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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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壁の向こう

拒絶核が軋む。


 それは“崩壊”ではなく、“持続の限界”に近い音だった。


 レインの周囲だけ、世界が歪んだまま固定されている。


 空白はそこに触れられない。


 だが――消えもしない。


『観測継続』


『拒絶構造:解析進行中』


 冷たい声が、世界の裏から響く。


 ミナが叫ぶ。


「ねえこれ、いつまで持つの!?さっきからずっとバグってるみたいなんだけど!」


 セリアは魔力を抑えながら歯を食いしばる。


「維持してるのはレインの意志そのもの……でも限界がある」


 リシアが青ざめる。


「ずっとは無理ってこと……?」


 ネアは空白を見たまま、静かに言う。


「無理じゃない」


「“向こう”が諦めるまで」


 その言葉に、全員が一瞬黙る。


 諦める。


 あの存在が?


 レインは剣を握りしめたまま、空白を睨む。


「諦めるとかいう概念あるのかよあいつら」


 ゼノスが静かに答える。


『ない』


 即答だった。


 ミナが乾いた笑いを浮かべる。


「じゃあ詰んでるじゃん」


『だから“戦い”ではない』


 レインの目が細くなる。


「じゃあ何だよ」


『上書き速度との競争だ』


 空白が一歩、さらに近づく。


 拒絶核がわずかに揺れる。


 ――パキ。


 小さな音。


 レインの眉が動く。


「今の……」


 セリアが即座に反応する。


「構造が一部、抜かれた……!」


 リシアが息を呑む。


「解析が進んでる……!」


 ネアの声が低くなる。


「“拒否の仕組み”を理解し始めた」


 空白の中に、明確な変化が生まれる。


『拒否構造:再現可能性検証』


『モデル化開始』


 ミナが顔を引きつらせる。


「やめてそういうの!敵が学習するやつでしょそれ!」


 レインは舌打ちする。


「クソ……マジで学ぶの早いな」


 ゼノスの声が重くなる。


『まずい』


「何がだ」


『拒絶核は“未知であること”で成立している』


 レインの動きが止まる。


「未知……?」


『理解された瞬間、突破される』


 空白が静かに“形”を変える。


 今までの無形ではない。


 薄い構造が見え始めていた。


 まるで“設計図”のように。


 ネアが呟く。


「もう……見えてる」


「拒否の形が」


 セリアが震える声を出す。


「そんな……」


「解析されたら終わりじゃない」


 空白の声が響く。


『拒否モデル:構築完了』


『再現試行』


 その瞬間。


 空白の一部が“拒絶核と同じ圧”を持ち始めた。


 レインの目が見開かれる。


「……マジかよ」


 ミナが叫ぶ。


「真似してきてる!!」


 ゼノスが静かに言う。


『コピー開始だ』


 空白が一歩進む。


 拒絶核がわずかに押し返す。


 だが――


 今度は、完全には押し返せない。


 “同じもの”がぶつかっている。


 レインの額に汗がにじむ。


「これ……どっちが強いとかじゃねぇ」


「同じ土俵になった」


 ネアが静かに言う。


「じゃあ……意味ない?」


 レインは笑う。


「いや」


 剣を握り直す。


「むしろ面白くなってきた」


 ミナが即座に突っ込む。


「どこが!?」


 レインは空白を睨む。


「真似できるならさ」


「こっちは“変えればいい”だけだろ」


 その瞬間。


 拒絶核の蒼黒が揺れた。


 形が変わる。


 単なる“拒否”ではなく――


 “拒否を拒否されない拒否”へ。


 ゼノスが低く言う。


『適応開始』


 空白も変わる。


 同じように歪む。


 まるで終わりのない応酬。


 だがその中で、ネアだけが気づく。


「……違う」


 小さく呟く。


「これ、戦いじゃない」


 リシアが振り向く。


「じゃあ何……?」


 ネアは空を見上げる。


「“決めようとしてる”」


 その言葉と同時に。


 空白の奥に、もう一つの“視線”が現れた。


 今までとは違う。


 観測でも評価でもない。


 ただ一言。


『選択』


 レインの背筋が冷える。


「……選択?」


 ゼノスが静かに言う。


『来るぞ』


『最終判断だ』


 空白が、ゆっくりと収束する。


 世界は静かに――


 答えを求められ始めていた。



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