第二十三回:家族への告白
その日、悠介は午後四時頃に教会から帰宅した。十一月も末近い今、午後四時といえばもう日没がすぐそこに迫る黄昏時である。
家の玄関に入ってきた悠介。廊下で掃除をしている優子と目が合い、おかえりの挨拶を返される。
「あら、悠介。おかえりなさい。最近日曜日になるとどこかに出かけているようね」
「う、うん……」
「でも、敢えて日曜日に、ねぇ……。どこへ出かけているのかしら」
「え、ちょっと……。それは……」
優子の質問に正直に「教会」と答えてよいものか、悪いものか。でも今日言われたように家族に正直に告げてしまうのもいいかもしれない。
「無理に答えなくてもいいけど……」
優子はそう言ってきたが悠介は敢えて、教会に行っていることを告げることにした。
「じ、実はね。ちょっと教会に通っているんだよ……」
それに対し、優子は意外や意外とばかり驚いた表情を見せつつ答える。
「あら、まぁ……教会! それってどこの教会かしら?」
「ううんと……、世田谷小羊キリスト教会っていって……」
「ああ、なんか今インターネットで有名になっているところじゃないの? こないだテレビでもやっていたわよ。悠介にもなんというかミーハーなところあるのねぇ……」
そこへ一階のリビングでくつろいでいた恵介が、玄関の方に現れる。
「おお、悠介、おかえり。今日もまた、どこかへ行っていたようだな」
そこへ優子が代弁するように答える。
「教会、ですって……」
「ほう。教会とは……、これまた意外だな。しかし、そこはまともな教会なのか」
恵介が驚きつつも少し訝しげな顔をしつつ答えた。また優子が代弁する。
「世田谷小羊キリスト教会、ですって。インターネットで有名になってるとこらしいのよ」
「うむ、最近メディアの影響でその教会が話題を呼んでいると俺も聞いているが。まさか、カルト集団とかではないのだな?」
そこで悠介は口を開く。
「カルト、じゃないよ。そんなはずないよ。みんな優しいし……」
「いや、上っ面だけということもあり得るんだ。もし、カルト集団にでもハマってしまったら大変なことになるぞ」
悠介にとって、やっと見つけた「居場所」的なものを、カルト集団ではないかと疑うような発言を恵介に対して多少の不快感を覚える悠介。確かに宗教法人を看板に掲げるカルト集団も世の中に後を絶たないらしい、のではあるが。
「世田谷小羊キリスト教会、だったな。来週までにちょっとそこについて調べておく。で、問題がないところのようであれば、来週の日曜日、俺も一緒に教会へ行こう」
「私も一緒に行こうかしら」
恵介と優子も教会に一緒に行きたいという意志を示した。
「ああ、親として、いつも悠介がお世話になっております、という挨拶をしておかなくてはな……」
悠介とすれば、両親と一緒に教会へ行く、そのことは絶対嫌というわけではないのだが、なんとなく気恥ずかしさを感じはする。もう二十一歳なのに。いや、まだ二十一歳なのだから……。
教会という場所に通っていること、なかなか家族には言い出しにくいかもしれません。日本では大抵の家では「仏教を信仰」しているものですから。ただ、多くはそれは形だけのはず。




