253〜258 名無しが158体
253
「ねー博士、魔物に名前ってないの?」
「ないぞ」
「うーん。魔物って個体差すごいけど名前無いと不便じゃない?」
「名前はつけないほうがいいんだ」
「なんで?」
「自信を持つから」
254
「自信……?」
「肯定された気分になるんだ。そして増えたり凶暴化する」
「へー。よく分かんないけど分かる気がする」
「それに進化もするし合体もする。今のところ識別されているのが158体と言うだけだ」
「へー」
「昔はもっと多かったぞ」
「そうなんだ」
「今はだいぶ減ったな。いいことだ」
「そうだね」
255
「昨日の象の鼻が生えたカンガルーみたいなやつ、記憶を頼りに描いてみました。じゃーん!」
「はあ。書いたのか。なかなか特徴を捉えているな」
「でしょうでしょうそうでしょう。追いかけられた甲斐がある」
「で、こっちのはなんだ?」
「昨日の恨みと共に、腐り落ちたバージョンを想像で描いた」
「妙にリアルで不気味だし、お前も怖い」
256
「昨日のやつに火魔法、光も腐敗も水も効かなかったことをボスに報告しないと」
「全然効かなかったね」
「進化したのかもしれんな。色々とめんどくさいな……」
「ねえ博士」
「ん?」
「昨日の真っ二つのやつ、わたしにも教えてよ」
257
「ダメだ」
「なんでー⁉︎」
「ダメだからだ」
「理由になってない!」
「理由?
①体力を使う必要があるため運動不足なお前には負荷がでかい
②危険な魔法なのでなかなか練習ができない
③教えるのがめんどくさい
などあるが?」
「ぐぬぬ……」
「特に②だ。あれは危険な魔法だが便利だ。無闇に使おうと思っても練習を積んでなかったら加減が難しいぞ。それこそ本気出せば家だって吹き飛ばせるんだからな!」
「分かったよ……」
258
「博士は魔法に詳しいし、すごい魔法が使えるんだね」
「……まあ、歴史が長いからな」
「わたしも一人前になれるのかな」
「あ、いや、お前は……」
「ん?」
「……早く就職したほうがいいぞ」
「うるせー!」
つづく




