表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/162

基準の奪取

 影の群れは、もはや“影”と呼ぶのが曖昧になっていた。


 輪郭が安定し始めている。


 顔があるわけではない。


 だが「顔があるように見える瞬間」が増えている。


 ミナは息を呑む。


「これ……さっきより人間っぽい」


 セリアは静かに言う。


「ええ」


「“人間を基準に形が固定されてきてる”」


 リシアが不安そうに周囲を見る。


「でもさ、人間っぽくなるって……いいことなの?」


 ネアは即答しない。


 少し間を置いてから言う。


「場合による」


「“基準が奪われるか、共有されるかで意味が変わる”」


 レインは剣を肩に担いだまま、群れを見る。


「で、これはどっちだ」


 ゼノスが静かに応える。


『基準参照開始』


『人間側データ:吸収中』


 ミナが顔を引きつらせる。


「吸収って言った今!?やばいやつじゃん!!」


 その瞬間。


 影の一体が、ミナの動きを真似する。


 一歩下がる。


 呼吸のタイミングがずれる。


 視線の動きが近づく。


 ただし、どこか“正確すぎる”。


 リシアが震える。


「今の……コピー精度上がってない?」


 ネアは静かに言う。


「うん」


「“誤差が減ってる”」


 セリアが低く言う。


「まずいわね……模倣じゃなくて“再現”に変わってきてる」


 ミナが叫ぶ。


「それもう人間作れるやつじゃん!!」


 レインは一歩前に出る。


 影の群れも、同じように一歩前に出る。


 完全に一致していない。


 だが“合わせにきている”。


 ミナが息を呑む。


「今の……遅れなかった」


 リシアが青ざめる。


「同時に動いた……」


 ネアは静かに言う。


「うん」


「“基準が移った”」


 セリアが目を細める。


「人間じゃないわね……もう」


「“人間を参照している存在”よ」


 影の群れの中心に、わずかな揺れが生まれる。


 それは“個体”ではない。


 “集合の意思”でもない。


 ただ――「決まりかけた方向性」。


 リシアが小さく言う。


「これ……ボスとかじゃないの?」


 ネアは首を振る。


「違う」


「“中心があるように見えるだけ”」


 ミナがぼそっと言う。


「それ一番怖いやつじゃん……」


 その瞬間。


 群れが一斉に止まる。


 音が止まる。


 風も止まる。


 ただ“判断待ち”になる。


 セリアが息を呑む。


「今の……世界ごと止めた?」


 ゼノスが静かに告げる。


『観測基準:更新要求』


『応答待機状態』


 リシアが震える。


「更新って……何を?」


 ネアは静かに答える。


「“この世界の基準”」


 レインは剣を肩に担ぐ。


「なら簡単だろ」


 ミナが叫ぶ。


「簡単って言うな!!」


 レインは群れを見る。


「基準なんて」


「俺が決めりゃいい」


 その瞬間。


 影の群れがわずかに“揺れる”。


 拒絶ではない。


 抵抗でもない。


 ただ――“比較”。


 セリアが目を細める。


「まずいわね……対等扱いし始めた」


 ネアは静かに言う。


「うん」


「“人間と同じ立場に置かれた”」


 ミナが青ざめる。


「それってさ……もう戦いじゃなくない?」


 セリアは静かに答える。


「ええ」


「“どっちが基準かの競争”」


 影の群れが、一歩だけ前に出る。


 それは攻撃ではない。


 宣言でもない。


 ただ――


 「こちらも基準を持つ」という動きだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ