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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2シーズン第1章

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下層落下

階段は終わらなかった。


 鉄製の足場。


 赤い非常灯。


 湿った空気。


 同じ景色がずっと続いているのに、降りるほど“現実感”が薄くなっていく。


 ミナは息を切らしながら言う。


「まだ着かないの……!?」


 男は前を走ったまま答える。


「もうすぐだ!」


 その瞬間。


 上の方から、“閉鎖音”が響く。


 ゴォン。


 ゴォン。


 巨大な何かが順番に閉じていく音。


 リシアが青ざめる。


「追ってきてる……?」


 セリアは首を振る。


「違うわ」


「“区画そのものを封じてる”」


 レインは無言で階段を降りる。


 だが以前のような余裕はない。


 リングが黒く脈打つたび、輪郭が少しだけ揺れる。


 ネアが小さく呟く。


「……不安定」


 ミナはちらっとレインを見る。


 そこにいる。


 でも、視線を外すと存在感が薄れる。


 怖いくらい自然に、“忘れそうになる”。


 ミナは無理やり声を出した。


「レイン」


 レインが少しだけ振り返る。


「なんだ」


 その声を聞いて、ミナは少しだけ安心した。


「……いや、呼んだだけ」


 男が険しい顔で後ろを見る。


「静かにしろ」


「下層に近づいてる」


 リシアが聞き返す。


「下層って何なの?」


 男は少し黙る。


 そして低く答えた。


「“落ちた場所”だ」


 その瞬間。


 全員の足元が揺れる。


 ギギギ……。


 鉄階段が軋む。


 ミナが悲鳴を上げる。


「ちょっ――」


 次の瞬間。


 階段が崩れた。


 世界が反転する。


 赤い灯り。


 浮く感覚。


 崩れる鉄骨。


 リシアの叫び。


 ミナが手を伸ばす。


「レイン!!」


 落下。


 だが。


 衝撃は来なかった。


 全員が“ゆっくり沈んでいる”。


 まるで水の中みたいに。


 男の顔色が変わる。


「まずい……!」


 セリアが空間を見る。


「重力が壊れてる」


 周囲は暗い。


 だが下の方に、“街の灯り”みたいなものが見え始める。


 リシアが息を呑む。


「街……?」


 ネアが静かに言う。


「違う」


「“落下層”」


 その瞬間。


 下から、巨大な影が浮かび上がる。


 目。


 無数の目。


 建物ほど大きい“何か”が、ゆっくりこちらを見上げていた。


 ミナの顔が引きつる。


「うそでしょ……」


 男が叫ぶ。


「見るな!!」


 だが遅い。


 目が開く。


 同時に、頭の中へ直接“声”が流れ込む。


『新規落下物確認』


『識別開始』


『……生存中?』


 レインのリングが激しくノイズを走らせる。


 バチバチッ!!


 輪郭が崩れる。


 ミナが叫ぶ。


「レイン!!」


 その瞬間。


 落下が止まる。


 全員が、“何もない空中”へ放り出された。


 直後。


 ドサッ!!


 硬い地面。


 衝撃。


 ミナが咳き込む。


「げほっ……!」


 周囲を見る。


 そこは、“街”だった。


 だが普通じゃない。


 空が低い。


 建物が全部傾いている。


 信号機みたいなものが逆さに点滅している。


 遠くには、宙に浮いた列車。


 そして街全体に、“霧”が漂っていた。


 リシアが呆然と呟く。


「……ここ、何」


 男はゆっくり立ち上がる。


 顔色は最悪だった。


「下層第九区域」


「通称、“落下街”」


 その瞬間。


 霧の奥で、“誰か”がこちらを見ていた。


 細い人影。


 だが顔がない。


 ミナが凍る。


「また……」


 男は首を振る。


「違う」


 その声は、今までで一番重かった。


「……あれは元人間だ」

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