第79話:勝者たちの報酬
「……うわ、これは……」
ボスを倒し、振り返るとその先に現れたのは、巨大なアーチ状の石扉。
開いた先に広がっていたのは、まるで伝説の絵画のような光景だった。
光が差し込むわけでもないのに、やたらと煌びやか。
金、銀、鉱石、宝石──山のように積まれた財宝たちが、視界いっぱいに広がっていた。
「ドラゴンって、こういうの集める習性あるって話、ホントだったんだ……」
「でも、これ……全部、ただのオブジェクトだね」
「入手は……できない系かぁー! 残念!」
▶ ぐぬぬ仕様
▶ 光るだけのオブジェクト……
▶ くぅー演出全振り
▶ 配信的にはアリ
「ま、気を取り直して──こっちが本命だね」
広間の奥に、どっしりと鎮座する黄金の宝箱。
全員が囲むように集まり、まどかが視聴者へウィンクをひとつ。
「では──開封!」
ぱかっ、と音を立てて蓋が持ち上がる。
中には、光を浴びて七色に輝く宝石類、鉱石の塊、魔法具のようなアイテム、
さらには──
「……なんか、すごく高そうな装備、あるけど……」
「威力とか性能じゃなく、完全に見た目重視だね。なんか……貴族とか踊り子が着てそうな……」
「しかもやたらセクシー系混ざってるな……!」
「これ絶対、性能以上にお値段高いやつ……!」
▶ おしゃれ装備ww
▶ これは配信映え装備
▶ 性能ゼロでバカ高いやつ
他にも、希少鉱石類、ハイポーションよりもさらに上位のエリクサー、
そして、ボスの直接ドロップとして──
「……これは、牙。こっちは……爪?」
「あと、この赤黒いの……鉱脈竜の“心臓”って書いてある……えっ、心臓!?」
アイテム情報を確認すると、
【鉱脈竜の心臓】
効果:鍛冶強化・触媒素材
説明:非常に高密度の鉱物層で覆われた心臓。鍛冶職人にとっては最高級の強化素材。
「やば、絶対これミナト喜ぶやつじゃん……!」
「じゃ、分配しよっか」
「牙と爪、ミスリルは等分でいいと思う」
「うちは鍛冶屋に渡したいから、鉱石系ちょっと多めにもらっていい?」
「じゃあ心臓もそっちで、うちらは装備類多めでもらおうか。ロロがあのきらっきらの装備、めっちゃ気に入ってたし」
「ふっふふ……これは“運命の出会い”だと思うの!」
「じゃあ決まりで!」
▶ 分配会議スムーズだな
▶ ロロが輝く(物理)
▶ 心臓使った装備とかどうなるのか
装備の整理も終わり、一行は部屋の隅に現れた転送ポータルの前へと移動した。
「……あった、地上行きの転送装置。ほんとに……よかった……!」
「さすがに帰り道を歩いて戻るのは勘弁だったからね……」
「ぶさかわもお疲れさま、きゅっ!」
シルクハットをちょこんと直したぶさかわが、まどかの肩にぴょんと乗った。
「それじゃあ、配信はここまで!」
「突発コラボ、楽しかったね!」
「視聴してくれた皆さん、ありがとうございました!」
「また、どこかで──!」
ポータルが光を放ち、4人と1匹を包み込む。
その姿が揺らめきの中へと吸い込まれていくのを最後に、
鉱山最深部の輝きは、暫しの眠りについた。




