第33話:共闘の果てに
絶影を発動したまどかの動きは、まさに異次元だった。
──ステップからの連続斬撃。
──回避と攻撃を同時に行う軌道。
──一瞬一瞬が、まるで演舞のような華麗さ。
「……っ、これが、噂の……!」
サーシャが目を見開く。
話には聞いていた。だが、まさかここまでとは。
通常攻撃の1つ1つでさえ強力なスキルと見間違うほどだ。
「同じレベル帯とは思えない……!」
「すっごーい!!」
「まどにゃん、めっちゃ光ってるーー!!」
ロロは嬉しそうにはしゃぎながら叫ぶが、支援魔法や回復支援は一切手を抜かない。
ついでに鋼の杖でボスに殴りかかる、いつも通りのフリーダムさも忘れない。
「これは、私たちも、負けてられないね!」
サーシャも大剣を勢いよく振るい、
ロロの支援を受けながらボスの巨体へと大技を叩き込む。
サロロ組が加わったことで戦線に余裕ができたため、
いろはも効率的な支援だけでなく、派手な攻撃魔法での演出も交えはじめた。
▶ 4人連携熱すぎ!
▶ まどにゃんの手数バグってない?w
▶ ロロ元気すぎて癒される
火花が飛び、剣が唸り、爆発が巻き起こり、魔法が弾ける。
4人による総攻撃が、巨大なダスクナイトを追い詰めていく。
2人で戦っていた時とは明らかに違う、
全員が自分の思い通りに動ける状況が出来上がっていた。
時間は確実に進んでいく、残り時間が3分を切ろうかというところ。
「──今っ!」
まどかの鋭い号令と共に、
4人の全力の一撃が、ボスのコアを貫いた。
ダスクナイトが呻くような音を立て、
その巨体が崩れ落ちる──
【討伐成功】
ボスの体が完全に消えると同時に、地面にざらざらと宝石が溢れ出した。
「うわ、すっご……」
50個近い宝石が、光の粒となって地面に散らばる。
▶ これよこれwww
▶ ボスうまっ!!
▶ 共闘グッジョブだわ
「さっすがボス! 報酬が桁違いだね!」
「……まあ、ほとんど30分まるまる使ったんだから、これぐらい出てもらわないと困るよね」
いろはの言葉に、まどかが小さく笑い、ナイフを収める。
──だが、時間はない。
残りは、わずか数分。
手早く、宝石をかき集めると、すぐに分配の相談に入った。
「半々で分けよう。2人が来てくれなかったら、絶対倒せなかった」
まどかが真っ直ぐに言う。
だが、サーシャは首を振った。
「いや、流石にそれは……。
ほとんど削りきってたの、まどいろだったじゃないか。
それに、あんたたちが作ったチャンスに、私たちが便乗しただけだよ」
ロロも「だいじょーぶだよー!」と笑いながら宝石を抱える。
最終的に──
サロロ組が15個だけ受け取ることとなり、
残りはすべてまどいろがもらう、という形で分配がまとまった。
▶ まどいろかっけえ……
▶ サロロもいいやつらww
▶ こういうのが見たかったんだよなぁ
──そして、大きな鐘の音が響く。
【制限時間終了】
ステージ1、ここに閉幕。
フィールド全体に眩い光が広がり、
参加者たちは光に包まれ待機ロビーへと戻っていく。




