第42話:これって……アリなの?
◆ フィー農場
「よし、ここからが本番だ!」
フィー農場の3人──フィーノ、ユーリ、クレア──は、ステージ1での悔しい最下位の雪辱を晴らすべく、気合を入れてダンジョンに挑んでいた。
3人という人数の利を活かし、道中の格上モンスターとの戦闘も避けず正面突破。
前線ではフィーノが堅牢な盾を掲げ、敵の注意を一手に引き受ける。
そこへユーリが素早く回り込み、接近戦で猛攻撃。
多少のダメージは、後衛のクレアが的確なタイミングで回復魔法を重ねる。
▶ チーム戦のお手本みたいな動きしてる
▶ 地味だけど安定感あるな
▶ こういう堅実さも大事だよね
決して派手ではないが、無駄のない連携で大きなロスを出さず進み──
他のチーム程の速度はないが、フィーノたちは順当に1階層のボス部屋まで到達した。
待ち構えるのはやはり大きな亀のゴーレム。
交戦開始──
最初の数分はヘヴィ ロック タートルの固さに苦戦する。
攻撃をあてることは容易だが、ダメージがなかなか通らない。
「これ……地味にキツいな」
そう漏らしながらも、ユーリはふとアイテムインベントリに目を落とし何かを見つけ閃く。
「……岩といえば、これだろ!」
おもむろに鉄のピッケルを取り出し、岩の亀を打ちつける──その瞬間。
ゴゴンッ!
今までのどの攻撃よりも、大きくゴーレムの体が揺れ、ダメージが深く通った。
▶ ピッケルwwwwww
▶ 効いてる効いてるwwwwww
▶ 農場勢つえええええ!!!
ダメージが通ると分かれば残りの2人もすかさずピッケルを装備する。
そこからは3人で交互にピッケルを打ち込み、支援・回復を回しながら怒涛の削り。
慣れてきたころには鉱夫をモチーフにした曲の鼻歌も交じりだす。
……数分後。
大きな岩の亀は、見せ場を作る間もなく、あっさりと崩れ落ちた。
「どうだ!! 見たか!!」
思わずフィーノが吠え、ユーリもガッツポーズ。クレアはぽやっと拍手。
──ボス単体の討伐スピードは、なんと全チーム中最速。
道中での移動時間の差こそあったが、フィーノたちはコノエやまどいろ達と、ほぼ並ぶ形で第2階層へと進んでいった。
◆ サロロでGO!
一方、その頃。
「ロロ、ちょっと待てって!慎重にって言っただろ!」
スタート直後からロロが全力疾走、サーシャが必死に追いかけるという、
いつものドタバタコンビぶりを発揮していた。
途中、敵を数体なぎ倒しながらも、狭い通路でロロがふと壁に小さなボタンを発見。
「おっ、これ押したら何か起きるかも!」
──迷うことなく、ポチッ。
「ちょっ、あぁーーーっっ!!」
直後、二人の足元の床が抜け、豪快に転げ落ちる。
▶ 押すな押すなと思ったら押したwww
▶ これはwwwwwww
▶ 安定のロロちゃん暴走wwww
数メートルの落下ののち、転げ落ち慣れてる二人は難なく着地を決める。
そして──転げ落ちた先は即死トラップ……などではなく、まさかの第2階層。
……ボスをスルーしてトップで階層突破という奇跡を起こしていた。
「え、これ……いいの?」
「いいの! たぶん! きっと! いけるいけるー!」
どちらも特に気にする様子もなく、そのまま第2層を走り出していくのだった。
▶ まさかの最速突破wwwwwwwww
▶ なぜ運営はこうなる事を予測出来なかったのか
▶ これ許されるのかよwwwwww
▶ さすがサロロ、期待を裏切らない




