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第85話:罠感知を回避する方法


 「うわ……これ、またガラッと雰囲気変わったね」


 三階層へ降りた瞬間、眼前に広がったのは真っ赤なマグマ洞窟。

 赤熱した岩肌が続き、足元からじわじわと熱気が湧き上がる。


 「これは……配信的には超映えるけど、リアルに暑いっ!」


▶ 画面越しでもめっちゃ暑そう

▶ 地獄の観光地

▶ あっついのにぶさかわは元気そうだなぁ


 「いろはー、スプリンクラー使って! 熱すぎる!」

 

 「おっけー、スプリンクラー!」


 地面から水が噴き出すが、噴き出たすぐから蒸発して蒸気に代わっていく。

 

 「だめだー、よけい熱くなった!」

 

 「これはほんとにヤバイ……ってそうだ、これがあった。──熱気軽減ポーション」


 まどかといろははサラからもらっていたポーションを飲み、薄く汗を拭いながら前進。

 完全に熱気を取れるモノではないけど、体感相当暑さは和らいだ気がする。

 

 先に進むとあちこちで火の粉が弾け、溶岩の気泡が地響きを立ててはじけていた。


 敵も、当然この環境に合わせたラインナップ。


 溶岩をまとったゴーレム、炎を撒き散らすコウモリ、

 そして体表から蒸気を吹き上げる巨大なマグマワニ。


 「わっ、これ火力高っ!」


 「囲まれたらやばいよ! 気を付けて」


 前の階層より明らかに一匹一匹の強さが上がっていた。

 だがそのぶん、動きが直線的で読みやすい。


 「リコレクト・ショット!」


 魔導珠が火花を引いて飛び、ゴーレムの関節に魔力を打ち込む。

 まどかも、足元の岩を跳ねて接近し──


 「二連歩……からの、トリックブレイク! はい、ばいばーい!」


 ゴーレムの頭上を飛び越え、背中にナイフを突き立てて仕留める。


 少し進んだ先、岩陰にひっそりとたたずむ小部屋を発見。


 「……あ、これ宝部屋じゃない?」


 「あの箱……なんか、めっちゃ主張してるけど……」


 部屋の中央には、妙に装飾の豪華な大型宝箱。

 燭台が四隅に立てられ、まるで「どうぞ開けてください」と言わんばかりの雰囲気。


▶ これは……完全に罠

▶ 見え見えの死亡フラグ

▶ 実況者なら行くしかない


 「……どうする? これ、間違いなく罠だよ?」


 「でもさ……スルーするのって、なんか……」


 「冒険者としても、配信者としても──だめだよね」


 まどかといろはは顔を見合わせて頷き、慎重に部屋へと足を踏み入れる。


 「よーし……まずは、スキャン」


 いろはが魔導具を掲げて宝箱を調べる。


 「……え? これ、反応ないよ? トラップなし……?」


 「いやいやいや、こんな胡散臭いのに……」


 念には念を入れてまどかがぶさかわを抱えながらゆっくりと蓋を開ける。



 「空っぽ……??」


 「……は?」


▶ 空箱ォォォォォ!!

▶ ただの嫌がらせ?

▶ 釣りかよ!


──ガチャン。


 振り返ると、部屋の入口に鉄製のゲートが落ちていた。

 どこかで見たような影が、スモークの中で軽く手を振る。


 「今、宝箱開けたの見て、手動で罠を発動させた!?」


 「今の、絶対あの魔族だったよね!?!?」


▶ お手製ダンジョン感つよいww

▶ 本人出演系罠w

▶ 罠の内容自体は典型的なのもうけるw


 その瞬間、天井からゴゴゴと音が響き始める。


 「え……なにこれ……上から、なにか来て──」


 ──ジュウウゥゥゥゥウ…………


 マグマだ。

 天井の岩が割れ、そこから少しずつ、確実に、真っ赤なマグマが流れ始めた。


 「マジでやばいやつ来た!?」


 「え、これ……ほんとに、リスポーンコースでは!?」


 視聴者コメント欄も騒然となり、2人はマジの焦り顔で天井と扉を交互に見る。


 「やばいやばいやばい! どうする!? どうすんのこれ!!」


 「わたし、ぶさかわだけは守る……!」


 「いや私たちも助かる前提でいってぇぇぇぇ!」


 ──閉じ込められた密室、迫るマグマ。

 仕掛けは発動した。打開策は、あるか──?

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