ちょっと休憩~数字は人や作品を殴るものじゃない~
どんな特典商法をしようと、映画の質が高く何回観ても楽しめてリピーターも増え、興行も良くなって映画館も制作も潤えばそれでいいじゃないか……という意見は本当によく見かけます。
確かにそれは正論ですし、自分も基本的にはそう思っています。
しかし問題なのは、「過程など関係なく、出された数字だけが全て」という非常に前時代的な思考のもとに、興行収入の多い作品のファンが少ない作品のファンにマウントとってくること!
つまり、「自分の好きな〇〇の方が△億も興行上回ってるから◎◎はオワコン、価値なし!」とか挑発してくる輩が今、ネット上でやたら多い。お前は道徳の時間でナニを習っていたんだ?と言いたくなる。というか、お前の好きな〇〇という映画は数字なんかより家族愛や仲間との絆が大事と語る作品じゃなかったか?と。
ことに、特典商法で興行を大幅に水増しした作品のファンがこれをやってくること多いイメージが何となくあります。男女関係なく。
非常に厄介なケースだと、Aという作品に興行収入などの数字を超えられたBという作品のファンが、Aの記録を新たに超えていったCという作品でAを殴ってくるというもの。
嫌いなもので嫌いなものを叩き、両方とも壊滅させようという。マジで地獄。
そんな浅はかな考えの人間なんてそこまで多くないはず……と自分は思っていたのですが、実は意外と多いというのがつい最近分かってきました。悲しい。
実際、映画の興行収入なんて10年前はそこまで気にしていたか?というと答えはNOです。
数字に関係なく、いいものはいい、悪いものは悪い。そういう考え方が自分は当たり前だと思っていたし、興行収入だの売り上げだのなんて殆ど気にすることはありませんでした。
しかし実際は、「数字が全て」主義の方々も結構多いようで……
というか、最近になって滅茶苦茶増えてきた気がしています(まずそういう場所を見るな触るなという話ですが。というかなろうもカクヨムも星という数字がないと読まれないという世知辛い現実がありますがw)
中には興行収入を伸ばす為という理由だけで、特典も何もないのに映画館へ何度でも必死に通いつめているかたもいらっしゃるそうで。「○○を××億の男にするんだー!!」という旨のツイート、どれだけあるやら……
私が思うに、数字というのは嫌いなものを叩く為に一番良い武器になるからではないかと。
「〇〇は△△より興行収入低いじゃねぇか!」とか具体的に言われたら、それがどんな過程から導き出された数字だったとしても、厳然たる事実として残っている以上、反論が難しくなってしまう。
どれほど「この作品は毎週ランダム特典で超絶ヤバイブーストかけてて」「この作品は最初から凄まじい座席数があって」などと説明しようとも、こういうこと言ってくる相手は大概聞く耳をもちません。
そういう相手とは話をしないのが一番ですが……制作スタッフや配給会社などの公式側にそんな人物がいないことを祈るばかり。
数字でしかものを見ることが出来ない上、その数字の裏に何があったかを読み取ろうとすらせず、異常に膨れ上がっただけの数字で他の何かを引きずり落としぶっ叩こうとする人を、私は心の底から軽蔑します。
特典商法がどうのというより、真っ先に撲滅すべきはそういう風潮。
興行収入やらブルーレイの売り上げやらの数字がやたら話題になるようになったのって、いつぐらいからなんだろう……
同じことは映画のみならず他の界隈、例えばゲームの売り上げでも言えます。
アトリエシリーズにおいて、不思議シリーズと秘密シリーズで秘密シリーズの方が売上良かったからといって不思議シリーズがダメということには当然ならないし、ロマサガ2リメイクとドラクエ3リメイクで後者の方が売上良かったからといって評価も同様かというと決してそうではない。
漫画の売り上げ、アニメのブルーレイ売り上げ、ドラマの視聴率……あらゆるところで数字は重視されますが、それが作品の質とイコールかというと必ずしもそうではない。
ジブリ作品にしたって、ナウシカとラピュタと千尋で千尋が一番興行収入良かったからといって、ナウシカラピュタが千尋よりダメってことになるわけがないだろうと。
数字だけで物事を見るなってのはエンタメだけでなく日常生活、例えば引っ越し先選びでも同じことが言えます。家賃の安さと都心へのアクセス時間だけで住まいを選んだら、治安が超絶極悪だったり洪水など自然災害に遭いやすい場所だったりは当たり前だし。
そんなことは世界の常識だと思っていたんですけどね……
というか、本当にそんな指標でしか物事を見られない人物がいるとしたら、それは最早軽蔑の対象ですらなく、頭のカワイソーな(ry
申し訳ございません。次回から特典の話に戻ります!