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僕と彼女のアンリアリティー  作者: 四十路小作
二章 襲来のファーストカズン
18/21

steppe003 妙なる遭遇

申し訳ありませんでした<(_ _)> 作者体調不良(背中のぎっくり腰)のため更新遅れました。

まだオクスリ飲みながらの執筆なので短めです。皆さんも腰と背中は大事にね☆

 6日目。ゴールデンウィーク初日。朝から昼まで七奈といちゃいちゃして過ごした僕は、昼食後しばらくしてから白山さんの家へと訪れていた。


「いらっしゃい、塚杜くん。括理くくりは学校に行ってるけど、すぐ戻ってくるから上がって待っててね」

「おじゃまします」


 白山さんのお婆さんに促されて玄関横の応接間へと通される。連休初日から白山さんが学校に行ってるのは飼育委員の仕事があるからだ。これは事前に聞かされていたので昼まで七奈と時間を過ごしていたのだ。


「今日も旦那さんはお留守ですか? そろそろ経過報告をしておきたいのですが」

「居ますよ。今はタエちゃんと裏の道場でわちゃわちゃしてますけど」


 わちゃわちゃ? ええと、標準語でぺちゃくちゃって意味だっけ?

 タエちゃんって誰か知らないけど、道場でわちゃわちゃってどういう意味なんだろうか?

 それに神社の裏手に道場とか時代劇みたいだな。

 僕は出されたお茶に口をつけながら首をひねった。


「それなら僕が道場の方に行っても良いですか。御嬢さんが帰られる前に報告しておきたいので」

「うう~ん、良いのかしら? そもそもタエちゃんの足止めで道場にいるのに……」


 何か不都合があるのか、お婆さんは上品に頬に手を当てて首を傾げている。

 足止めとかちょっと物騒な表現もあるし、今日も報告はあきらめようかな。と思ったところでお婆さんが手を合わせた。


「ま、良いか。うん、どのみちあのタエちゃんがあきらめるわけないし。これも家の可愛い括理を手に入れるためだと思ってね、塚杜くん」

「て、手に入れるって何を言ってるんですか! お嬢さんに失礼ですよ!」


 なんか誤解されている気がする。まるで僕が括理さんに懸想しているみたいな言葉だった。

 ――図星だけどね!

 あらあらまーまーと微笑まし気にしているお婆さんが恨めしい。これだからご年配の方は苦手なんだ。


「それじゃあ道場へ行っても良いんですね」

「良いわよ。裏口から行っても良いんだけど、履物のこともあるから家の外側をぐるっと回っていけばいいわ」


 僕を見て微笑みが止まらないお婆さんの視線から逃れるようにして腰を上げる。そのまま聞いた通りに一度玄関に出て靴に履き替え、純和風の昭和的な家屋の裏手へと回る。

 そこに現れる古びた道場。竹林の中に在ることもあって本当に時代劇みたいだ。


「――せやあ!」

「――甘ぇよ」

「――くあぁっ!?」


 ……ん? くぐもった男女の声が聞こえた。音の発生源は道場の中。男の声が白山(クソ爺)さんだとして、女性の声がタエさんとやらだろう。

 僕は詫び寂びの利いた風景を楽しみながら道場へと近づき――ドガーンと大きな音ともに突然飛び込んできたナニかに驚きたたらを踏んだ。


「ぐぅっ」


 ナニかは道場の扉を破って出て来ると土の地面をゴロゴロと転がった。道場から僕の所まで4、5mほどあったのだが、僕の目の前まで転がると見事な回転受け身で膝立ちとなった。

 動きが止まった事で確認できたナニかの姿を見た僕は驚き固まった。何故ならそのナニか、いや女性が今までに見たことが無いほどの美人だったからだ。

 地面に転がった事で乱れた黒髪は長く艶やかで、雪の様に白い肌は土で汚れていることでさらに際立っている。そして何より道場の方を睨みつける怜悧な瞳は見る者を惹きつけるほどに強く、厳めしくしかめられた顔すらも整い過ぎて美しく見える。

 ……え、誰これ。ちょっと、すごく、ありえないくらい美人すぎるんですけど?


「……誰?」


 茫然と見つめていた僕に気付いた美人が険しい視線を向けてくる。美人が怒った顔は怖いと聞いたことがあるけど、実際に睨まれた僕としては怖いと言うか居心地がもの凄く悪い。何も悪いことをしていないのに罪悪感に飲まれそうだ。


「あ、その。し、白山さんのお爺さんに用があって……」


 運動もしていないのに呼吸を乱した僕をさらに視線をきつくした美人さんが観察してくる。未だ残心、膝立ちの状態なので見上げるように態勢になっているせいか目つきがより鋭く感じられる。

 数秒だろうか? 僕を睨んでいた美人さんが何かに気付いた様に立ち上がった。


「貴方、もしかしてくくりん…括理の言ってた男?」


 くくりん? クリリンのことか? ……違うか。初対面の美人に何故か睨まれる事になった僕は少々混乱しているようだ。


「よく解りませんが白山さんには最近良くして貰ってます」

「へえ…“良く”、ね」


 どう答えて良いか解らなかったので当たり障りのない返答をしたところ、何故か美人さんの眼光が強まった。薄い唇が開き何か言おうとした美人さんだったが、横から入って来た声に遮られる。

 扉が倒れて空きっぱなしになった道場の入り口に居た白山(クソ爺)さんの一括だ。


「どうした! もう終わりか!」

「くっ、まだです! ――貴方、後で覚えておきなさい。絶対許さないんだから」


 その挑発に美人さんが振り向き、もう一度僕の方に振り返って言い捨てた。

 ええ~……なにもしてないのに何でそんなに恨まれてるの~? 初対面の美人さんに恨み言を言われるほど嫌われてるって普通にショックなんですけど。

 白山(クソ爺)さんに挑む美人さんの後姿を見ながら茫然とする僕は、追い打ちをかけるように白山(クソ爺)さんにシッシと後ろ手に追い払われ、トボトボと来た道を引き返して行った。

 ええ~ほんと僕が一体なにしたのさ。え、ぼっちだからこんなに邪険にされるの? イケメンリアジュウだったら優しくしてくるれるの? 美人さんに初見で嫌われるのがぼっち仕様なの?

 ちょっとマジで泣きたくなってきた僕は白山さんのお婆さんに熱いお茶を貰って冷えあがった心を温めた。

 しかし、僕は知らなかった。白山(クソ爺)さんが僕をあの美人さんから護ってくれていたことを。

 僕はそれをゴールデンウィーク中に知る事になる。――白山さんの挫折と共に。


今週は2日に一回の更新を予定しております。次回は火曜日深夜あたりです。

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