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宿屋にて

 村を旅立った俺は山を完全に下り更にまたいくつか山を越え川を渡り、ようやく人がそこそこいて賑わう街へと到着した。そこでようやく王都ガラリヤへの道を確認できた。


 アルデ国の王都ガラリア。この国の、そして大陸で唯一の魔法学園があるガラリア。そこでならきっと魔法を学べるはず。学園については点々とある他の村との物々交換の折に「そういう学園がある」と聞いた程度だから、詳しくは知らないけれど。


 俺は野宿を繰り返し、行く先々で出会う人々に魔法学園のことを聞いては、どんな所か空想を浮かべていた。ただ不思議なことに、魔法学園のことを知らなかったり、知ってどうするのという態度だったりする街の人々が結構それなりにいた。中には俺に対して馬鹿にした態度を取る人もいた。俺はただ学園のことを知りたいだけなのに、なぜだろう。


 そんな違和感を時々覚えながらも、やがて俺はガラリアまであと山を一つ越えるだけとなった街へとたどり着いた。その街の安い宿屋に部屋を取ると、一階の片隅に設けられた小さな談話室で、他の街でもしてきたように学園の話を聞き出していた。今日の相手は宿屋の主人のおじさんだ。客といえば俺以外に一人だけ。そのもう一人の客も談話室の壁に寄りかかって、黙って俺とおじさんとの会話を聞いているようだった。


「──いよいよ学園もすぐそこなんだよなあ。おじさん、それでさ、学園にはどうやったら入れるのかな?魔法の適正とか見られたりするのかな?体力には自信があるけど魔法の才能とか言われてもあんまりピンとこないんだよな。占いのように水晶に手を当てたりするのかな?」


「魔法を学びたいって言うんなら確かにそこしかないが……」


 外は春の夜の生温い風が月を霞ませている。俺から色々と尋ねられて、ダモという名の宿屋のおじさんはいい加減疲れてきた感じだった。その彼が何か言いにくそうな様子でモゴモゴと言っているのを引き継ぐように、


「お前には無理だと思うぜ」


 と、壁に寄りかかってそれまで黙って俺たちが話しているのを聞いていた男がハッと笑って吐き捨てるように言った。男は長剣を腰に下げている以外は軽装で、赤茶けた髪が印象的だ。


「えっ……どうして」


 急な横槍に驚いて、俺は男とダモさんを交互に見やる。


「どうしてもこうしても……」


 ダモさんはボリボリと居心地が悪そうにただ頭をかいているだけだ。男は壁に寄りかかったまま俺をギロリと見ると、


「魔法ってのはさ、『勉強したいでーす』なんて気持ちだけで学べるものじゃないんだよ。さっきから黙って聞いてりゃ、お前さんどんなクソ田舎から出てきたんだ?」


 男はきょとんとしている俺を上から下まで品定めするように眺めると、またハッと笑った。


「知らないようだから教えてやる。魔法は貴族の子弟が小さい頃から必死こいて勉強して基礎理論を学ぶんだ。専属の家庭教師のもとでな。それで、そうだな、お前の年齢くらいかな。それくらいの歳で学園への入学試験を受ける。見事合格したらそこでようやく、理論の発展と実技のお勉強というわけ。試験は厳しくて大陸中からイイトコの希望者が来る上に入学試験を受けられるのは人生で一度だけ。その一度で不合格なら才能ナシってことで、はいオシマイ。さよならバイバイ。受験可能な年齢も上限が決まってるから、のんびり勉強するわけにもいかないって仕組みなんだぜ」


 知らなかっただろ、と男は俺を蔑むようにニタリと笑った。


「うそ……」


「嘘じゃない」


「いや、でも、昔、今の俺よりも小さな子が魔法を使うのを見たぞ?入学試験と言ったって、そんなに難易度が高いものじゃないんだろ?」


 俺が必死に食い下がってそう言うと、男はグハッと吹き出した。そして俺に歩み寄ってきて、勘弁してくれよと言わんばかりにペチペチと俺の頬を叩く。


「おいおい、そりゃあ……ただの手品を魔法と思い込むよう騙されたのさ……!ハッ!この間抜け!」


「……ッ!うるさい!」


 カッとなって俺は、男の手を振り払った。


「あ?わざわざ教えてやったんだぜ?夢見る田舎モンのガキに現実をよ!?」


 瞬間、男は腰にさげていた長剣を片手で俺に向け構えた。汚泥のようなべったりとした喋り方からは想像できない挙動の俊敏さ滑らかさが、この男の戦闘経験の深さを物語っていた。両手で剣を構えなかったのはきっと余裕の表れじゃない。男の空いている左手はさり気なく服の右脇腹あたりの内ポケットの方へ伸びていた。長剣を振るうならばもう少し間合いとっていいような気がする。ならば、より狭い間合いが本命と見るのが筋か。忍ばせてる武器は──おそらく短剣。


「なあ、知らないことを親切に教えてもらったのなら、『ありがとうございます』──だろ?」


 多分さっきの話──俺が学園に入って魔法を学ぶのは無理──というのは本当なのだろう。鈍感な俺でも宿屋の主人の様子やこれまで俺が学園のことを聞いた時の、戸惑ったような、小馬鹿にしたような人々の顔を思い返せばいい加減それは察せた。今更だけど。だから悔しいけどそこは素直に礼を言うべきなのかもしれない。でも、彼女の魔法を、彼女の存在を、馬鹿にして笑って否定されたのだけは許せない。


「……俺も教えてあげただろ?小さな子どもでも魔法が使える、ってさ。それでおあいこってことにしないか?」


「口の効き方も知らねぇガキが──」


 ちっ、と男は舌を鳴らした。


「言葉じゃ足りないようだな」


 そう吐き捨てると男は半歩、わずかに足を踏み込んできた。


「──待った!待った!ここで暴れられたら宿が台無しだ!暴れるなら出て外でやってくれ!ください!頼みますよお!」


 宿屋の主人、ダモさんが泣きの声を上げて静止を呼びかけたが、男は聞く耳を持たなかった。俺もこれ以上言葉を交わす余地はないと、護身用のナイフを手に構える。


「すぐ終わる」


「レオハルトさん!」


「ガキは嫌いでね」


 言うやいなや、男は俺に向かって力強くと踏み出すと同時に左手を服の内ポケットへと入れた。右手の長剣は確かに最初の構えだけは見事だった。だが、予想した以上に構えてるだけのお飾りだ。殺気がなく、俺を斬りつけようという気があるのかさえわからないほどおざなりなものだ。一応振りかぶってはいるものの、振り下ろされる気配がない。だから俺はもう片方の手にだけ集中した。俺の思った通り本命だった左手を。男のポケットから武器を握り締め出てくる左手を。左手に握られているはずの短剣を払い落として武器を奪いそれから──そんなことを相手の実力も見ずに考えていた俺は相当な間抜けだった。


「えっ」


 男の左手に握られていたのは短剣ではなかった。それどころか刃物でも鈍器でもなかった。男の左手には細い杖があった。


 ──魔法の杖だ


 俺が戸惑う間もなく男はそのまま杖を俺の目の前に突き出すと、杖の先から火花を爆ぜさせた。それ自体は威力を持たなかったものの、俺は驚いて一瞬固まってしまった。そんな俺の無防備な腹に、長剣を放り出して空いた男の右手がきれいにヒットする。そして俺がよろめいたところに、男は拳を何発も降り注いだ。トドメだ言わんばかりに蹴りを一発。それらは俺をうずくまさせるには充分な威力と量だった。


「ハッ、驚いたかよ」


 宿屋の床にうずくまる俺を眺めながらレオハルトと呼ばれた男が呟いた。


「やたら学園のことを聞いて回る不審な男がいるって情報が上がってくるから、どんな面白い奴かと思えば……ただの何も知らないガキとはな。こっちの剣がブラフだと読んではいたみたいだが、ま、浅かったな」


 剣を拾い収めるとレオハルトはさっきまで俺が座っていた席にドサっと座った。


「主人、ここで事を起こして悪かったな。まぁ見ての通り『ただの子ども』だ。どこかのバカが面白がって密偵だなんだと尾ひれはひれを付けたんだろう」


 男からは先程までの粘着くような喋り方は消え失せていた。無頼漢を演じていたんだ、とグラグラ揺れる頭で思う。


「ぐ……密偵……?」


「……お前本当に何も知らないのか?この国は今、極度の緊張状態にあるんだぞ?」


 俺が何と答えたものかわからずにいると、レオハルトは続けた。


「南西にある隣国ネイリムと一触即発状態なんだよ。あ、悪いが主人、酒いいか」


「はい、じゃ……」


 床にうずくまって痛んでいる俺と足を組んで余裕のレオハルトを置いて、ダモさんはそそくさと談話室から出ていった。


「さっきも言ったが、魔法学園はあちこちの国からそれなりの地位のそれなり以上に優秀な奴らが集まってる。まあなんだ。つまりもともと、将来的に敵にも味方にもなり得るエリートたちの坩堝だったってわけだ。歴代学長はあくまで中立の立場を貫いていたが……学園の外ではそういうわけにもいかないのさ。特に今の時世ではな。ちょっと前までは魔王討伐で『人類皆一致団結』なんて言っていたくせに、笑えるよな。魔王を討伐したとたん『人類皆一触即発』になっちまった」


 数年前に魔王が討伐されたというのは俺の村にも情報として入ってきていた。俺が村を出ることを許された理由の一つにも、平和な世になったから大丈夫だろうというのがあった。でも今人類同士でそんな関係になっているとは……知らなかった。


「それで結局、アルデと直接的に敵対しているネイリム出身の学生たちは政治的な圧力で学園を追い出されることになったのさ。学長をはじめ、学園の連中はだいぶ反対していたらしいが、国家には逆らえず。それがまた両国の緊張状態をエスカレートさせることになって……」


 そこまで言うとレオハルトは長剣の鞘で俺を頭を軽くバシと叩いた。


「そんな時にやたらめったら誰彼構わず学園について根掘り葉掘り聞いて回るアホが湧いてきた。もちろん、当初は世間知らずの暇な奴が興味本位で聞いて回ってるだけだろうと中央でも無視されていたんだがな。ところがだ。情報を整理するとそのアホは身につけてる衣服は見慣れない、怪しい出で立ちで、明らかに目的を持った、それなりの速さで王都ガラリアまでどんどん近づいてきている。目撃情報では馬も何もない、ほとんど着の身着のまま、という話にも関わらず、だ。お前、歩きのくせにどんだけ急いでたんだよ」


 そこでレオハルトはため息をついた。ちょうど、ダモさんが盆に酒の入ったグラスを乗せて持ってきたところだった。礼を言いながらレオハルトはそれを受け取ると、半分ほどを一息に呑んだ。ダモさんはテーブルの脇にもう一つグラスを置いて、


「きみも飲んで。こっちは水だから」


 と俺を起こしながら言った。


「悪かったね。魔法学園についてやたら聞きたがる男が来るかもしれないから、っていうんで街にお触れが出てたんだ。……実は内心ネイリムかどこかの密偵なんじゃないかってずっと思っていた」


 俺に椅子を用意して謝罪するダモさんをレオハルトは笑い飛ばす。


「ハッ!こんな物知らずな子どもが密偵ならむしろ楽だよ楽。『何も知らない』って演技や知らずの内に利用されている可能性もあったが……本当にど田舎から単身出てきたんだろう」


「……最初からそうやって色々話してくれれば、殴られなくて済んだ……」


 レオハルトに向き合う形に座ると俺は泣き言を言った。いや、これは正当な文句だ。


「お前が何も知らないくせに学園にフワフワとした夢見てたからな。ついイラついてしまった。悪いな。お前を殴ってようやくスッキリしたところさ」


 両手を広げ全く悪びれる素振りもなくレオハルトは話す。なんて大人だ。俺は大人になってもこんな大人にはならないようにしよう。ちびちびと水を舐めるように飲みながら俺は思った。


「──話を戻そうか。中央を苛つかせるその不審者が何者なのか、その見極めのできる人間に検分させようということになって、俺の出番というわけだ。お前のこれまでの旅路上この街に来ることは読めたからな。ここで張ってたのさ。自己紹介しとくか。俺はレオハルト……レオハルト・ミラリウ。王都防衛隊の二番隊副長をやっている者だ」


「俺は……ルイ。……ここからずっと北の方の村から来た」


「ルイ」


 俺の名を繰り返すと、レオハルトは懐をあさり一枚のコインを取り出した。


「お前魔法を学びたいようだが、それは無理だ。何度も言うがな。それよりも俺のとこの部隊に入らないか?体は丈夫みたいだし根性もあるだろ。カンもある。そこらの新人よりよっぽど有望だぜ」


 レオハルトはピンとコインを指で俺の方へ弾いた。きれいな孤を描いて飛んできたコインを捕まえると、そのコインをよく見てみた。幾何学的な模様のついた銀のコインだ。


「いつでもいい。ガラリアのどの隊の詰め所でも、そのコインと俺の名を出せば二番隊宿舎に即刻ご案内だ」


「……いや、いい」


 受け取ったコインをテーブルに滑らせて即座に返すと、俺はレオハルトをまっすぐに見た。


「俺は魔法を学びたい。学園がダメならどこで魔法を学べるか、よかったら教えてくれないか?さっきレオハルトさんは貴族は家庭教師に学ぶと言っていたけど、俺みたいな奴に教えてくれるような人はいないのか?」


 はぁー、とレオハルトはわざとらしく大きなため息をついて、腕を組み目をつぶった。


「……お前も諦めの悪い奴だな。色々端折って結論だけ言うと、魔法を教えられる奴の中に学園の外で庶民に魔法を教えるような奇特な奴はいない。それともお前、正規の手続きで入学を目指すか?貴族が競い合って払うほどの高額な給料を教師に払うだけの財力があって、学園の卒業生にコネがあるならば、一から教えてもらえるかもな」


「……そんなもの、両方ともない」


「なら、魔法はもう諦めろ」


「……レオハルトさんは──」


「レオハルトでいい。だったら、俺が魔法を使えそうだから教えてくれって言うんだろ?」


「うん」


「悪いが俺は他人に教えられる頭も技術も無くてね。なんとか入れた学園も途中でついていけなくなって落ちこぼれた中退者だ。さっきお前──ルイに見せた火花がやっとの出来損ないなのさ」


 レオハルトは目を閉じたまま肩をすくめている。


「そうか……」


 レオハルトが俺に苛ついていた理由がなんとなく察せた。でもだからって、ボコボコにすることはないと思う。


「そうだよ」


 と、そこにダモさんが会話に加わってきた。


「あ、『そう』っていうのはルイくんの方で……」


 ちらりと宿屋の主人が横目でレオハルトを見た。わかってるよ、とレオハルトが手を左右に振る。


「……えーとつまり、ミラリウ家の人に──王都防衛隊に請われて入隊できるっていうのはなかなかないチャンスだから、棒に振ってほしくないんだ。学園に入りたいルイくんには残念なことかもだけど、庶民に魔法を教えようなんて変わった人、私も見たことも聞いたこともない」


「そうだぜ。視野を広く持てよ。柔軟にな。捨てる神あれば拾う神ありって言うだろ?」


 うんうんとレオハルトに同調して宿屋の主人は頷く。


「それに、うかつに魔法に手を出して狂った人もいるって聞くしね。この街とガラリアの間のテオ山にも……」


「誰も存在を確認したことがない、噂だけの魔法使いか」


 ふん、とレオハルトは鼻で大きく息をする。


「ガラリアでも時々噂を聞くよ。誰もいない山の中から人の声がしたとか、周りに誰もいないのに地面に置いていた手荷物が目を離したすきに消えたとか、山の中腹あたりで飯を炊いてるような煙が見えたからそれに向かって歩いていると、前方にあるはずの煙が気付けば背後で上がっている、とかな。一度学園の教師が生徒を連れて軽く山狩りをしたが、誰も見つからず仕舞いだったそうだ。……でも今もそういう噂は絶えないな」


「じゃあ、いるんでしょうか?」


「さあな……ルイの噂話のように、暇なやつが話を盛って適当に吹聴していると俺は思う」


「レオハルト」


 俺は今の二人の話に閃くものを感じた。


「お?入隊する気になったか?」


「いやごめん違う。……俺、その山にいる魔法使いを探してみるよ」


「バッお前、今の話ちゃんと聞いていたか?その道の魔法使いが探しても何も見つけられなかった、限りなく『いない』に近いやつだぞ。『いる』なんて保証はどこにもない。百歩いや一万歩譲って仮にいたとしても、わざわざ山の中に隠れ潜んでいる変人だ。そんな殊勝なことをやるとは思えん。そもそも、魔法使いだからといって、他人に魔法を教えるほどの実力があるとも限らないんだぞ。どうしてそんなに魔法にこだわる。魔法でなくても身を立てる方法なんていくらでもあるだろ」


 確かにそうなのかもしれない。でも、俺が知りたいのは魔法だ。そのために村の色々な人を説得して母親や祖父、友達に寂しい思いもさせている。簡単に諦めるなんてできるわけがなかった。


「……小さい頃魔法に命を救われたんだ。その時からずっと、知恵や腕力じゃ及ばない魔法の力で、困っている人を助けられる存在に俺もなりたいと思っていた。だからどうしても魔法を学びたいんだ。でなければ村から出てきた意味がない。たとえわずかな可能性でも、俺はその魔法使いが存在して俺に魔法を教えてくれる方に賭けてみるよ」


 普通に学ぶのが無理ならば普通でない方法で学ぶしかない。そうと決まれば善は急げだ。俺は席を立った。


「おいおい、本気で行く気か」


「決めたんだ。二人とも色々教えてくれてありがとう。俺行くよ」


「ちょ、ちょっと!せめて朝になるまで待ったら!」


 ダモさんがうろたえていたが、それを流して俺は足早に談話室を出ようとした。


「おいルイ。ルイ!」


 レオハルトの呼びかけに振り返ると彼も席を立っていて、振り返った俺に向かって何かを放り投げた。──先程のコインと……火花を散らした魔法の杖だ。


「一人の男が行くって言う以上、もう俺は止めないが……何でもいい、困ったり行くあてがなくなったり、故郷(くに)に帰るだけの資金が足りなくなった時でもいい。何かあればそのコインを持って俺のとこへ来い。別に防衛隊に入隊希望じゃなくても構わん。それと、その杖は殴りつけたワビにくれてやる。別に特別なものじゃないから素直に受け取っとけ」


「……ありがとう」


「魔王がいなくなって街の近くで魔物を見る機会はばったり減ったとはいえ、どこもかしこも安全というわけじゃない。街道から外れて山奥まで進めば、それだけ危険性が増す。多少の無茶はしても無理だけはするなよ。それくらいの判断はできるな?」


「ああ。何から何までありがとう!」


 俺は二人に礼を言うと、いるかいないかわからない魔法使いを探しに、夜の闇に溶けてぼんやりと見える山を目指して勢いよく宿屋を飛び出した。

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