定番のホームセンターである。

 幸い自宅から距離が近く、深夜閉店していてもシャッターは降りていない。

 店内は防犯のために灯りがついており、作業もしやすそうだ。

 さすがにガラス張りのエントランスは閉まっているので、駐車場に置いてあった車止めのコンクリートブロックでぶち破り侵入する。

 これで立派な犯罪者になってしまった。

 警備システムが作動し警報音が鳴り響いているが、構うことはない。

 先程スマホから得た情報では、この近くにも別のダンジョンが発生したようだ。

 現在の詳細な状況は不明だが、複数のダンジョンが徒歩圏内である。

 ならば遠からず魔物と遭遇するはずだ。

 犯罪云々は生き残れたらの話である。


 だが、ホームセンターに駆け込んだ瞬間、俺を待ち受けていたかのように建物周辺を包みこむほどの巨大な魔方陣が展開された。


 異世界に召還されるのが、なにも人間の専売特許とは限らない。

 ましてや召還先が地球でも不思議はないのだ。

 別の世界に行けるのならば、その逆もまた当然あり得る。

 これはきっとそういうことなのだろう。



 ようこそ魔物さん。

 そしてさようなら。



 ダンジョンへと変貌していくホームセンターの中で呆然と俺は呟いた。




 明日、会社休んでもいいよね?




読んでくださっている皆様、ありがとうございます!

小説を書き始めて三ヶ月程度のど素人ですが、未熟なりに書いていきます。

破綻や変な表現、設定不足等至らない部分が多数あるかもですが、徐々に修正し完成度を高めていくつもりです。


最新話がキリのいいところまで書き終わりましたら、全話加筆、修正を予定しております。


更新は滅茶苦茶遅いです。

(上手く書けないだけですが……)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ