67.テイムまたしても
昼過ぎのエルフ国。
僕は始祖ハイエルフの直系であるフランソワの部屋で、彼女と会っていた。
だけど間違ってテイムを発動してしまい、彼女が驚いて可愛い悲鳴を上げる。
「きゃっ!」
「うわっ! ごめん! テイムって言葉だけで発動しちゃった! ――って!」
白い光の中、彼女が縮んでいく。
――まずい! 始祖の力が強化されてる!
僕は手をぎゅっと握りつつ、スキルを唱える。
「テイマースキル発動! 【応援】フランソワ!! 頑張って、フランソワ!」
「うぅ~……混ざる、混ざります! あぁっ!」
そして落ち着いた木の部屋に白い光が弾けた。
僕はおそるおそるベッドの上に横たわるフランソワを見た。
――幼児や赤子になっていたら……いや消えてしまってたらどうしようと思って。
すると彼女はベッドの上に身を起こした。
ちっちゃいエルフがいた。
見た目は13歳ぐらい。背は低く僕の胸辺り。体は華奢になり、手足がすらりと長い。
でも胸の大きさは変わってなかった。アンバランスな妖艶な雰囲気だった。
そして少女になったせいか、目がますます大きくみえる。
フランソワは自分の手のひらを見る。
「痛みと、力の暴走が、消えた……? 体が動く! 軽い!」
バサッとシーツを蹴っ飛ばして、薄絹の寝巻一枚だけの姿でベッドから飛び降りた。
部屋の隅にある姿鏡に胸を揺らして駆け寄ると、裏に表に全身を映す。
銀髪が跳ねるようにふわふわと揺れた。
「ちっちゃい! でも、始祖の力の暴走は止まってる!」
「助かったようでなにより……あやうく消えてしまうかと思って焦ったよ」
「――ノイスさん、ありがとうです!」
元気いっぱいに笑うフランソワが子供のように可愛かった。
ほっとしつつ僕は彼女をじっと見た。
スキルやステータスが浮かび上がる。
「すごいね。種族がハイエルフになってる」
「あたくしがハイエルフ!? ――テイムってすごいのですね」
「うーん、なんかいろいろ規格外な気がする……でも、これで穏健派をもう一度率いてくれる?」
「ええ、問題ないわ。こんなに動けるなら、任せておいて――あっ」
フランソワはその場で、くるっと一回転する。
だが足元がふらついて、勢いそのままに体勢を崩した。
寝間着を乱してほぼ半裸になりながら倒れる。
「危ないっ!」
僕は瞬時に移動してしゃがむと、床にぶつかる寸前のフランソワを横抱きに抱え上げた。
小さくて華奢な体。すべすべした素肌と大きく弾む胸が指先に温かい。
僕の腕の中で半裸のフランソワは頬を染めて、僕を見上げる。
「あ、ありがとう、ノイスさん……」
「ずっと大きな力に体を蝕まれていたんだから、無茶しちゃだめだよ……特に生命力が減ってる。――って、そうか【回復】」
フランソワが温かい光に包まれた。
全快しなかったので、二度、三度と唱えて回復させた。
その間彼女は僕にしがみついたまま大人しくしていた。
でも、ペットヒールを唱えるたびに、小さな体と大きな胸、そして長い耳をぴくっぴくっと震わせる。
幼さの残る美しい頬が、ますます赤く染まっていく。
ようやく全快させると、彼女を立たせて服の乱れも直してあげた。
フランソワはお人形のようにされるがままで、指をもじもじと合わせている。
なんだか仕草まで子供っぽい。
「ありがと……ね、ねえ。あたくしの裸、見てしまいました?」
「うん、ごめん。でも、綺麗だったよ」
「はぅ……っ」
長い耳の先まで真っ赤にして、フランソワが気絶したかのように後ろ向きに倒れていく。
僕は慌ててまた抱きしめると、お姫様抱っこしてベッドへ連れて行った。
横に寝かせてシーツをかける。
「もう2、3日は安静にしてて。そのころには、きっとすべてが終わってるから」
「はい、ノイスさん……その後は、あたくしと手を取り合って、より平和な国を作りましょう」
「うん、そうだね。平和が一番だ」
「だから、迎えに来てくださいね……あたくし、妻にしてもらえる日を待ってますから」
「えっ!? なんで、急に!?」
「え!? エルフの長い耳を先端まで赤く染めさせた人は、添い遂げる定めなのですよ!?」
僕は頬をひきつらせた。
――うわぁ。
エルフの習性を知らなかったとはいえ、また厄介ごとが増えた。
シャロンに嫌われないように、僕はテイマーとしての現状を伝えた。
多くの女王や王女をテイムしているからこれ以上は難しいと。
だが、フランソワは眉をきゅっと寄せて、勇ましい目つきをした。
「わかりました! あたくしも女王になれば、抱いていただけるということですね!」
「え……いや……ああ、もう。それでいいよ」
「わかりました! 必ずや、エルフ国をまとめ上げてみせますっ!」
ベッドに横たわりながら大きな胸の前で、ぐっと拳を握るフランソワだった。
「うん、頑張って。じゃあ、もう行くから」
僕はフランソワの額にキスをした。
フランソワが銀髪を乱すと、ベッドから飛び上がりそうに体を跳ねさせる。
「ひゃんっ! ――待ってます、ノイスさまっ」
また長い耳の先まで赤く染めて、潤む瞳で僕を見上げた。
「うん、またね」
彼女の可愛い声を背に、僕は部屋を出て来た道を帰った。
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