トマト
僕には、気になる人がいるんだ。
その子は、例えると白雪姫見たいな人。
髪は、真っ黒でとてもサラサラしている。
人見知りなのか、特定の友人と喋れるとき以外、顔がこわばっている感じがする。
たまに目が合うとすぐ逸らされる。
友達にそのことを話すと。
「別に目があってるわけじゃなくって、お前がずっとその子のことを見てるだけだろ」
って言われた。
まぁ、いろいろ考えて、放課後の教室にその子を呼び出した。
それで、いざ言おうとしたとき、そのこにトマトをなげられた。
何個か投げられた後、その子は走って逃げた。
びっくりした。
なんでトマト持ってるの?
そんなに投げる必要あるの?
意味わかんない。
シャツが汚れた、トマトくさい。
そんなことを思いながら帰った。
帰り道で、友達に会った。
僕のシャツを見て、笑いながら「どうしたんだよ」と聞かれた。
ぼくは、あの子を呼び出したこと。
告白しようとしたら、トマトを投げられたこと。
それを全部話した。
そしたら友達が、また笑い出した。
「これで君も仲間入りだな」って。
友達曰く、あの子は告白されるたびにトマトを投げていたらしい。
そのあと帰りながら考えていた。
そういえば今日の晩御飯はトマト鍋って母さんが言ってたっけ。
僕を見て、トマトくさいとか言うんだろうな。
コンビニが見えたので、トマトジュースを鍋用に買って帰った。
――――――晩御飯のトマト鍋は、案外おいしかった。