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3 コンビニで、捕まった男子達が売られていました。

 玄関に直結した暗いダンジョンを進んで行くと、開けた場所に明かりが見えた。

 コンビニがあった。

 確かに位置的には、それはうちの一番近くにあるコンビニだ。


「やった、コンビニだ! あそこで助けを求めようよ」


 と、西島が相変わらず貧弱な声で言った。


「そう言えばお腹も減ってるかも。いつもなら晩御飯食べてる時間だしなー」


 でも、こんな状況になって、コンビニがまともに営業してるとはあまり思えない。


「あ、あれさっきのトラック」と、西島が足を止めて指を差す。


 見ると、駐車場にさっき見たトラックが停まっている。

 私が近寄ろうとすると、西島が私の制服の袖をつかんで止めた。


「や、やばいよ! 緑の化け物が乗ってたの見ただろ?」

「高野が荷台で縛られてるのも見たでしょ!?」


 私は西島を振り払って、トラックへと恐る恐る近寄った。

 運転席に、さっき見た緑の化け物の姿はなかった。

 それが分かって、ほっと胸をなでおろす。

 もしかしたら、コンビニに立ち寄っているのかもしれない。

 だとしたら、今の内に高野を助けられるかも。


 すぐにトラックの後方へと周り、荷台を覗き込む。


「あれ」


 荷台は空になっていた。誰もいない。

 確かにこのトラックだったはずだけど……。

 もしかして、高野達もコンビニへ?


 私は、後ろを振り返り、西島を呼ぼうとした。

 すると、西島がコンビニの店内へ入ろうとしている。

 あいつ、勝手に!

 もし運転席にいたあの化け物が店内にいたら、大変なことになるのに!


 案の定、数秒して西島の悲鳴が響いた。


 走って私も店内へ入る。


 すると、普段ならお弁当とか、おにぎりとか、ラーメンとか、うどんとかが陳列されている棚に、男子達が横にされてぎゅうぎゅうに押し込まれていた。

 皆、既に気をうしなっているのか、眠ったような顔をしている。

 見ると服には値札が付けられていた。

 男子達が商品ってこと?

 だいたい120円。

 おにぎりと同じ値段。安!


 そして、トラックを運転していたあの化け物が、店の奥の棚に、今まさに高野を押し込んでいた。

 西島はそれを見て発狂している。


 西島の声に気付いた化け物が、高野を棚に放り出して、西島の方へと近付いた。


「あ゛れ゛え゛ こ゛い゛つ゛ 棚か゛ら゛ 落゛ち゛た゛の゛か゛?」


 うわ、この化け物、喋った。

 っていうか、西島を商品だと思ってるみたいだ。


「ぎゃあああああ」と叫び散らす西島。

「助けてええ、間宮あああ」と、私に気付いて助けを求めてきた。


 その調子で化け物が私の方を見て、目を大きく見開いた。

 チッ、気付かたじゃん! 西島のバカ。


「あ゛れ゛ お゛ん゛な゛だ」


 女がコンビニにいちゃ駄目なわけ?

 そう言えば店内の棚に並べられてるのは男子ばっかりだ。


「お゛ん゛な゛は゛ こ゛こ゛じゃ な゛い゛ こ゛ろ゛そ゛う゛」


 化け物はそう言うとこちらに近付いてきた。

 化け物の身長は普通の人間とあまり変わらないけど、剥き出しの腕や足はすんごい筋肉もりもりだ。

 手でゴツンとやられるだけで頭がふっとびそう。


「でも、私にはこれがあるし」


 私はそう呟きながら、手に持っていたラヴの剣を鞘から抜き、映画とかで観たことある1シーンみたいに、適当にかっちょよく構えた。


「ま、間宮!! 殺されるよ!!!!!」と、西島がわめく。


 うるさい。今カッコいい所だから黙って見てろ。


 化け物が2メートルくらいまで近寄った所で、私はラヴの剣を化け物めがけて振り下ろした。

 ピンク色の軌跡が、化け物の頭から足元までまっすぐに伸びる。

 剣は化け物の体をスルッと一刀両断した。

 わー、やっぱこの剣すげえ。全然力入れてないのに、簡単に切れた!


 化け物の体が綺麗に真っ二つに割れて、どすんとコンビニの床に落ち、緑の体液が飛び散る。

 うわ、きしょい。液体につかないように後ろに下がる。


「す、すごいよ、間宮!!」と、私の勇姿を見た西島が、今度ははしゃぎ出した。


 はいはい。

 知ってる死ってる。

 私本当に勇者みたい。

 昨日までは登校拒否気味の引きこもり系女子だったけど、世界がこうなって、なんか逆転って感じ?

 なんちゃって。

 でも、このラヴの剣を持ってると、変な自信みたいなのが湧き上がって、本当に勇者にでもなったみたいな気分になる。

 そんなことを思いながら、私は剣を鞘に戻した。


 そして、奥の棚に押し込まれた高野の所へ移動した。

 高野も気を失っている。

 眠った顔もやっぱりイケメンだ。

 とりあえずその綺麗な顔をぺしぺしと叩いて起こそうとした。

 揺さぶったり声を掛けたりもしたが、それでも起きなかった。

 何かの薬で眠らされてるのかもしれない。

 息はしてるようだから、死んではいないと思う。

 高野にも値札は付いていた。

 200円。

 ちょっと高い。

 うん、きっとイケメンだからだろうね。


 男子達は眠ったまま起きないので、とりあえずコンビニの電気だけ消した。

 コンビニの明かりが消えると、辺りはかなり暗くなった。

 ひとまずこれで、化け物がここにコンビニがあるってことに気付かなければいいけど。


 そして私達はコンビニをあとにして、更にダンジョンの先へと進み出した。 

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