37〜42 夜に起きてる
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「魔物を倒すぞニート!」
「また550円取られた…」
わたしはため息をつく。お小遣いに大打撃だ。
博士は大きなあくびをした。
「眠くないのかニート」
「全然」
「本当に昼夜逆転してるんだな…」
「逆に博士はいつ寝てんの?」
「は? 寝てないが?」
「寝ろ!」
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その瞬間、杖(棒)から煙が出て博士を囲んだ。博士は倒れた。
「博士⁉︎」
わたしは駆け寄る。
意識はなく、息をしている。心臓も動いている。どうやら眠っているようだ。
「まさか眠り魔法…?」
杖(棒)を眺める。
その時、目の前にいる魔物が大きく吠えた。
「あいつが魔物か」
わたしは杖を大きく振った。
「喰らえ! 水魔法!」
しかし、水を喰らった魔物はむくむくと大きくなった。
「は、博士〜! なんか巨大化した…って寝てるんだったー!」
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わたしは後ずさる。
「もしかしなくてもピンチ?」
数日前、博士が血を流していたシーンが頭に蘇る。
「あれは嫌だ…!」
眠り魔法をかけようとしたが間に合わず、魔物が襲いかかってくる。
「ミユキちゃん!」
「え、マユちゃん⁉︎」
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マユちゃんはわたしよりキラキラな杖を持っていて、それを大きく振りかぶると火が出てきた。
魔物は大きな悲鳴をあげて倒れた。
「た、助かった…」
「あいつは水属性だから火に弱いの」
「だから水魔法で大きくなったのか…。というか魔物に詳しいね」
「博士に教本もらったからね…って博士死んでる⁉︎」
「あっ」
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「大変!!!!」
「いや、わたしが眠り魔法で眠らせただけだから…」
「ね、眠り魔法⁉︎」
マユちゃんは目を大きく見開いた。
「そんなの私、9900円払っても出てこなかったわよ…⁉︎」
「18回も回したんだね…」
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よろり
マユちゃんがよろけた。
わたしは慌てて腕を掴む。
「大丈夫?」
「大丈夫よ…」
マユちゃんはわたしの手を振り払う。
「私はあなたと違って夜は寝てるのよ。ただあなたがピンチだと指令が来たの」
「…」
「まあ最近不眠気味だからすぐ来れたけど…」
「寝ろ!」
つづく