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8 かえる

たくさんの方にお読み頂いてとても嬉しいです。

ありがとうございます。

今日もよろしくお願いいたします。

 聖女候補の邪魔をするつもりはない(むしろ覗きたい)けれど、私がいるとストーリー的に邪魔してしまう。

 神子が降りて来て喜んでくれている、この国を出てしまうという事も出来ない。


 そして、何よりも……リオン。



 そう。 昔 (二次元) 今 (三次元)も私は、彼に恋している。



 二次元の彼は所謂ブラコンかつツンデレで、あまり女の子にも興味がない。口下手で不器用な性格でブラコンなのに兄とも距離が出来ている。更に神力・魔力共に強すぎる彼は恐れられ、周囲とも上手く行かないで孤立している。

 そこに彼を恐れず、頼りにしてくれるヒロインに惹かれていくのだ。


 ちょっとずつデレてくるリオン様が堪らなく格好いいのに可愛いくて、画面の前で悶えた。



 父親以外の男の人は怖くて、二次元でも興味を持てなかった私が、このゲームでリオン様に恋してから、二次元だけは平気になった。そこから、他の乙女ゲームも好きになっていった。


 いつか、こんな風にどきどきする(三次元)が出来るといいな。と思いながら、ゲームにのめり込んでいた。どのゲームでも楽しんでプレイしていたけれど、リオン様のように恋をしている感覚はなかった。私にとって、彼はいつでも特別だった。



 白い部屋で目覚めて、ぼんやり色々な人達を見たり聞いたりしているうちに、その世界に干渉出来る事を知り……


 当時は気づいていなかったが……三次元の彼に出会った。


 三次元の彼は、やはり口下手で不器用だった。でもとても優しい感じがした。そして、何にでも一生懸命にみえた。最初はお兄さんを心配してる可愛い男の子くらいの認識だった。ブラコンまではいかない感じかな?しっかりしていて、国の事や民の事まで考えられる素晴らしい為政者になるだろうと感じていた。


 彼は神子の血と力を継いでいるため、神力が強いせいか誰よりもよく見えた(会えた)。祈りもよく届いていたし、彼の祈りに一番、応えていたと思う。無理をして雨まで降らせてしまったのも、彼の祈りに応えたかったからだ。


 もう、すでにこの頃から彼が好きだったんだと思う。


 でも二次元の彼の時と同じで、画面の向こうと私とは交われないと、無意識に気持ちを押さえていたと思う。




 そして、あの日。

 あの大勢のなか、彼と彼のお兄さんらしき人が隣り合わせに並んでいて嬉しくなってしまったのだ。


 そして、この世界に降りて来た。


 いつも私の行動の先には彼がいる。

 彼が私に勇気をくれる。

 一歩踏み出す勇気。

 この世界で生きていく覚悟。


 そして、昔も今も彼に恋する気持ち……



 白い部屋で、この世界をみていたのも、女神様の私への愛情だったのだと感じる。前世から、こちらにいきなり落ちて来ても私はきっと三次元の彼らに馴染めなかった気がする。というよりは、話す事すら出来なかったかもしれない。

 それくらい、昔の私は男の人が……いえ。他の人達みんなが怖かったから……


 あの部屋から遠くの世界として、この世界をみている事。

 『ただ見ているだけ』が辛くなっていく事。

 関わりたいと願う事。

 この世界に()()()()いく事が出来る様になっていく事。

 私の関わる事の出来るほんの僅かな人達だけにでも、私の力が少しでも役にたつことが嬉しかった事。

 役に立つ、必要とされる、その実感。


 全てが私に必要だった。あの部屋で長い長い時間、そうやって私の心を解してくれていたのね。


 生きていくのに、自分が関われる人は限られている。でも、その中で必要とされたかったのね。関わる人の事もそして彼の事も愛したいと思えるための時間だったのだとわかる。


 前の世界で自分の見た目に、他と違うという事に囚われていたのは私自身だった。求められる事も、求める事も全てを拒否してしまっていた。手を差しのべて貰っても誰の手も取れなかった。

 もっとよく周りをみる事が出来ていたら、もっと違う人生だったのね、と今更ながら気づく。


 私はいつも気づくのが遅いわね。


 あの部屋こそが私の殻だったの。

 私はやっと卵の殻を、自分の力で破ってこの世界に出てくる(産まれてくる)事が出来たんだわ。



 でも、気づけた。今度はちゃんと()()()()()()




 女神様(お母さん)ありがとう。






後1話でとりあえず完結予定です。

たくさんのブックマーク、評価、応援…本当にありがとうございます!

感謝です!!

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