決戦!対粘性緑色軟体生物 その1
「えっと、職業の話だよね?僕が貰った職業は精霊騎士だよ」
かっけぇ…
「なんかね、精霊に力を借りて戦う職業で強力な魔法を放ったり自分を強化して剣で攻撃したりするんだって」
チートじゃん。
「チートじゃん」
「ね。力に振り回されないように特訓しないと…」
おっと、思わず口に出してたか。しかし相変わらずというかなんというか……やっぱりラノベの主人公みたいな感じだな。ちゃんとしたチート貰ってるし。でも、力に溺れずにちゃんと努力しようとしてるところは違うよなぁ。
「あ、前に何かいるよ」
そう言われて前を見ると確かにいる。緑色をした丸いゲル状の体を持つ…そう、スライムである。取り敢えず【解析】しよう。
「【解析】」
Name ───
種族 スライム
スキル
【溶解】
称号
無し
状態
普通
【溶解】
酸を生成することで物を溶かす。熟練度が上がると溶かせる物が多くなり、多くの酸を出すことができる。
へー、こんなスキルなんだ、と思っているとスライムが物凄い勢いで突進してくる。例えるならばバッティングセンターの130km/hの球がこっちに向かってくるような感じで──
「危ない!」
目にも留まらぬ速さで智輝が横から割り込み、鉄パイプを振るう。恐らく何か魔法を使ったのだろう。振り抜いた後の鉄パイプは緑色のオーラを纏っていた。
とても形容しがたい音で吹き飛んでいったスライムはダンジョンの壁に当たって動かなくなった。
まだ動くのではないかと警戒していると、スライムは蒸発するように消えていき、そこにはドロップアイテム?だけが残った。
「ふぅ、危なかったね。ていうかなんで避けなかったのさ?」
「いや、あんな速いの咄嗟に避けられる訳ないだろ」
「え?」
「え?」
~数分後~
「つまり?こういう反射神経みたいなものも制限されてるってことか?」
「多分そうだね…」
なかなかにクソでは?正直最初の解除条件すらクリアできる気がしないんだが?てか普通に死ねるぞ、これ。他の皆は大丈夫かな?
「じゃあ次スライムに会ったら心也に任せるってことでいい?」
「おう、任せろ!」
「ならそのガクガクの足からどうにかしようね」
やってやる(震え)
ダンジョンを歩くこと数分。遂にあいつが現れやがった。
「いた!じゃあ心也頼んだよ!危なそうだったら助けに入るから!」
智輝が少し離れた所へ行ってしまった。…さぁ、腹を括ろう。やるしかないんだ。深呼吸深呼吸。
スーーハーースーーハーー
「うし!さあ、かかってこいやぁ!」
俺の言葉に反応してかは分からないが、さっきと同じような勢いで突進してくる。しかし…
「それはさっき見てんだよなぁ!」
バッティングセンターの要領でフルスイングする。勿論、俺の動きが悪くなっていることを見越して少し早めに振り始める。と、完璧なタイミングでスライムに当たり、さっきの智輝のように上手くいくかのように思えた。
しかし実際はそんなことはなかった。スライムの勢いを完全に相殺できなかったのか、逆に俺が少し吹き飛ばされてしまいダンジョンの壁と激突してしまう。
「痛ぇー」
幸い、硬式バットだけは手放さなかった。しかしどうすれば勝てるのだろうか?あのスライムを完璧に捉えたはずなんだが……正直一撃で決まると思ってたので他のプランはあまり考えていない。……うるさい!俺は考え無しじゃねぇから!
「───」
スライムが鳴く?と威力を10段階間違えた水鉄砲のような勢いで何かがこっちへ飛んでくる。取り敢えず急いで回転して回避。すると、俺が居たところの少し後ろはドロドロに溶けていた。それも地面が抉れる位に。
「えぇ?(困惑)」
強すぎん?
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