61〜66 ママのおさがり
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「魔物を倒すぞニート」
「なんか今日元気ないね」
「疲れてるんだ」
「あ、あいつ水魔法で倒せる!」
「本当に覚えたのか…。しかもあの絵で」
「やあ!」
杖(棒)から水が出て、魔物が断末魔をあげて溶けていく。
「終わった! 帰ろ」
「ニートのくせに…」
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次の日
「ねえママ」
「何? 朝に起きてるなんて珍しいわね」
「博士に杖グレードアップしてって頼んでよ。これダサいよ」
わたしはそう言って杖(棒)を振る。
ママはふむ、と考え込んで「仕方ないわね」というと寝室に引っ込んでいった。
「はいこれ。ママが使ってたやつ」
「めっちゃキラキラ!」
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「昔は資金がたっぷりあったのよ…」
「ああ、バブルね」
「今は景気がね…」
「…! つまり魔物が増えたってことか!」
「さすが私の娘。賢いわね。これで働いてくれてればねー」
「聞こえなーい」
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ママの杖はアニメとかでよくみるピンクとか金色とかのザ!魔法少女の杖!って感じだった。
「でもキラキラ過ぎて恥ずかしいかもな〜」
「なら返しなさい」
「ウソウソ! めっちゃ可愛い〜」
ママにわたしのお世辞は通じなかった。
腕を組んだまま眉をひそめている。
「……でも昭和を感じるキラキラだよね」
「流行は回るのよ。令和の可愛いはコレよ」
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さっそく昼に窓からやってきた博士に杖を見せた。
「博士見て見て! ママのおさがり!」
「!!!!」
博士は目を見開いて、後ずさって、尻もちをついて顔が青ざめて、冷や汗をかき、震えだした。
「え…? 博士に何したのママ…?」
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「は、博士大丈夫?」
「あ、ああ」
「手ェ震えてるよ…? 本当に大丈夫?」
「大丈夫だ」
「あ、そうだ。あのコスチューム?ワンピースも可愛くないし、ママの借りようかな!」
「お前俺を殺す気か⁉︎」
つづく




