表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

113/161

本物の残響

森に残った“それ”は、もう影ではなかった。


 かといって、人でもない。


 ただ一つに収束したはずの現実の中で、なお“定義されきらなかった部分”。


 ミナは息を呑む。


「え……終わったんじゃないの?」


 セリアは静かに首を振る。


「違うわね」


「“収束したあとに余るものが出た”」


 リシアが不安そうに見つめる。


「余るって……どういうこと?」


 ネアは静かに答える。


「どの現実にも完全には属していない部分」


「“選ばれなかった残り”」


 レインはそれを見ている。


「で、それは敵か?」


 ゼノスが一瞬だけ間を置く。


『分類不能』


『残響体:未確定』


 ミナが顔をしかめる。


「またそれ……もうそれ聞き飽きたんだけど……」


 残響体は動かない。


 攻撃もしない。


 ただ、森の空気を“少しずつずらしている”。


 まるで世界の輪郭をなぞり直すように。


 リシアが小さく言う。


「なんか……見てるだけで違和感ある」


 ネアは静かに言う。


「うん」


「“存在の余白が形になってる”」


 セリアは目を細める。


「まずいわね……これ、消せないタイプよ」


 ミナが振り向く。


「消せないって何!?」


 セリアは淡々と答える。


「“決まったあとに残る矛盾”」


 その瞬間。


 残響体が、初めて“動いた”。


 動きは小さい。


 一歩。


 ただそれだけ。


 だがその一歩で、森の奥の木の位置がわずかに変わる。


 リシアが息を呑む。


「今の……現実変わってない?」


 ネアは静かに頷く。


「うん」


「“収束後の修正が始まった”」


 ミナが青ざめる。


「え、それもう終わってないじゃん!!」


 レインは一歩前に出る。


「なら殴るだけだろ」


 ミナが即座に叫ぶ。


「それ効く相手かどうか確認してからにして!!」


 残響体はレインを見ている。


 正確には“見ているように見える”。


 だがその視線には焦点がない。


 代わりに――


 “世界そのものを見ている”。


 セリアが低く言う。


「これ……個体じゃないわね」


 リシアが震える。


「じゃあ何なの……?」


 ネアは少し間を置いて答える。


「“選ばれなかった現実の集合”」


 ミナが小さく言う。


「それって……敵とかじゃなくない?」


 セリアは即答する。


「ええ」


「“世界の裏側の余り”よ」


 その瞬間。


 森の空気が一瞬だけ“逆流”する。


 音が遅れて戻ってくる。


 時間の流れが微妙にズレる。


 リシアが叫ぶ。


「今のなに!?時間おかしくなってない!?」


 ネアは静かに言う。


「うん」


「“収束が不完全だった”」


 残響体はもう一歩進む。


 そのたびに、森が微妙に変わる。


 だが完全には壊れない。


 ただ、“少しずつ違う現実に揺れる”。


 ミナがぼそっと言う。


「これ……戻らないやつだよね……」


 セリアは静かに頷く。


「ええ」


「“元に戻る前提がもうない”」


 レインは残響体を見る。


「じゃあどうする」


 ゼノスが静かに応える。


『対処法:未定義』


『観測継続推奨』


 ミナが叫ぶ。


「推奨って何!?助けてくれる気ないじゃん!!」


 ネアは残響体を見つめる。


「これはまだ完成してない」


 リシアが聞き返す。


「完成……?」


 ネアは静かに言う。


「うん」


「“この世界の最終形の一部”」


 セリアは目を細める。


「つまり……まだ途中ってことね」


 ネアは小さく頷く。


「うん」


「“ここから先が本番”」


 残響体は森の中心で静かに立っている。


 敵でもない。


 味方でもない。


 ただ――


 “まだ決まっていない世界の形”だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ