31〜36 ママとマユちゃん
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「わたしが2人いればいいのに」
「んあ?」
相変わらず博士はうちに来ている。
本当は暇なのかな?
いや、なんかパソコンで打ち込んでるから暇ではなさそうだな。
「そうすれば1人は魔法少女して、もう1人は家で寝れる」
博士はため息をついた。
「よく考えてみろ」
「?」
「どっちも家で休みたがって大変なことになるぞ」
「たしかに」
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窓がガラッと開いた。
わたしの部屋は2階なのだけど、窓が開くことに慣れた自分が怖い。
「ミユキちゃん、遊びに来たわよ〜」
「遊びに来たなら玄関から来てよ…」
正体はマユちゃんだった。
「今日は親の機嫌が悪いから逃げてきたの」
「勉強したら?」
「やっぱり私あなたのこと嫌いだわ」
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「というかあなたの成績はどうだったのよ? 高校時代」
「へ? 学年一位ばっかだったよ」
「…」
「模試でも偏差値78とかだった」
「なんでニートしてるのよ」
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コンコン、とノックの音がした。
「ミユキ、入るよ〜」
「げっママだ」
わたしは焦ったけど、無慈悲にもドアは開いた。
「あら、マユちゃん」
「ママ把握済み…⁉︎」
「ミユキ友達できたのね〜」
マユちゃんはニコニコとして、「いや友達っていうほど仲良くないし、むしろ嫌いです!」と元気よく答えた。
「なんでうちにいるの?」
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「ミユキ友達できたのね〜」
「あくまで友達にしたがる」
ママは博士をじーっと見た。
「いやママ、博士を友達って言ったらわたしの中で何かが終わるよ」
「お前に言われたくないわニート」
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「友とはお互い助け合い高め合うものだ! お前といたら堕落する!」
博士が冷や汗かきながら叫ぶ。
「地の底まで連れて行ってやるよぉ〜」
わたしはそう言ってニタリと笑ってみせた。
本気でビビってる博士マジ笑える。
つづく