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ろく


私は元々体が小さい。

人は小柄で華奢だと言ってくれてるけど、だからこそ陰もきっと薄いから勉強だけでも目立てるようになろうと思った。


奴は体育教師だけあって図体は無駄にでかい。

私を簡単に見下げ、そのほど好くついた筋肉の腕で私を動かないようにする。


どう考えたって逃げるのは無理よ、チヨ。


「あらぬ勘違いを抱かせてしまい申し訳ありませんが、私は先生を見つめた覚えはありませんし今後も極力先生には近付かないようにしますから」


そう言い切って私は彼を見据える。


もしかしたら、そうもしかしたら。

この人私があんたに好意でも寄せていると勘違いしたのかも……ぉ?


すると笹原はぱっと手を離して体をそむけてえぇっと叫んだ。

いや、何故そんな顔されなければならない?


「新崎絶対俺に気があるんだと思ってた!」


……やっぱり。


「でもそう言いながら本当は好きとか好きとか愛してるとか……」


鏡で己の間抜け面を見てから出直して来いとでも言ってやりたかったが、そこは我慢して首を思い切り横に振る。


「何だぁ。入学してから視線ずっと感じてたのに。俺お前となら付き合ってもいい覚悟でいたのによ」


だから見てないっ……て、え?

い、今何と?


私はそらしていた視線を混じらせる為に顔を笹原に向けた。

多分間違いなく私はこの上なく驚いた顔をしているに違いない。


「何言ってんの先生?やっぱりロリコンなんですか?頭イカレてるって噂本当なんだ」


「教師も人間だ。恋くらいする」



……っえ、ちょっ、待てよ。

この展開めちゃめちゃおかしい。


ギャグで通っているこの話が恋愛方面に流れるなんてあっちゃいけないのに……っ!

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