第77話:鉱脈龍との死闘1
重く、地響きのような咆哮が広間全体に轟いた。
「来るよ──!」
まどかの声とともに、全員が戦闘態勢に入る。
巨大な翼竜──《鉱脈竜ジル=メテリオ》。
その身体は黒鉄の鱗に覆われ、胴体や四肢には鉱石状の結晶体が浮かぶように突き出している。
目はなくとも、視線を感じるような威圧感がある。
「このサイズ、久々だな……!」
サーシャが前へ一歩踏み出し、大剣を構える。
「サーシャ、左右からタゲ交互に取ろう。前面で受けるのはさすがにキツい」
「了解。後衛、援護よろしく!」
「ロロちゃん、私たち回復重視で行こう!」
「任せた! あたしは自由にやるね!」
開幕、ジル=メテリオが咆哮とともに爪を振り下ろしてきた。
「くっ──重い!」
まどかが受け止めきれずに弾かれ、サーシャが即座に前へ。
二人は交互に前に出ながら、タイミングを見てタゲを取り合う。
「スキルクールタイム、ヘイトそっちに行くよ!」
いろはの補助魔法がまどかに飛び、スムーズに攻撃対象が移り変わる。
▶ 連携うまっ
▶ このパーティー安定してるな
▶ さすがのサロロ&まどいろ
「ほんと、反応いいよね、まどか」
サーシャが片目を細めて笑いながら、まどかの動きに合わせて位置を取る。
ジル=メテリオは突如背を丸め、全身の結晶体に光を集めた。
「来る! チャージ系のスキル!」
「いろは!」
「カットスフィア展開──!」
いろはの詠唱とともに、広間に複数の結界が展開される。
直後、ジルの背中から放たれた光線が、あちこちで結界に衝突して爆発した。
「っ……今の、直撃ならやばかった……!」
「そろそろ──こっちも新スキル、試してみよっか」
まどかがステップを踏み、視界の隅でナイフを逆手に構える。
「──錯視・幕引き《クロスヴェール》!」
空間が揺らぎ、まどかの動きに合わせて幻影が分裂。
ジル=メテリオがその場で一瞬立ち止まり、ターゲットの選定を誤る。
シャドウステップのように分身を展開するスキルだが、こちらは効果は一瞬。
しかしデメリットなく使用することが出来る。
「今!」
「スラッシュチャージ!」
サーシャの大剣が突き刺さり、爆発的なダメージが表示された。
「ロロちゃん、回復──!」
「OK! ついでに足元に罠も置いといたよっ!」
ジルの後肢が罠を踏み抜き、一瞬バランスを崩す。
「うちの相棒もいい仕事してくれるわ~」
▶ 新スキルきた!
▶ クロスヴェールも演出かっこよ
▶ 前衛2人の連携が熱い!
戦闘は約10分を超えた頃──
ついにジル=メテリオの体表に亀裂が入り、動きが一時停止する。
「HP、半分……!」
まどかがログを確認しながら告げる。
「ここから、第二形態……って感じかな?」
結晶が淡く脈動し始め、内部の魔力が増幅しているのが見て取れる。
「後衛、一度距離取って! 次、動きが大きく変わる!」
「了解!」
「じゃあ、後半戦──気合い入れていこっか!」
「もちろん!」




