第64話:栄光の投票タイム
異形の巨躯が光となって消え去った後も、会場にはしばらくざわざわとした空気が残っていた。
勝ったのか?
今のは、何だったのか?
あれは、運営の仕込んだ演出なのか──?
全滅したパーティが待機中画面で立ち尽くす中、画面の向こうの多くの視聴者たちもまた、信じられないものを見たかのようにしばし言葉を失っていた。
しかしそれも束の間──
公式チャンネルのMCが明るく空気を切り替える。
「というわけで!見事ボス討伐成功!参加者の皆様、本当にお疲れさまでしたー!!」
「さぁ皆さん、ここからはお待ちかね、投票タイムのお時間です! あなたが最も活躍したと思うプレイヤーを、ぜひ一人だけ選んで投票してください!」
投票は公式チャンネル上でのリアルタイム進行。
コメント欄が再び怒涛の勢いで流れ始める。
▶ DPSで見たらコノエとソラの二強だよな
▶ いやいや、まどかは前衛もしながら火力出してたぞ?
▶ ラストのいろはに勝てるやつおらんやろ
▶ 俺はロロに一票! ヒロインだろあれ
▶ フィーノも普通に良かった、良く持ちこたえてたよ
次々と票が投じられ、集計が進んでいく。
──その頃、待機ルーム。
いろはがソファの端にちょこんと座って、心配そうに呟いた。
「最後、わたしが目立ちすぎちゃったかな……票、割れちゃったかも……」
その隣で、まどかが柔らかく笑う。
「そもそも、いろはが動いてなかったら、倒せてなかったんだからさ。本当にすごかったよ。あそこで動けたの、尊敬してる」
「まどにゃん……」
「まぁ、あとはなるようになるよ」
「うん……ありがと、まどにゃん」
二人のやりとりの間にも、投票は着実に進んでいく──
そして、数分後。
MCが満を持してアナウンスを開始する。
「それでは──お待たせいたしました!
公式投票、総票数122,339票の中から、上位5名を発表していきます!!」
「まず──第1位! 21,542票を獲得したのは……」
……
……
……
「コノエ選手!!!」
画面に静かに頭を下げるコノエの姿が映し出される。
▶ やっぱコノエだろ!
▶ 最後まで安定して高火力
▶ 冷静さが異常だった
「最初から最後まで、圧倒的火力と効率的な戦況コントロール! まさに解析型魔導士の真骨頂!お見事でした!」
「続いて、第2位! 21,015票──惜しくも1位と500票差!!」
「まどか選手!!」
やや悔しそうに笑うまどかの表情が抜かれる。
▶ まどかもよかったー!
▶ 実質トップでもいいやろ!
▶ 1人で何役こなしてるのかって言う
「前衛として終始ボスのタゲを取りつつ、DPSとしても高水準で貢献。絶影のトリックスター、ここにありでした!」
「そして第3位! 僅差でこの男──」
「ソラ選手!」
静かに画面の前で手をあげるだけのソラの姿。
▶ 地味だけど貢献度やばい
▶ ソロから来たのにチーム戦めっちゃ強かったな
▶ 奥義の火力が強すぎる
「DPSとしての役割にとどまらず、行動妨害と詠唱封じという隠れた働きも光りました!」
「第4位、実質無効ながらも堂々の票数! いろは選手!!」
▶ いや、ほんとよくやったよ
▶ いろはに救われた
▶ チームで2位4位は誇っていい
「戦況を見極めた支援と回復、まどかとの連携──そしてラスト、ただ一人即死を生き延びての勝利の一撃!! お見事でした、いろは選手!!」
「続いて第5位、チームとしては4位となります。フィーノ選手!」
▶ 堅実さの象徴
▶ 支援の土台を支えてたよな
▶ フィー農場見直した」
「地盤を支えるタンクとして全体の安定に大きく貢献。粘りと判断力、素晴らしい立ち回りでした!」
「第6位は我らが盛り上げ役、ロロ選手!」
▶ ある意味主人公
▶ 爆弾ロロほんとすき
▶ 癒し系暴走ヒーラー!
「爆弾、回復、奇抜な動きで会場を盛り上げた功績は計り知れません!」
「以降、クレア選手、サーシャ選手、ユーリ選手と続きます! 皆様のご投票、ありがとうございました! もう一度、全員に盛大な拍手を──!!!」
──それぞれの戦いと努力に、賞賛と拍手が贈られる。




