表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

「Although continued to choose the wrong way many times...」

卒業式が終わり、生徒たちと談笑を終えてひとり校長室に戻ってくると、携帯が鳴った。見ると、知らない番号から電話がかかってきている。

いつもなら無視してしまうのだが、この日の花子は電話を取った。


「もしもし」

『…赤月です』


相手は深夜の居候だという少女だった。


「何だ一体」

『先程は失礼しました。私、嘘をついていたんです』

「嘘?」

『…深夜はあのとき、私の隣にいました』

「え?」

『目に異常が起こって病院に行ったのは本当です。でも検査はすでに終わり、もう限界だという診断を受けていました。深夜はその旨を私に代わりに言わせたんです』

「あいつどうしてそんなこと」

『深夜はあなたから離れるのがあなたにとって1番良いことだと思っているようです。でも、自ら言う決心がついていないあたり、まだ諦めきれていないのでしょう。だからこうした手段を取った』


赤月の言葉は少女のそれとは思えないほど賢く、落ち着き払っていた。花子は思わず苦笑いが浮かぶ。


『私たちは駅前で昼食をとっているところです。今はトイレを装って電話をかけています。もう食事は終わります』

「つまりこれから駅に行って電車に乗っちまうってわけだな?」

『はい。急いでください。…深夜もあなたも、こんな終わり方では絶対に後悔します。深夜に会って、話をしてください』

「言われなくてもそのつもりだ!しっかしお前すごいガキだな、年サバ読んでるんじゃねぇのか?」

『大人びているとはよく言われます。では、のちほど』


電話が切れる。最低限の支度をしながら頭を働かせる。

病院の最寄駅は花神楽のひとつ先だ。歩いていけない距離ではないが、今は時間がかかりすぎる。しかし今日は花子は車で来ていないし、タクシーもすぐには来てくれないだろう。

そこまで思考を巡らせて、花子は校長室を飛び出し、職員室に駆け込んだ。


「アレックスいるか!!」


よく通る声を張り上げると、見慣れた金髪が振り向いた。


「どうしたんだいハナコ、そんな大声を出して」

「アレックス車出せ!」

「えっ?」

「詳しい話は後だ!いいから来い!!」


アレックスの腕を掴んで職員室を出る。彼はまだ困惑の表情を浮かべている。


「いったいどうしたんだい」

「深夜が見つかったんだよ!」

「えっ!?本当かい?」

「時間がねぇんだ!早く行かねぇと!!」


駐車場に着き、アレックスが運転席に乗り込む。花子も助手席に飛び込んだ。


「詳しい事情は分からないが、君の頼みなら仕方ない。協力しよう。さぁ行こう!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ