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退屈するかもしれませんが・・・

まぁ、見てやってください。。

もうすぐで6時になる。


公園にさっきまで遊んでいた子ども達の姿はもうない。


聞こえるのは、自分が今こいでいるブランコの「キー、キー」という音。風によって木の葉がこすれ会う音。道路を通る自動車の音。どこかの家からか聞こえる口論や笑い声。中には泣き声も混じっているかもしれない・・・。


静かではないが寂しげな感じがする。


しかし、これは今日だけではない。


これからもずっとこうだろうな。



もうすぐ6:30だ。


時間は経ってもさっきとほとんど同じ状況。自分はブランコをこいでいた。


ッザ ッザ


砂と靴が擦れ合う音がした。


(こんな時間に来客か・・・いや、ここは家じゃないからその言い方は違うかな。珍し・・くはないか。確か昨日、高校生がサッカーの練習をしにこの公園に来てたし。)


その音がした方を見るとそこには高校生の男の子ではなく・・女の子・・・だった。


(女の子・・・っていう歳ではない・・・な)


彼女は高校生だった。しかし、ここら近辺の高校の制服ではなかった。


今は10月。もう肌寒い季節になり、最近ではコートを着てる人を見ることが多くなってきている。


彼女はコートは着ていなかったが、黒っぽい靴下を穿いて紫っぽい色と黒のチェックのスカートはひざぐらいまで。紺のブレザーの下にはグレーのセーターを着ていた。そして紺のネクタイ。

髪はかたより少し下ぐらいまでで銀縁の眼鏡をしていた。容姿は普通だ。体系も細くもなく太くもなく。


「あ・・・」


彼女は私に気付き少し驚きの声をあげた。多分、誰もいないだろうと思って公園に足を踏み入れたのだろう。しかしそこには先客がいた。


10月にもなれば暗くなるのはあっという間だ。もう辺りは真っ暗だった。


しかし公園には電灯があった。見るとそこに虫が集まっていた。


「・・・」


彼女は少し迷って、そして私の横のブランコにのった。私は気にせず、ただブランコをゆっくりとこいでいた。彼女はそんな空間が嫌だったんだろう。いずらかったんだろう。5分も経たずにここを後にした。



その後何日かそういう日々が続いた。


彼女は最初の時より段々長く、私の横のブランコにのってこぐようになった。


そして時々私の方に何度か視線を送るようになっていた。



私はたいして気にすることもなく、ただブランコをゆっくりこぎ続けていた。




そして約6日たったある日


ッザ ッザ


(また・・か・・・。)


私は彼女と目を合わせないように、ブランコを一生懸命、しかしゆっくりこいでいた。


彼女は昨日とおなじように、相変わらず私の横のブランコにすわっていた。


ただ違うのは、今日は私服だったこと。少女はジーパンに黒のフード付きロングカーディガン、その下にセーターを着ていた。


キー キー


少女が来てから少し経った。


「ぁの・・」


それが初めて彼女自身の意思で私にかけられた言葉だった。


私はブランコの動きを止め、彼女を見た。


「何?」


彼女は少しビクッとして顔を俯けて、そして私をもう一度見た。


「よくここにいらっしゃいますよね。」


「まあね。」


「ここ、好きなんですか?」


「ん〜好き・・ではないと思う。」


「じゃあ何で?」


「なんとなく・・・かな。」


「そうですか。」


短い話だった。しかしそれが嬉しかったのか・・・彼女はいつもより大きくブランコをこいでここを出た。



その日からだった。


彼女は私に何度か質問をしてくるようになった。


「いつからここに来てるんですか?」


「最近。」


「何時くらいに帰るんですか?」


「気分で変わる。」


「寒くないですか?」


「気にはならない。」


「何をいつもしてるんですか?」


「ブランコこいでる。」


・・・・・・・・・・


私はあんまり真剣に答えてはいなかったが、彼女は私が答えると嬉しそうにブランコをこいだり。ときにはさらに質問するようになっていた。


時々高校生がサッカーをしに来たり、どこかのおじさんがベンチに寝に来たりしたが、あまりいざこざは起きなかった。


(あぁ、一回だけ女子高生がここに来て騒いで、ちょっと揉め事勃発みたいなことが起きたりしたが・・・その時は近くに通りかかった警察官の人がなんとか対処してくれたからよかった。)



「あの・・どうかしましたか?」


「え?あ、いや・・。ちょっとボーっとして」


「あの、お名前なんて言うんですか?」


「・・・あなたは?」


私はこの時初めて彼女に質問をした。彼女は少し戸惑って、でもうれしそうに言った。


「私は、ふじいやえっていいます。」


「私はね、とわ」


「とわってどういう字ですか?」


「京都の都に和む」


「きれいな漢字ですね。私はこう書きます。」


やえはどこからか木の枝を採ってきて、地面に書いた。


   藤井 弥依


書き終わったらすぐにブランコに乗った。


「都和さんは何歳なんですか?」


「15」


「えぇ!!」


私は急に弥依が大声をあげたので少し驚いた。


「・・・・・」


「あ、ごめんなさい。なんか見えなくて。もっと歳下かと・・・」


「・・・何で?」


「背が低かったから。」


(歳下に普通敬語使うか?)


「あ、気に障ったなら・・ごめんなさい。」


「別に気にしてないから。」


「あ、でも話方大人っぽいから・・・。なんとなく納得できます。」


「・・・・」



弥依は私を都和さんと呼んだ。


私は(あまり呼ぶことはなかったけど)弥依とは呼ばず「あなた」と呼んでいた。



弥依は素直だった。


色んなことを聞き、そのたんびにうなずいたり納得したりする顔が面白かった。


しかし気を使ってか、あまり私とこの公園とのことには触れなかった。


始めより、弥依は大分私と話せるようになっていた。












・・・・・難しい・・・

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