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2 神子は考える

 ベロニカは少し心配そうにしながらも私の目覚めと、体調を報告してきますね。と部屋から出て行った。


 もしここが本当に、私の大好きだった乙女ゲームならば私はどうしたらいいのだろう……


 ヒロインはあのピンクの髪の聖女候補よね。そしてライバルの青い髪の聖女候補。

 攻略対象は金の髪の第一王子に、過去の神子の血をひく黒髪の第二王子。騎士、魔術師、神官の五人だったよね。


 うん。間違いないわ。あのイラストのイケメンがリアルな三次元の人になると、こんな感じの美形なのね。すごい! こうやって気づくと違和感が全然ないわ!

 違うわね、この人達をイラストにしたって方が正しいのかな?うーん?良く解らなくなってきた……。どちらか鶏でも卵でもいいか。とにかく私が言いたいのは……

 ああ! リアルで会えて幸せ……って事。……じゃないわ! 混乱してるわね。私。


 嬉しくて舞い上がっている場合じゃなかったわ! 落ち着かなくちゃ。そう。聖女候補も居るし、攻略対象も全員いるの。


 私がモブならば断罪やざまあがあるゲームじゃないから、楽しくこの行く末を見守れたんだけど……聖女よりも尊いとされている神子が降りて来ちゃったら、この後のゲーム展開はどうなっちゃうの?


 確かに神子の存在はゲームの中でも出ていたけれど、この国ではもう五百年は降りて来ていないのよね。他国でも直近は二百年前に降りて来たというのが最後だと、オープニングのプロローグに書いてあった。


 簡単に言うと、神子は女神様の使わす使徒みたいな存在で、極稀に天から遣わされる存在。

 神子自身の力で神力を使う事が出来るんだけど、その神子によって使える力も強さも種類も全然違うらしい。

 そして神子自身は全てにおいて自由だから、神の元に帰る事もあれば、他国に行ってしまうこともある。だから、神子が降りてきたら、国は神子を引き留められる様に必死になるらしい。


 神子は存在すること自体が本当に極めて稀な事だから、降りてくるのを待つだけ。


 しかし、聖女は自分達の中から女神様に願いを届ける力の強い者を聖女候補に選んで、女神様に認められると聖女となる事が出来る。

 聖女は女神様に祈って女神様の力の一部を使う事が出来るようになるの。聖女という存在は一国に必ずひとりはいる。


 五百年も神子が降りていないこの国では、歴代の聖女により国の力を安定させていた。

 魔障もあれば魔獣もいて、人間だけではとても生きていくのが大変なのだ。そういった魔法でも通じない所を女神の力を借りて、聖女が祈り魔障を消したりして行くのだ。


 そんな聖女が代替わりするのに、聖女候補が次代の聖女となるべく試練をこえていくというのが、聖女選抜試験だった。


 本当なら、聖女に選ばれるのが真のストーリーなのだ。しかしゲームではライバルが聖女となり、攻略対象と真実の愛で結ばれるのがハッピーエンドという、初期の乙女ゲームだった。


 ここで、私という神子が混ざってしまうと……

 国は神子を引き留めるために、色々な手段をとらざるをえない事は、理解出来てしまう。手っ取り早く恋愛で繋ぎ止めようとしてくるだろう。それは、揃えられる攻略対象(イケメン)は私に近づいてくるという事になるよね。


 そしたら、ヒロインやライバルちゃんの恋愛(と聖女になる試験)はなくなってしまうのかしら! デートイベントもなくなってしまうし、彼女達の邪魔しかしていないじゃない……つらい。


 え?私……ここに何しに来たの??? 二人の恋の邪魔なんてしたくないわ! でも私が居ると叶わないなんて! そんなぁ……


 でも帰りたいなんていったら、国の皆がひっくりかえっちゃうわね。だって五百年ぶりの神子だもんね。国をあげて頑張るよねぇ……


 こんな(男嫌い)私でごめんなさい。もしくは降りてくるのが聖女が決まった後なら、まだよかったのに……神子がいても聖女はひとりは必ずいるものね。聖女の選抜試験中なんて、本当にタイミング悪かったのね。


 選抜試験を邪魔せずに、更に二人の恋の邪魔もしないでいられるのにはどうしたらいいのだろう……



 それに……ここには彼がいる……



 そっと目を閉じ、ここに降りて来たとき……そして、()()()に目覚めた時の事を思い出していた。





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