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終わりと始まり
長い戦いがあった。数ヶ月に及ぶその戦いは世界中に傷跡を残した。二大勢力は互いに持つ力をぶつけ、さらには戦いに無関係の小国まで巻き込み尊い命を踏みにじった。結局この戦いで得たものは傷跡だけで他には何もなかった。二大勢力は平和条約を結んだがこれがいつまで持つかは分からない。
この戦いの中で誰からも偲ばれず、うたわれることのなかった者達がいた。ただ、自分たちの世界を守るために二大勢力と戦った。己の大切なものを守るため、信念を貫く為に戦った。だが、戦いの中で一人また一人と倒れていった。戦いの終焉の時には一人しか立っていなかった。しかし、誰も彼を慰めようともせず、話しかけることもなく、ただ横を通り過ぎて行った。
戦いの果てに人々は各々の思いを胸に平和の二文字を掲げ復興に勤しんでいた。それから二年が経ち、至る所で開発が進む中、二年前の戦いの教訓を忘れたが如く権力争いが水面下でくすぶっていた。様々な陰謀がはびこる中、東の果ての村にも火の粉が降りかかっていた―。