1/4
第1章
“にゃーんにゃーん”
か細い猫の鳴き声が聞こえた。
「こんな雨の中、どうしたんだ?」
今日は朝から雨が降っている。
台風が近づいているらしく、風も強い。
声がする方へ、と足を進める。
十字路を曲がったとき、何かが足に当たった。
「にゃっ⁉」
驚いたような声もする。
ふと足元を見ると、一式揃っている女物の服の中から、ひょっこりと顔を出している白猫がいた。
「野良……なわけないよな。
……お前、捨てられたのか……?」
服は恐らく飼い主のものなのだろう。
このごろ寒いから、少しでも寒くないように…と、置いていった……のか?
……いや、しかし……靴まであるのだが…これは…?
ま、いいか。
「ほら、おいで。俺の家にくるかい?
今日から、お前は俺の家族だよ」
その猫は、俺の言葉を理解したようで、こくり、と頷いた。