なな
ヤバイ。どうしよう。
ドキドキとかそんなモノは糞くらえだ。
トキメキなんかここ数年二次元でしか抱かなかった。
いや、むしろこれはトキメキなんかじゃなく……。
「とか昔から言ってみたかったんだ。テヘっ」
憎悪?吐き気?悪寒?
とにかくそんな感じ。
でも良かった冗談で。でなかったら私この教師ともう二度と顔を合わせられない。
気持ち悪すぎて。
「でも、俺お前の事これから好きになるよ」
「……またそんな冗談。いい加減にして下さい。先生の気まぐれに付き合える程私は暇じゃ、」
ス、と笹原の大きな手が私の首筋をかする。
私はひゃっと首を縮めたが奴はお構いなしに結わえていた二つの髪からゴムを取った。
そしていきなり腰に手を回したかと思うとスカートを掴む。
「ちょっ、先生本当セクハラ……ッ」
聞こえているくせに動きは止めない。
私は怖くなって体を硬直させる。
「新崎。お前裸眼いくつ?」
「ぇ……、多分、0.6……?」
「じゃ、大丈夫。今日から眼鏡禁止。裸眼が嫌ならコンタクトにしろ」
いきなりすぎて突然すぎて訳が分からない。
妙に足元がすうすうすると思ったらスカート短くなってるし!
「お前何を隠してんのか知らねぇがもったいねぇぞ。その白い肌も細い手足も柔らかい感触も全部出せ」
「……先生、生徒指導部じゃ」
夕焼けの明るい日差しがカーテンを突き抜ける。
何をしてるのか、自分。
何なのコイツ。
「そうして自信を持って俺を好きになれ」
私はまたも口をあんぐりとさせた。
本当に何なんだこの先生!
人の眼鏡は没収するはスカート上げるは教師を好きになれというは……。
え?今私、何て……。
「先生。仮に、いや一万歩譲って私が先生を好きになったら先生どうするの?」
「どうすると思う?」
何で疑問文で返すんだよ……っ