第75話:4人と1匹、総力戦
「くっ、さすがに数が多い……!」
「まだ出てくる!? これで何体目よっ!」
暗い小部屋の中、土煙とともに現れるムカデ型モンスター、地竜ムカデ。
それぞれの個体はそれほど強くはないが、何体も同時に湧いてくるため、処理が追いつかない。
まどかのナイフが一体を切り裂き、いろはの魔法が後続を弾き飛ばす。
「二連歩──スカーレットライン!!」
「サンクチュアリ・ライト!」
周囲を明るく染める光のドームが広がり、サーシャの剣が闇を切り裂いた。
「この部屋、通路が見当たらない! 進むには全部倒しきるしかないかも……」
「うーん、うじゃうじゃ気持ち悪いー!!」
ロロが軽快に動きながら斬り込んでいくが、その額にはうっすらと汗が浮かんでいた。
「まどにゃん、回復間に合ってる!?」
「うん、ギリギリだけど……でも、じわじわ削られるのが地味にキツい!」
「こっちも! スキルでさばいてるけど、油断したら一気に崩れそう──!」
ぶさかわは、いろはの影にぴったりとくっついて動き、時折「きゅっ」と短く鳴いている。
だが──
その瞬間、ぶさかわがピタリと止まり、首を高く上げた。
大きく吸い込むようにして──
「きゅっ!!」
甲高い、警告音のような鳴き声が響いた。
「えっ、ぶさかわ!?」
「どうしたの!?」
その声につられ、全員が一瞬だけ動きを止める。
──直後、頭上から土砂が崩れるような音。
「上──ッ!?」
まどかが反射的に跳んで回避したその場所に、天井をぶち破って1体の地竜ムカデが降ってきた。
「嘘、上からも来るの!?」
「ぶさかわ、グッジョブ!!!」
▶ ぶさかわセンサーきた!
▶ 完全に仕事した!
▶ フラグじゃなくマジで助かった!
▶ これは優秀すぎる
上からの奇襲をギリギリで避けた一行は、再びフォーメーションを立て直す。
「サーシャ、援護! ロロ、突っ込みすぎないで!」
「へいへいっ!」
「残り五匹! 一気に行くよ!」
それぞれの攻撃スキルともに、残りのムカデが全て倒される。
土埃がゆっくりと落ち着き、静寂が戻る。
「……ふぅ、なんとかなった」
「ぶさかわ……マジで命の恩人じゃん」
「うちの子、やればできるでしょ?」
まどかがどや顔で言うと、ぶさかわは「きゅきゅっ」と短く鳴き、胸を張って立ち上がる。
その頭のシルクハットが傾いて、妙に偉そうに見えた。
その横でなぜかロロも、自慢げに胸を張っていた。
「いや、マジで……あの奇襲、2人だったら普通に落ちてたかも」
「パーティー組んでなかったらここで配信終了だったね……」
「ぶさかわ、交戦中は役に立たないかと思ってたけど……見直したよ」
戦闘を終えた4人は、壁の岩に隠れた通路を見つけた。
「……通路、ある」
「この先が本命っぽいな」
「よし、ここ抜けて……ミスリル、掘りに行こう!」
「ぶさかわも準備はいい?」
「きゅっ!」




